専門分野にまつわる実用書を読む

大学での研究は基礎的なものが多くて、自分が取り組んでいる研究が一体何の役に立つのか想像しにくいんですよね。現代社会と研究内容の結びつきが見えないまま実験を繰り返していると、自分はいったい何をやっているんだろう、と立ち位置を見失ってしまいます。
私は大学院で次世代電池の研究に取り組んでいます。テーマは一見すると華やかですが、やっていることといえば、単調で地味な実験の繰り返しなんですよ。元素の組み合わせを変えて電池容量向上を目指す王道タイプではなく、だから頻繁に「この研究をやることに意味はあるのか」と疑念が湧いていました。
やり甲斐を見出せなくなると、研究は途端に楽しくなくなります。モチベーションが下がれば研究がうまくいかなくなり、ますますやり甲斐が見つからなくなってしまう。
そんなとき効いたのが、専門分野にまつわる実用書(ビジネス書)を読むことでした。実用書には専門技術の活用例や当該分野の市場規模など、産業にまつわる話がぎっしり詰まっていて、普段大学で研究しているだけでは得られない角度から情報を仕入れられます。専門書は難解な用語が並んでいて読みにくいですが、実用書なら門外漢でもわかるように書かれているのでスッと頭に入ってくるんですよね。
何冊か読んでいくうちに、「自分の研究って。もしかしてあの技術に活かされるのかな…」と勘が働いてきます。そのうち、こんな未来を作れたらいいな、作ってみたいな、と自然にやり甲斐が湧いてくるでしょう。
電池研究をしている私の場合、電気自動車や資源・エネルギー関係のビジネス書を読んで研究へのやる気を取り戻しました。自分の研究が2〜3年先ではなく20〜30年先を見据えたものだとわかったのは大きかったです。
実用書で仕入れた知識は就活の場面でも重宝します。専門分野に馴染みのない面接官へ研究背景を説明するとき、めちゃくちゃ役に立ちました。皆さんもお時間があれば、実用書を図書館で借りるなり書店で買うなりして、一冊手に取ってみてください。
好きなことを思い切り楽しむ

研究をさほど楽しめないとき、一生懸命やりすぎてガス欠を起こしている可能性があります。私自身、学振DC1の内定を獲得すべく研究室配属直後のB4からフルスロットルで研究に打ち込んだ結果、M2の8月に喀血しました。ストレスが限界を超えて、研究をやる意義を完全に見失ってしまったのです。
こうなると、無理やりアクセルを踏んでも体は動きません。酷使した心身をゆっくり休めて疲労を回復させる必要があります。
不器用な頑張り屋さんにオススメしたいのが、一度研究と距離を置いて好きなことを思い切り楽しむことです。旅行でもランニングでも映画鑑賞でも何でも構いません。思う存分趣味に浸って気分転換してみてください。研究をコンスタントに進めるには、休むことも研究と同じぐらい重要です。
研究室へ行かなくていいのかな、休むのって何だか罪悪感がある。真面目な人ほどこう考えてしまうでしょうが、休むのも仕事です。気力をしっかり充電して新鮮な気分で取りかかったほうが、間違いなく良い仕事ができます。
指導教員や先輩に相談する

研究を楽しめないそもそもの原因は、研究テーマとの相性にあるかもしれません。いくらポジティブに取り組もうとしても、自分の持つ特質とまるで合致しなければ研究は思い通りに進みませんし、楽しさなんて湧いてこないものです。
私は、研究室配属当初に与えられたテーマとの相性があまりに悪く、「研究なんて全然面白くないやん、ただの苦行じゃん…」とショックで前を向けなくなりました。手先の器用さやマルチタスクが求められるテーマなのに、私は超不器用だしシングルタスク人間。楽しさを見出せる要素が見当たらなかったのです。
もしかしてテーマとの相性の問題じゃないかと感じたら、指導教員や先輩に事情を打ち明けてみることを強くオススメします。我慢したところで状況は好転しません。無理をすればするほど心が削られていくので、心の内を吐き出して解決策を一緒に考えてもらいましょう。
私は指導教員に相談を持ちかけ、B4の6月に研究テーマを変えてもらいました。こうして巡り合えたのが、いまの電池研究テーマなんです。電池は自分の性格にぴったりだったようで、研究の進捗度が目に見えて変わりました。
弱音を吐いたりテーマを変えたりするのは逃げでも何でもありません。大学や大学院を途中で辞めてしまうよりずっとずっとマシですよ。日頃から周囲と適切にコミュニケーションを取っておいて、辛いときにはいつでもカミングアウトできる状態にしておいてください。






















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