「早期修了者は天才である」
この固定観念は、どれほどの人々の心に根付いているのでしょうか。私には、その言葉に違和感があります。なぜなら、私自身が決して天才ではないからです。幾度となく挫折と向き合い、諦めそうになった瞬間もありました。しかし、自分の限界に挑戦し続けた末に早期修了という高い壁を越えることができたのです。早期修了チャレンジの過程で見えてきた真実、そして真の天才の姿について、私なりの答えを持っています。
北大博士課程を一年短縮修了した技術開発エンジニアかめです。この記事では、「博士課程早期修了者は天才」という神話に対する私の解釈を記します。
かめそれでは早速始めましょう!
「早期修了者は天才」は誤解


私は博士課程を一年短縮して早期修了しました。学振DC1に採用され、IF24のビッグジャーナルにアクセプト。一瞬で企業に内定して就活を終え、五報の筆頭論文を記して修了した。傍から見れば順風満帆な博士生活だったようです。
しかし、早期修了の道のりは平たんなものではありませんでした。D1の後期には投稿論文が四回連続でリジェクト。留学中にはストレス過剰による喀血でぶっ倒れた。D2の5月には投稿論文用の研究プランが根本から崩壊。色々な困難を経験し、その都度乗り越えてきたからこそ飛び級に成功できたのです。
ごく一部の大天才を除き、早期修了者は【努力】で飛び級を成し遂げました。自分に天賦の才覚はありません。大学受験には落ちて浪人したし、修士時代には講義でレポートを出し忘れ、「良」を取って奨学金返還免除レースから脱落しました。平凡な自分が早期修了を目指すにあたって、腹をくくり、常人を超越した努力を誓ったのです。毎日十報ずつ論文を読んだ。実験ペースをB4時代と比べて10倍まで引き上げた。最大限努力して業績をかき集めてきました。
もしも私に何か才能があるとしたら、カッコつけず、努力の労を惜しまずガムシャラに頑張れることでしょうか。神様が見ていて哀れになるほど時間を研究に捧げました。だから最後に勝利の女神がクスっとほほ笑んで下さったのです。エジソンも言っていましたよね。「天才とは、99%の努力と1%の閃きだ」と。己の努力次第で天才まであと1%のところまで肉薄できるということです。



「早期修了者は天才」は誤解。努力を努力とも思わぬほど作業へ没頭できた人間だけが天才の領域へ片足を突っ込めるのです
修士課程の早期修了者は天才だと思う


天才とは、己が意図せず偉業を成し遂げてしまう特異な人種。秀才や凡才とは見える景色も住んでいる世界もまるで異なります。受験の天才なら労せず東大理三に合格するでしょう。研究の天才なら、気付いた時にはNatureやScienceなどのビッグジャーナルにアクセプトされているかも。意図せず早期修了してしまう人だけが天才。早期修了を目指して早期修了した自分には天才を名乗る資格などありません。
正直言って、博士課程の早期修了は、研究テーマ運と努力次第で意外と楽に達成できてしまいます。皆さんが思っているよりかは大変ではありません。研究テーマは、研究室配属時に注意して選びましょう。成果を次々と出せる課題をあてがってもらえれば飛び級の勝算アリ。大変なのは業績量を確保する所だけ。論文執筆ならではの産みの苦しみを乗り越え、書き方のコツさえ掴んでしまえば量産体制を整えられるでしょう。
博士課程よりも修士課程を早期修了する方がよっぽど難しいです。修了希望時期までに博士論文提出要件を充足していなければなりません。研究経験がアゾフ海ほど浅い学部・修士時代に論文を記すのは至難の業。自分自身、修士の早期修了には手が届きませんでした。博士早期修了は努力次第で手が届く可能性があります。能力が特に秀でているワケでもない自分にも手が届きました。修士早期修了は博士早期修了と似て非なるもの。努力だけでは到達困難な天才の領域に居る人間だけが手にできます。



真の天才とは「修士課程早期修了者」のことを指すのでしょう。SNSでチラホラ散見されます。凄い人もいるものですねぇ…
まとめ
早期修了は決して天才だけの特権ではありません。それは、自分の限界に果敢に挑戦し続ける勇気と、諦めない心を持った者に与えられる栄誉なのです。私の経験を通じて確信できたのは、博士課程の早期修了が、適切な研究テーマと日々の地道な積み重ねによって、意外にも手の届く場所にあるということです。もちろん、早期修了チャレンジの道程は決して楽なものではありません。深夜まで研究に没頭し、幾度となく壁にぶつかる。それでも前を向いて走り続ける。強い覚悟が必要です。
修士課程での早期修了はまさに別次元。限られた時間で卓越した成果を示さねばならない、真に特異な才能を必要とする領域なのです。
早期修了チャレンジを経て私が到達した結論を記します。それは、「天才」とは生まれながらの才能ではなく、自らの限界を超えようとする不屈の精神にこそ宿るということ。たとえ平凡な学生であっても、その精神さえあれば道は開かれることがあります。これから博士課程の早期修了を目指す方々へ。皆さんの中にもきっとその可能性の芽は眠っています。大切なのは、自分を信じて我武者羅になってみること。失敗上等。失うものなど何もない。最悪、標準年限で修了すればいい。ぜひ捨て身の覚悟で早期修了へ本気で挑戦してみていただきたいです。





















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