こんにちは!札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大工学系大学院生のかめ (D1)です。2017年4月に北大総合理系へ次席入学し[関連記事]、現在は同大学院博士課程で研究生活を営んでいます。
この記事では、総合理系在籍中の志望学部・学科の変遷を振り返ります。
- 北大の総合理系や東大の理科一類など、入学後に配属学部/学科を決める形式の学生さん
- そうした形式の大学への入学を志望する中学・高校生さん
こうした方々にピッタリな内容なのでぜひ最後までご覧ください。
それでは早速始めましょう!
3月〜7月:農学部。特に生物環境工学科
最初に志望したのは農学部。農学の中でも工学寄りの農業工学に興味があった。農業工学とは作物の生産環境や収穫機械を工学的アプローチにより改良するもの。自然が好きで機械も好きな自分には農業工学分野がピッタリだと思ったのです。実は私、北大に合格する一年前、京都大学の農学部を受験し不合格を食らっています[関連記事]。その時も農業工学系の学科を第一志望に据えており、高校時代から(農学部、面白そうだなぁ)と何となく思っていたわけです。”農学部へ是が非でも行きたいっ!”というワケではありませんでした。理科の生物を暗記が多すぎて受験科目に選ばなかったぐらいですから。工学系や理学系の学問に面白味を見出せなかったから消去法的に農学部になっただけ。どうも工学・理学系の内容は無機質かつ抽象的に感じました。実験室内でゴチャゴチャ作業をやっていったい何が面白いのだ、と。外で日差しを浴びて汗をかいてフィールドワークする方が楽しそう。
”農学部が北大の看板学部だから”というのも志望した理由の一つであります。この大学のルーツは札幌農学校にあり、そのDNAを連綿と受け継ぐ農学部へ行くのが正統だろうと。北大と言えば農学部。農学部と言えば北大。日本を、いや世界を代表する環境で勉学に懸けてみたかったわけです。実際、私と同じような理由の農学部志望者は多かったです。「北大へ行ったからには農学部へ行かなきゃ始まらないでしょ」と、周囲の総合理系入学者の半数以上が農学部志望を公言していました。
8月〜10月:工学部社会基盤工学コースor国土政策学コース
1年生 (B1)の前期が終わり、8月から2か月もの夏季休暇に。8月下旬、前期の講義の成績がネットで開示されました。成績は割と良い方でした。ave3.72/4.3と、まずまずの成績を修められた。この調子でいけば農学部・生物環境工学科 (生環)へ余裕を持って移行できそう。大学の試験に手こずりながらも最低限の成績を取れひと安心といった形。
夏季休暇中、自分の移行先についてボーっと考えを巡らせました。農学部に加えて工学部や理学部のパンフレットをも横に並べて比較・検討。”生環へ行きたい”という思いに変わりはなかった。しかし、(ホンマに生環へ行って大丈夫やろか?)と急に疑問がもたげてきました。というのも、農学部へ入れば大なり小なり『生物』をやらねばならぬから。B1前期の生物学Iで大々々苦戦してしまい、(学部生になってもコレをやるのは正直キツイな)と思ったのです。暗記は決して苦手じゃない。大学入試の社会科だって日本史Bを選んだほどだし、覚えるだけで構わないならナンボだって覚えてみせる。しかし、大学の生物は暗記に加え、暗記した知識を自在に扱う”器用さ”まで求められるのです。覚えるだけでも苦しいモノを使いこなすのなんてほぼほぼ不可能。
そこで進路を再検討し、工学部の土木系に魅力を感じ始めた。土木系ならフィールドワークが可能ですし、興味を持って勉強することができるんじゃないかと考えました。私、昔から泥遊びが結構好きでよくやっていたんです。雨が降り、水たまりができれば、地面を掘って流路を拓いて水たまりの水を排出していた。コレを仕事で真面目にやるのもなかなか楽しそうじゃないか?夏季休暇中、そして後期に入って1か月ぐらいは土木志望でした。
11月:理学部化学科
志望先が変わったのはソレからすぐのことでした。大学で受けた化学IIの講義が面白くて憑りつかれてしまったのです。前期の化学Iはちょっとよく分からなかった。シュレーディンガー方程式やら電子軌道やらなんのこっちゃサッパリでした。しかし、不思議とテストはよく出来ていた。化学Iの評価はA+で、扱われた内容へも苦手意識は微塵もなかった。後期に入り、化学Iの知識をベースに無機・有機化学が展開されます。コレがまた自分の内に潜む好奇心をビンビン刺激。講義を受けるたびに(面白いなぁ…^ ^)と一人でニヤニヤするように。笑みを隠そうにも面白いのだから隠すのなんて不可能です。そういえば私は高校生の頃、化学が一番好きでした。内職ばかりしていた日々でも化学 (と体育)だけは真面目に受けた。昔からあった化学への関心が講義で萌芽したわけです。化学IIだけじゃ飽き足らず、名前に”化学”と付された講義へ次々と潜入するように。こうなると移行志望先も化学系の所になってきます。(化学の世界に染まりたい)と理学部化学科が第一志望に。
12月〜2月:工学部応用化学コース
理学部化学科 (理化, りばけ) について調べていくと、確かに化学全般について幅広く勉強できそうだと分かりました。”他にもそんな学科はないのか?”と調べた所、工学部の応用化学コース (応化, おうか)でも同様に学べると明らかに。理化と応化の違いは何か?といったら、サイエンス (科学)かエンジニアリング (工学)かといった感じ。知的好奇心を存分に突き詰められるのが理化、サイエンスをやりつつ実用をも考えるのが応化です。研究室生活を営む現在、サイエンスとエンジニアリングの境目など無いと知っています。理学部でも実用を考え研究をするし、工学部でも私のように基礎科学へ従事する人間がいるし、もはや”理学部”、”工学部”と区別する必要があるかさえ微妙。しかし当時の私はそのような事実を知りません。『学問をやるか、それとも実学をやるか』と真剣に悩んだのを覚えています。当時の私は大学院修士課程まで行って就職するつもりでした。そこで (就職に強いのはどちらだ?)と調べ、就職率の高かった応化へと鞍替えした次第であります。
今の自分なら迷わず”理化”を選んでいたと思います。どうせD進するんだったら理学部へ進んでいた方が面白かったはず…
3月:工学部応用マテリアル工学コース→内定
2月下旬、後期の成績開示がありました。全体的に高めの成績 (ave3.7前後/4.3)。医療系学部以外ならどこでも行けそうでした。しかし、肝心の化学IIの成績が全く振るいません。前期の化学IはA+だったのに後期の化学IIはB+。実は有機化学の後半部分からついて行けなくなっていました。「マジで何を言っているんだ…?」と講師の話に追いつけなかった。何とか食らいつくべく家で相当勉強しました。指定された教科書はもちろん、北図書館で本を借りて基礎から勉強し直していった。けれどもやはり理解できない。(どうしてコレがこうなるんだ…?)と疑問の嵐、大嵐。最終的には理解を諦め、反応機構やその原理について丸暗記して試験へ臨むことに。当然、試験の結果は最悪。できそうな問題が一つもなく、なんとかその場で知恵を絞ってひねり出した挙句のB+。
3月初旬、2年次以降の配属先を決める刻 (とき)がやってきた。化学IIの不出来に心を折られて応化への移行を完全に諦め、(さて、どこへ行こうか…)と移行先を再びゼロから考え直した。生環でもない、土木でもない、かといって理化でも応化でもない。「誰か、自分の移行先を代わりに決めて…」と嘆きたくなった。他に興味の持てそうな分野なんて果たして存在するのでしょうか?再び各学部のパンフレットを手繰ると、、、面白そうなコースがたった一つだけありました。有機化学が苦手ならば、有機化学を使用せずに化学を扱える場所へ行けばいい。いくら物理学が不得手でも、上辺だけサラっと物理を使う分野なら何とかなりそうだ。そんな贅沢な望みを叶えてくれたのが工学部・応用マテリアル工学コース (応マテ)。金属を始め無機材料を扱うので有機化学は登場せず、熱力学や物理化学など、自分の得意な学問が軸となってカリキュラムが展開されるから魅力的に見えた。私の父親も学生時代は材料系の学科を出たらしい。(父親に合うなら自分にも合うだろう)ということで応マテを選択、内定しました。
最後に
北海道大学総合入試理系在籍中の志望学部・学科変遷は以上になります。皆さんの進路選びの参考になれば幸いです。
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