学術論文を雑誌投稿してから、アクセプト・掲載されるまでのプロセス

論文を投稿してからアクセプトされるまでの過程は、経験してみないとなかなかイメージしづらいものです。私自身、初めての投稿ではまったく先が読めず、今どの段階にいるのかすら把握できていませんでした。

この記事では、論文を学術雑誌に投稿してからアクセプトされるまでの一連の流れを、これまでの実体験を踏まえながら投稿者目線で解説していきます。これから論文投稿に挑戦する学生の皆さんや、論文掲載歴はあるもののアクセプトまでのプロセスがいまいちピンときていなかった方には参考になるはずです。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

流れの模式図

論文がアクセプトもしくはリジェクトされるまでの流れをまとめた模式図を以下に掲載します。

各項目について順に解説していきます。

第一ラウンド:編集者vs.著者チーム

論文投稿後、まずは雑誌編集者と対峙することになります。

投稿された論文はまず各雑誌の編集者による審査を受けます。編集者が論文を吟味し、掲載に値すると判断すれば査読プロセスへと進みますが、価値を見出せなかったり類似研究が既に発表されていたりすると、査読に回されることなく不受理(エディターズキック)になってしまいます。

化学系分野の場合、編集者の判断は通常1週間程度で下されるようです。世界中から日々膨大な量の論文が投稿されている現状を考えると、査読者の負担を減らすためにも編集者による選別は欠かせません。

エディターズキックを食らうと精神的にかなり堪えます。 査読にすら回してもらえなかったわけですから、門前払いも同然です。私もこれまで七回経験しましたが、投稿翌日に届いたリジェクト通知には、さすがに落ち込みました。

第二ラウンド:査読者チームvs.著者チーム

編集者の審査をクリアすると、いよいよ査読者との対決が始まります。査読は通常2名以上の専門家によって1〜2か月かけて実施され、全員の承認を得なければアクセプトにはたどり着けません。

査読結果はいくつかのパターンに分かれます。Reject(完全な不受理)、Minor Revision(軽微な修正で掲載可)、Major Revision(大幅な修正が必要だが基本的に掲載可)などのステータスで通知が届くのですが、どのステータスで返ってくるかによって一喜一憂するのが投稿者の宿命でしょう。

面白いことに、リジェクトされた場合でも大手学会の雑誌では、インパクトファクターの低い姉妹誌への転載(トランスファー)を提案してくれることがあります。私の場合、Cell系列のIF42の雑誌でリジェクトを受けた際にはIF9の雑誌へ、RSCのIF38の雑誌でリジェクトを受けた際にはIF4の雑誌へのトランスファーを提案していただきました。リジェクトのショックのなかで差し伸べられる救いの手は、正直ものすごくありがたかったです。

査読者から修正要求を受けたら、頑なに抵抗することなく、素直に修正案を受け入れてください。査読者は無償で貴重な時間を割いて論文を読んでくださっていますから、意見を軽視すれば相手の機嫌を損ね、リジェクトされる可能性が高まります。ここは素直さが武器になりますよ。

第三ラウンド:別の査読者チームvs.著者チーム (超一流ジャーナルのみ)

査読者とのやり取りは一度で終わらない場合がほとんどです。コメントと修正のラリーを何度も繰り返し、全ての査読者が納得してようやく査読プロセスが完了します。ただし、クリティカルな指摘に対応しきれなければ、ラリーの末にリジェクトされることもあります。

リジェクトとなった場合は別の雑誌を探して再投稿することになりますが、編集者の壁を再び突破しなければなりません。さらに厄介なことに、前回リジェクトした査読者に再び回される可能性もあるため、完全に無修正での再投稿は避けた方が賢明です。裏を返せば、前回の査読コメントを踏まえて改善した上で再投稿すれば、仮に同じ査読者に当たっても「ちゃんと直してきたな」と好意的に受け取ってもらえるかもしれません。

Nature、Cell、Scienceといった超一流誌に投稿する場合、第一陣の査読を突破した後にさらに第二陣との対決が待っています 一般的な雑誌なら第一陣を突破すればアクセプトに至りますが、超一流誌には特別な追加ステージが用意されている。ここでも全ての査読者を納得させなければなりません。

一流誌は、突破すべき壁の枚数が多いのです。色々な人からのお墨付きを受けて出版されるからこそ価値があります。

最終ラウンド:アクセプト後の図表修正→掲載!

アクセプトの通知が届いたら、最後に図表の修正作業が待っています。修正対応期間はわずか2〜3日しかありません。 アクセプトの喜びに浸る間もなく、雑誌指定の様式に全ての図表を合わせる作業に取りかからなければなりません。

私は初めてのアクセプト時、うれしさのあまり半日ぼーっとしてしまい、残りの日数で図表修正に追われる羽目になりました。アクセプト通知を受けたらすぐに図表修正へ取りかかることを強くおすすめします。

図表修正を終えれば、晴れて論文は正式に受理され、数日後にはオンラインで公開されます。自分の名前が載った論文がジャーナルのウェブサイトに並んでいるのを見た瞬間は、何度経験してもうれしいものです。

最後に

論文投稿からアクセプトまでの流れを解説してきました。編集者の壁、査読者の壁、超一流誌ならさらにもう一枚の壁と、論文がアクセプトされるまでには何重もの関門が待ち構えています。

一見すると気が遠くなるプロセスに思えるかもしれませんが、全体像を把握しておけば今どの段階にいるのか冷静に判断できますし、次に何をすべきかも見えてきます。私自身、エディターズキックも経験しましたし、リジェクトからのトランスファーも経験しました。それでも粘り強く修正と再投稿を繰り返していき、最終的にはアクセプトにたどり着けています。

これから投稿に挑む皆さんの研究成果が、無事に論文として世に出ることを心から応援しています。

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