
下旬:大学院試験当日朝に3回目のリジェクト。しかし…?
3回目の論文投稿は査読の段階まで進んだ。投稿から約40日後、ACSから結果が届いた。またしてもリジェクトだった。大学院試験の当日朝にこの知らせを受け取り、「試験前に神様は私に何という試練を」と絶望に打ちのめされた。
6月のRSC投稿時と違い、今回は3人の査読者中2人が好意的な評価を寄せてくれた。だが1名が意地悪な見方で「アクセプトに相応しくない」と判定。これが決め手となってリジェクトとなった。超一流誌は全査読者から「アクセプト相当」の評価がないと、査読者とのやり取りにも進めない。だからこそIF50や60のNatureやScienceへの掲載は研究者を熱狂させるのだ。
「またリジェクトか。これで僕のハイグレード誌への挑戦は終わりだ」。肩を落としながらメールを読み進めると、驚きの一文が目に飛び込んできた。「リジェクトで残念だろうが、再投稿という形で受け付けたい」。ACS側からの思いがけない提案だった。
これは異例の対応だ。通常、リジェクト後はグレードの低い姉妹誌への掲載を勧められるか、あっさり見送られるのが常だ。「なぜこんな提案が?」と指導教員に尋ねると、「きっとエディターが論文を気に入ったんだろう」と。リジェクトするのは惜しいと感じたのではとのお考えに納得がいった。
指導教員と共同研究者との相談の末、再投稿を決意した。わざわざ誘ってきたのだから、最低でも査読の機会はあるはずだ。新しい査読者の目に触れることで、半年ぶりに希望が湧いてきた。
下旬:沈み切ったメンタルで院試を受ける

リジェクト通知から1時間後、大学院試験が始まった。午前は研究内容の英語記述試験(2時間)、午後は研究計画のプレゼンと口頭試問(40分)をこなした。いずれも驚くほど簡単で、過去最も楽な入試だった。専攻も日本人博士課程学生の確保に必死なのだろう。よほどの失態がない限り、不合格はありえない。
試験があまりに易しく、「これで十分な審査になるのか」と逆に不安になるほどだった。緊張を予想した口頭試問も和やかに進み、今後の研究に活きる貴重なアドバイスまで頂戴した。
翌月9日の合格発表で無事合格を確認。入学手続きはM2の2月とのことで、一つの重荷から解放された気分だった。

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