【北大】総合理系在籍中の志望学部・学科の変遷

目次

3月〜7月:農学部・生物環境工学科

入学当初、私は農学部を志望していました。実験室にこもってゴチャゴチャ作業するより、外に出て日差しを浴びながらフィールドワークする方がよほど楽しそうだと思っていたのです。農学部ならフィールドワークの機会がありそうだし、とりわけ農業工学の分野は自然も機械も好きな私にぴったりに見えました。

加えて、農学部は北大の看板学部です。北大のルーツは札幌農学校にあり、そのDNAを連綿と受け継ぐ農学部へ進むのが正統だろうと考えていました。私と同じ発想の学生は多く、周囲の総合理系入学者の半数以上が農学部志望を公言していたほどです。

8月〜10月:工学部・土木系コース

B1前期が終わり、8月から2ヶ月の夏季休暇に入りました。8月下旬に前期の成績がネットで開示され、結果はave3.72/4.3とまずまず。農学部・生物環境工学科へ余裕を持って移行できそうな数字で、ひとまず安堵しました。

ところが夏休み中、移行先についてぼんやり考えていたら、急に不安がもたげてきました。農学部に入れば、大なり小なり生物を扱わなければなりません。B1前期の生物学Iで大々々苦戦し、自分が生物学を乗り越えられるとは思えなくなってしまいました。

暗記自体は苦手ではありません。大学入試の社会科で日本史Bを選んだぐらいで、覚える分にはいくらでも覚えてみせます。ところが、大学の生物は暗記に加え、覚えた知識を自在に操る器用さまで要求されます。私みたいな不器用な人間に、生物学の知識が使いこなせるわけがありません。農学部に進み、生物の講義で単位を取る自分の姿がどうしても想像できず、進路を白紙に戻しました。

改めて各学部のパンフレットを並べて検討した結果、工学部の土木系に目が向き始めます。土木ならフィールドワークもできるし、生物を避けながら興味を持って取り組めそうな気がします。私は昔から泥遊びが好きで、雨が降るたびに地面を掘って、水たまりの水を排出する流路を作っていました。だから、泥遊びを仕事で真面目にやるのも面白いんじゃないかなぁ、と。夏休みから秋口までの3か月は、土木志望でした。

11月:理学部化学科

土木志望はあっけなく崩れました。後期の化学IIの講義に、完全に心を持っていかれたのです。

前期の化学Iは、正直よく分かりませんでした。シュレーディンガー方程式だの電子軌道だの、何のことやらさっぱりです。ところが不思議とテストはよく出来て、評価はA+

後期に入ると化学Iの知識をベースに無機化学と有機化学が展開され、ここで好奇心に一気に火がつきました。講義を受けるたびに面白くて、一人でニヤニヤしてしまう始末。笑みを隠そうにも、面白いのだから隠しようがありません。

思い返せば、高校時代に一番好きだった科目は化学でした。内職ばかりの日々でも化学と体育は真面目に受けていた。ずっとくすぶっていた化学への関心が、学部の講義をきっかけに一気に開花したわけです。

化学IIに飽き足らず、化学と名のつく講義に片っ端から潜り込むようになり、志望先も自然と化学系に。化学の世界にどっぷり浸かりたいと、理学部化学科が第一志望に浮上します。

12月〜2月:工学部・応用化学コース

理学部化学科(理化, りばけ)について調べると、確かに化学全般を幅広く学べる環境だと分かりました。同じように化学を広く学べる場所がないか探したところ、工学部の応用化学コース(応化, おうか)が浮上してきます。

理化と応化の違いを大ざっぱに言えば、サイエンスか、エンジニアリングか。知的好奇心を存分に突き詰められるのが理化で、サイエンスをベースに実用まで見据えるのが応化。

当時は大学院修士課程まで進んで就職するつもりだったので、どちらが就職に有利かが判断の鍵でした。学問を追究するか実学に進むかで真剣に悩んだ末、就職率の高い応化へ志望を切り替えた次第です

ちなみに、今の自分なら、迷わず理化を選んでいたでしょう。研究室に入ってみると理学部と工学部の境目はかなり曖昧で、工学部にいても基礎科学に取り組めるし、理学部でも実用を意識した研究は珍しくないと分かりました。どうせ博士課程に進むなら理学部の方が面白かったはずですが、B1の時点で学部間の実態まで把握できるはずもなく、仕方のない判断だったと思います。

3月:工学部応用マテリアル工学コースに内定

12月から2月にかけて応化を第一志望に据えていましたが、後期の講義が進むにつれて雲行きが怪しくなっていきました。有機化学の講義に、ついていけなくなったのです。講義中、講師の説明がまるで頭に入ってこない。

食らいつこうと家で相当勉強しました。指定教科書はもちろん、北図書館で本を借りて勉強してもみました。学び直せども理解は追いつかず、最終的には理解を諦め、反応機構や原理を丸暗記して試験に臨むことに。当然、結果は散々です。

2月下旬に後期の成績が開示され、全体の成績はave3.7前後/4.3と悪くない。医療系学部以外ならどこでも移行できそうな水準です。ところが肝心の化学IIはB+。あれほど好きだった化学IのA+から急落しました。応化に進んで有機化学を続ける自信はありません。応化への移行を、完全に断念しました。もちろん、理化にも行きません。

3月初旬、配属先を決める時期がやってきました。かといって以前に検討した農学部の生環や土木にいまさら戻る気にもなれず、一年かけて検討した志望先がすべて消えた状態です。途方に暮れながら各学部のパンフレットを再び開いてみると、面白そうなコースがひとつ見つかりました。工学部・応用マテリアル工学コース(応マテ) です。

応マテでは、金属をはじめとする無機材料を扱います。有機化学の出番はありません。カリキュラムの軸は熱力学や物理化学で、物理をごりごり使う分野ではなく、化学寄りのアプローチで材料を扱える点が魅力的でした。苦手な有機化学を避けつつ、好きな化学を生かせる場所。父親も学生時代に材料系の学科を出ていたらしく、親に合うなら自分にも合うだろうと。こうして応マテを選択し、内定を得ました。

最後に

北大総合理系在籍中の志望変遷は以上です。一年で5回も志望先が入れ替わった記録は、我ながら見事な迷走っぷりだと思います。ただ、迷走の末にたどり着いた応マテで電池研究と出会い、博士課程まで進んでいるわけですから、一年間の右往左往も無駄ではなかったのでしょう。

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