こんにちは!札幌と筑波で電池材料研究をしている北大化学系大学院生かめ (D2)です。博士課程進学 (D進) 前は研究に対する情熱がみなぎっていたのに、D進後、研究や留学等で歯がゆい思いを味わい、研究意欲や情熱が失われてしまいました。そこから立ち直り、再び研究の道へ。フルペーパーを三報出版して博士課程早期修了にまで至りました。
この記事をご覧になっている方の中には研究で燃え尽きた方がいらっしゃるかもしれません。そのような方は今、『もう研究なんてやりたくないよ…』『これ以上は頑張れないよ…』と青息吐息で苦しんでいるでしょう。燃え尽きた経験があるからこそ分かります。辛いですよね。めっちゃ辛いはず。自分の未来へ懸ける期待が大きければ大きいほど失望も大きくなります。燃え尽きられるほど頑張れる真面目な方だからこそ、燃え尽き時の絶望感が深刻なものに。
研究で燃え尽きたそこの貴方へ、燃え尽きた状態から復活する方法をお伝えしたいと思います。以下の内容は全て、私が試して効果のあったモノばかり。情熱を取り戻す術を4つご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
かめそれでは早速始めましょう!
【気分転換】一時的に研究と距離を置き、研究以外のことを楽しんでみる


皆さんは少し頑張りすぎかもしれません。平日は皆勤賞。土日・祝日だって皆勤賞な人も。真面目な人ほど研究室に行く頻度が多くなる傾向が。平日だけでは時間が足らず、休日をも研究に費やしているでしょう。人間はたまに休まないと早晩、体が壊れてしまいます。我々はロボットでもAIでもない以上、酷使した肉体・精神を休める時間が必要なのです。
研究へばかり時間を割くのも危険。研究以外の趣味を楽しむ時間を持たなくては心身のバランスが保たれません。研究が順風満帆な時は良いのです。研究が行き詰まり、八方塞がりな状況へ陥った時が極めて危険。考えに考えても状況打開策を見出せぬ場合が。何を試しても好転しない状況に心を病んでしまいかねません。研究以外の世界を持っていれば、研究が不調でも別の世界で羽を伸ばせます。土日関係なく毎日研究室へ行くような状況だと他の世界に身を置きようがありません。
研究で燃え尽きてしまったとき、まずは研究と距離を置いてみて下さい。今まで研究だけにしか割いていなかった頭の思考資源を研究以外に割くのです。体を動かす、本を読む、映画館や美術館へ行く…など何でも構いません。気分転換しましょう。皆さんの頭に研究以外のことを気ままに考えさせてあげてください。研究室皆勤賞だった方は『休んでもいいのかな…』と罪悪感にかられてしまうかも。いいんですよ、たまには休んだって。周りの会社員を見て下さい。土日・祝日は平気な顔で休んでいるでしょう。休んでいるのは貴方だけではありません。世の中の大多数は”休日に休まなくてどうするんだ”と捉えていますから。我々が燃え尽きてしまったのは、休むべき時に休まなかったから。休むべき日にちゃんと休む。体へ休養習慣を植え付ける所からスタートしましょう。
【原点回帰】博士課程へ進学した理由を思い返す


D進を決意した過去の我々はキラキラ輝いていましたね。やれ研究だ、留学だ、海外就職だ…とイケイケドンドンで。博士課程の闇を何も知らないM2の我々に穢れは一切ありません。なんと初々しかったことか。溢れんばかりの情熱は間欠泉のように天高く吹き出し、未来へ抱く希望はシロナガスクジラ以上に大きなものだった。M2のときは何にでもなれる気がしていました。研究者にだって、起業家にだって、海外で億万長者にだってなれると信じていたのです。
博士課程で厳しい現実を嫌というほど突きつけられます。数多のリジェクト、人間関係の悪化、留学失敗など散々な目に。その結果、D進前に抱いていた夢が木っ端みじんに砕け散ってしまいます。大志を抱いた少年の胸に『社会』という短剣が突き立てられたのです。我々にはまだ、人生の修羅場に直面しても情熱を失わずにいられるほどの強さを有しません。突き立てられた短剣が易々と胸を貫通し、夢を砕くのを阻止できませんでした。夢破れ、生きがいを失った状態に。何のために生きているのか分からなくなり、”どうしたら良いのだろう…”と途方に暮れている有様。
研究で燃え尽きた時は過去に立ち返り、D進を決意した理由を思い出してみましょう。貴方がD進した理由は何でしたか?海外留学してみたかったから、自分の限界に挑戦してみたかったから、、、など様々なワケがあるでしょう。修士課程修了後、大半の学生が企業就職を選ぶ昨今、あえてD進を選ぶには何らかの強い動機があるはず。我々は、敷かれたレールから外れる勇気を奮い立たせる【何か】を研究に感じたのです。それを思い返してください。研究の何に魅せられたのだろう、と。
私の場合は知的好奇心。『知る』という行為自体に魅せられました。研究の場合、勉強と違い、教科書に記されていないことまで知られます。人類初の知見が自分の手の中で発見される快感に病みつきになったからD進しました。私が研究で燃え尽きてしまったとき、『知る』をおざなりにしてしまっていました。博士修了要件突破に向け業績をたくさん集めねばならず、知的好奇心を大切にしている余裕を失い、正気に戻ったときには心が「もう無理や」と音を上げていたのです。以降、業績集め云々よりも『知る』を大切にするように心がけました。たとえどれだけ些細な発見でも『知る』を実現出来たら素直に喜び、モチベーションアップに繋げました。
【現実逃避】博士修了後の未来に想いを馳せる


B4時代は勢いだけで乗り越えられます。M1・M2は指導教員に洗脳され、脳に快楽物質が溢れてルンルン気分で研究を楽しめるでしょう。ところがD進後、洗脳が解け、厳しい現実を突きつけられるのです。業績や才能の不足でどう頑張っても研究者になれないと気付く。研究熱心な人ほど挫折時のショックがより深刻なものに。研究者志望の学生が研究者になる道を断たれた際、いったい何を楽しみに生きて行けというのか。
私自身、D進当初は研究者志望でした。海外の研究所でバリバリ研究をし、世界に伍する成果を出していきたいと願っていたのです。海外就職の足掛かりとして臨んだD1後期のイギリス留学で希望を打ち砕かれました。使用予定の実験装置が全て壊れていて何も実験できなかった上、ラボに文字通り誰も居らず、友達一人作られないまま日本へ帰る羽目に陥りました。留学のためにこれまで四年間かけてお金を集めたり英語勉強を頑張ってきたりした。羽田空港に帰ってきた時、国際線ターミナルの展望デッキで「今まで何のために努力してきたのか…」と立ち尽くしてしまいました。
厳しい現実を直視してばかりでは心が疲れてしまうのも当然。博士課程の標準修了年限は三年。人に三年間も与えれば無限に悩めてしまいますから。たまには現実逃避する時間も必要。謙虚に内省して自尊心を傷つけるよりも、研究なんてほったらかして好きなことを空想しましょう。私の場合、博士修了後の未来に思いを馳せました。残念ながら研究者にはなれなかったけれども、企業就職して人並みの人生を歩むのも悪くないんじゃないか、と。風向きが変われば国研で働けるかもしれない。企業で頑張っていれば大学に呼び戻されるかもしれない。仕事のことなどどうでも構わなくなるほど素敵なお嫁さんに出会えるかもしれない。未来は決して一つじゃない。自分の気の持ちようで何色にだって彩られるんだ。現実逃避をしていくうちに心が元気になってきました。輝かしい未来を現実にすべく、もう少し頑張ってみようかな。
【目標設定】自分次第で到達可能な小さい目標を再設定する


『研究者になる!』だとか『海外で就職する!』だとかいった目標は壮大で美しい。しかし、達成するまでに乗り越えるべき障害があまりに多く、高いのが問題。また、私のように目標を叶えられないかもしれません。ポストの数が限られた研究者になれるか/否かはある意味ギャンブル要素があるからです。近年では研究者採用時に『女性枠』なるものが出現し、男性研究者を悩ませています。いくら研究を頑張っても性別のせいで夢を叶えられぬ、あまりに理不尽な状況が珍しくなくなっているのです。
自分の力じゃ手繰り寄せられない目標が多い組織に属する以上、博士在籍中の目標を再設定して手の届く目標を作るのをオススメします。コツは二つ。①なるべく小さい目標を定めること、および②自分の努力次第でどうにかなる目標を作ること。目標達成スパンが長すぎると、成功するまでの挫折確率が高まります。長くても半年スパン、可能なら一か月・一週間スパンで届く目標を作ると良いですよ。また、他人本位でなく、自分本位の目標を作って下さい。目標をクリアできるか/否かが自分の努力量だけで決まる目標を用意するのです。
私の場合、目標設定から誤っていました。『海外』で『研究者になる』という二つの叶えがたき夢を抱いたのが失敗の元凶。夢破れ、挫折を経験し、目標を変えました。『自分が心から”面白い”と思う論文を三報書こう』と。投稿ジャーナルのIFは不問。出せれば良い。出版できたら勝ち。面白い研究をしていれば、その成果をまとめる論文も必然的に面白くなります。面白い論文は標準的な雑誌なら絶対にアクセプトしてもらえるのです。まずは一報書く。次は二報目を作る。ラストは三報目。先のことは考えず、目前の一報に心血を注ぐ。自分次第で到達可能な小さい目標を再設定したおかげで楽しさが戻ってきました。一報アクセプトされるたびに自分の博士修了が近付くから、幸福度もうなぎ上りになるおまけ付きです^ ^
最後に
博士課程在籍中に研究で燃え尽きてから復活した方法は以上。私と同じく燃え尽きて苦しんでいる全国の学生さんの参考になれば幸いです。

















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