【飛び級】大学院博士課程を早期修了するメリットとデメリット

北大と国研で研究していた化学系大学院生かめです。博士課程を一年短縮して早期修了することができました。

早期修了を目指し始めたのはM2の前期。博士進学と同時に早期修了を志し、綿密な戦略と局所戦術に基づき行動して飛び級を成し遂げたのです。

私が早期修了を目指したのは、早期修了にメリットを感じたからに他なりません。この記事では、博士課程を早期修了するメリットを解説します。メリットだけ紹介すると見方の偏った記事になってしまうでしょう。そこで当記事では、メリットと併せてデメリットもいくつか解説します。博士課程の早期修了に興味のある方はぜひ最後までご覧ください。

それでは早速始めましょう!

博士課程を早期修了するメリット

博士課程を早期修了するメリットは以下の4つ⇩

  • 生涯賃金を高められる
  • 転職に有利な期間を長く確保できる
  • 大学院から早く離れられる
  • 自身の経歴に『箔』が付く

それぞれについて、以下で詳しく解説します。

生涯賃金を高められる

博士課程へ在籍する期間が短くなるにつれ、会社員として勤める期間をより長く取れるようになります。会社員の定年を65歳と仮定しましょう。27歳から65歳まで働くなら38年、26歳から定年までだとプラス一年長く働く計算に。日系企業の多くは賃金が年功序列制。会社での勤続年数に応じて給与が決まる仕組み。入社するのが早ければ早いほど給与の上り幅が大きくなるでしょう。高い給与を得られる期間がより長くなります。

つまり、早期修了すれば生涯賃金を高められるのです。給与と退職金の増加分を合算すれば、早期修了一年あたり一千万円単位の差になるでしょう。

転職に有利な期間を長く確保できる

大学院を出て会社に入れば実務経験を培えます。仕事を通じてスキルを習得し、より市場価値の高い人材へと成長できるのです。スキルの高い人材には高い賃金が支払われるでしょう。スキルを身に着け始める期間が早ければ早いほど高給への道が近づきます。

就職の際、入社した会社が合わなければ「転職」を考えるかもしれません。転職は若ければ若いほど有利。一定以上の年齢に達すれば転職のチャンスが激減してしまいます。早期修了一年あたり「転職に有利な期間」を一年長く取れるのです。悲しいかな、会社との相性は入社してみるまで分かりません。その点を考慮すれば、なるべく早く早期修了して転職可能期間を長く取っておくのは不確実な未来に備える保険になり得るでしょう。

大学院から早く離れられる

博士学生の中で経済的に最も恵まれている学振DCですら月収20万。私自身も学振DC1ですが、20万円では日々を食いつないでいくのがやっとの状況です。修士で企業に就職した同期は月収25~30万円。彼らは家賃補助やボーナスまで貰っている。実際の月収は35~40万円程度でしょう。会社員より金銭的にはるかに過酷な生活を強いられるのが博士課程。一日でも早く抜け出せるのなら是非そうさせてもらいたい。月20万円では将来について思いを巡らせる余裕が生まれません。ただでさえ博士課程は研究が大変。お金の面まで大変な博士課程はもはや生き地獄です。

博士課程を修了するのが早ければ早いほど辛い生活から早く解き放たれます。極貧生活を卒業し、会社員としてゆとりを持ち、落ち着いて文化的な生活を実現させられるのです。

人間に余裕を与えてくれるのは金銭。世の中、結局はカネなんですよ。大抵のことはカネさえあれば何とかなります。私だって月30万円ぐらいもらえていたならあそこまで辛くなかったでしょう。たったの20万円で生活をやりくりしたから大変だったのです。しかも驚くなかれ。貴重な20万円から所得税 (月0.5万円) と年金 (月1.6万円) と国民健康保険料 (月1.1万円) まで取られるんですから。もうね、無理だって。さすがに勘弁してよって感じ。在学中は一日でも早く博士課程を出たくてたまりませんでした。早期修了できて本当に嬉しい。あんな苦しい思いはもう二度としたくありません。

自身の経歴に『箔』が付く

博士課程を標準年限で修了するのですら大変。まして、早期修了する人間はごく僅か。早期修了自体が実績になります。自身の経歴に箔をつけ、図抜けた研究能力やヴァイタリティ―を持つことの証明材料になってくれるのです。ヘタに資格へ挑戦するよりも早期修了の方がアピール素材として強いでしょう。飛び級は万民にインパクトを与えられる底知れないパワーのある資格なのです。

ここまで早期修了のメリットを4つご紹介しました。次の章では、早期修了のデメリットを2つ解説します。

博士課程を早期修了するデメリット

早期修了のデメリットは以下の2点⇩

  • 在籍中は時間に追われっぱなし
  • 繰り上げ修了期間分の成長機会を逸する

それぞれについて、以下で一つずつ解説します。

在籍中は時間に追われっぱなし

早期修了を達成するにはどうしたらいいか。指導教員から『コイツは早期修了するに値する人間だ』と認めて貰わねばなりません。

博士論文 (D論) の提出要件クリアは必須。確実に早期修了しようと思えば、博士修了要件の二倍程度の研究業績が求められます。私の所属専攻の場合、D論提出要件は【査読付き英誌へ筆頭著者として二報以上のフルペーパー出版歴があること】でした。私がM2後期に指導教員へ早期修了を宣言した際、先生から【査読付き英誌へ筆頭著者として博士課程の間に論文を五報以上出版すること】を求められたのです。二年で五報って結構なハイペースですよ。「早期修了するならコレぐらいはやって貰わないとね」とのことでした。

早期修了要件充足のため、博士在籍期間中は猛スピードで研究を進めました。全速力で実験し、データを収集し、来る日も来る日も論文を書き続けたのです。土日に休んでなんかいられません。肉体と脳味噌を週7日・365日フル稼働させました。しまいには「休む」という概念を理解できなくなるまでに。休日って何ですか?休むって何だったっけ…?休んでも誰かが代わりに論文を書いてくれるワケじゃありません。休みは停滞。早期修了には1 mmも近付きません。旅行や外出で気分転換を試みるよりも仕事していた方が心が休まりました。キーボードを叩いて論文を書いている間だけが早期修了を手繰り寄せられる至福の時間だから。

博士在籍中、じっくりと物事を考える時間がほとんどなかったように思います。常に時間に追われ、早期修了できるか/否かの不安に苛まれ、ネガティヴな気持ちを忘れるために作業の中へと身を埋没させていたような感じ。辛かったです。もう少しゆっくり研究したかったな。研究をあまり楽しめませんでした。研究が嫌いになっただけの味気なくて単調な二年間でした。

繰り上げ修了期間分の成長機会を逸する

早期修了すればするほど早く企業へ行けて実務スキルを養えるのは事実。それと同時に、大学院へ長く身を置けば置くほど培えた”何か”があったはずなのです。

大学院は実社会と隔絶した世界。たまにSNSで大炎上する、世間知らずで化け物みたいな大学教員を生み出す弊害はある。けれども、社会と一定の距離を保っているからこそ落ち着いて物事を考えられます。時代の変化に影響を受けず、自身の価値観や洞察力を磨き、人間としてひと回り・ふた回り大きくなれるチャンスがあったはずなのです。早期修了成功によって、短縮修了期間分の人間的成長機会を逸しました。通常の博士学生よりハイペースで研究した分、私の逸した成長機会は一年どころでは済まないかもしれません。このことが吉と出るか/凶と出るかは何十年か経ってみるまで分かりません。なるべくネガティヴな結果に終わらぬよう、就職後は意識的に修養する機会を作るつもりです。

最後に

大学院博士課程を早期修了するメリットとデメリットについては以上。早期修了をお考えの方へ参考になれば幸いです。

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