論文執筆時の文献引用を爆速で行える無料文献管理ツール【Zotero】の紹介

こんにちは!札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大化学系大学院生のかめ (D1)です。D1・5月現在、筆頭論文4報&共著論文1報の計5報の論文執筆経験があります。

一本の論文を書くにあたり、図表の作成や考察の記述など越えるべき壁が沢山あります。私自身、これまで投稿した論文のどれ一つとして楽に書けたものはなく、中には文字通り血を吐くほどストレスをためてしまったことも。文献の引用も厄介な作業のうちの一つ。WEBデータベース上に存在する数多の文献から適切なものを抽出し、それらを適切な箇所で・適切なフォーマットでリファーするのはかなり面倒…

そこでこの記事では、論文執筆時の文献引用を爆速で行えるツール『Zotero (ゾテロ)』を紹介します。Zoteroを使いこなせたら論文執筆が幾ばくか楽になるので、学位論文や学術論文の投稿予定のある学生さんは是非最後までご覧ください。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

Zoteroとは?

本記事でご紹介するZoteroはいわゆる”文献管理ツール”です。WEB上に転がっている論文や書籍などをアーカイブ保存できるツール。もし一度読んだ論文を何も記録せず読みっぱなしにしていたら、再度読みたくなっても (前読んだ論文、なんていう名前だったっけなぁ…)と途方に暮れてしまうはず。そこでこのZoteroの出番!読んだらその都度Zoteroに入れ、自身の脳味噌の代わりに読んだ文献を覚えておいてもらうわけです。似たような文献管理ツールにMendeley (メンデレー)があります。ZoteroはMendeleyよりもデザインが殺風景で割と人気が低めですが、日本語文献を登録できたり書籍など論文以外の様々な媒体を記録できたりする点からMendeleyにはない魅力があります。

論文執筆時に文献管理ツールを使うべき2つの理由

次に、論文を書くとき(Zoteroに限らず)文献管理ツールを使うべき2つの理由を説明します。

論文執筆で面倒な引用作業がめちゃくちゃ捗る優れモノ!引用番号を手入力せずとも勝手に番号が付されるんです!

文献管理ツールを使うべき1つ目の理由は、文献の引用番号を自動で割り振ってくれるからです。一度この便利さに慣れてしまうと手作業での割り振りには戻られません。私自身、B4のとき執筆した卒業論文は手作業で番号を割り振っていました。しかしどこかで確認漏れがあったのでしょうか。論文の本編と参考文献リストとで文献番号がズレてしまった。「マジか…どこでズレたんじゃ…」とため息をつき、卒論を最初から読み返して番号がズレ始めた箇所の特定へ。1時間ぐらいかけようやく間違え始めたポイントを発見し、疲れ切った眼を何度もこすって卒論を仕上げたものでした。

文献管理ツールを使えばこんな気苦労をせずとも簡単に引用することができます。文献と文献の間に新たな引用文献を挿入しても自動で番号がスライドされ、”引用番号がズレていないか”と血眼になって探す必要が一切なくなるのです。Zoteroを使って始めて論文を書いた時の感動は未だに忘れらません。(こんな便利なモノが世の中にあるとは…!!)と開いた口が閉まらなくなってしまったほどです。

参考文献リストをワンクリックで&投稿雑誌のフォーマットに合わせた形で作ってくれる!

文献管理ツールを使うべき2つ目の理由は、論文の終わりへ記載する参考文献リストを一瞬で作ってくれるから。「冗談だろ」と思うでしょ?本当なのだから困ります。コレを手作業でやろうとすれば膨大な時間が必要となる。著者名や題目のスペルミス、雑誌名の略記法など様々な点に気を遣いまくって体力を消耗するわけです。文献管理ツールはこうした作業を一瞬で終わらせてくれます。引用登録した文献の情報を元にリファレンスがワンクリックで出来上がるのです。

参考文献リストは雑誌会社によってフォーマットが様々なんですよね (統一してくれたらいいのにな…)。

  • 引用番号を囲うのは()か[]か
  • 太字にするのは巻数か年か
  • 論文の題目は記すのか記さないのか
  • 著者名や雑誌名は略記型かフルネーム型か

など雑誌の数だけ違いがあって訳が分からなくなる。文献管理ツールを使ったならば、その論文を投稿する雑誌の規定に合わせて参考文献リストを作ってくれます!コレはデカい。めちゃくちゃデカい。雑誌会社の長大な投稿規定を読まずにパパっとリストを作られるのです。

Zoteroのイマイチな点

ここまで文献管理ツールの良い点をご紹介しましたが、必ずしも良い側面ばかりなわけではありません。以下ではZoteroユーザーの私が思う”Zoteroのイマイチな点”を2つご紹介します。

動作環境の構築が少々面倒

一つ目に思うイマイチな点は、Zoteroを使い始めるまでの初期環境構築が少々面倒な所です。Zoteroの公式サイトでは日本語でインストール手順が示されておらず、サイト内の英語を解読したり自分で類推したりしてソフトをインストールする必要があります。また、仮にインストールに成功しても、ZoteroとWordとを連携させるプラグイン (別のソフトウェア)もPCへ入れねばなりません。コレをしなくちゃ引用作業を始められず、初期環境構築の複雑な所がZoteroのイマイチな点であります。私は環境構築の際、以下のサイトへものすごくお世話になりました。皆さんがもしZoteroをお使いになる際は以下のサイトを参考にインストール作業を行ってください⇩

アプリ内で文献を開けない (⇔Mendereyは可能)

Zoteroのもう一つイマイチな点は、アプリ内で文献の中身を確認できない所です。もし論文への引用作業時に文献の中身を確認しようと思ったならば、Zoteroに登録された文献のタイトルをコピーしGoogle Scholarへペーストせねばならない。Zoteroは『文献管理ツール』というより『文献”情報”管理ツール』。著者名や雑誌名など引用文献リストを作るのに必要な情報は保存できる。けれどもその情報を抽出した文献の中身までは保存できていないのです。もし文献を後で読み返す用に保存したければMendereyを使った方が無難。Mendeleyならアプリ内で論文を開いて中身をチェックできますから。私の場合、6年以上毎日サバ缶 and/or イワシ缶を食べているおかげで結構記憶力が良く、一度読んだ論文の中身はおおよそ忘れず頭に留めておくことができます。タイトルを見ただけで中身を確認せずともぼんやりと内容を思い出せるため、アプリ内で文献を開けないZoteroで十分間に合っている現状。もし後で何度も読み返したいほど狂おしく好きな論文と出会った場合、Google Scholarの機能を使ってリーディングリストへアーカイブ保存しています。いちいち印刷していたら論文の山で机が埋まって作業できなくなりますからね♪

2024.1.26追記 Zoteroでもアプリ内で論文を見られることが分かりました。この項目については誤記です。大変申し訳ありません…

最後に

論文執筆時の文献引用作業を爆速で行える【Zotero】の紹介は以上となります。皆さんの論文執筆ライフの助けになればこの上なく幸せです^ ^

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