英語の学術論文ってどうやって読むの?気を付けて読むべきポイントを現役大学院生が解説します!

こんにちは!札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大工学系大学院生のかめ (M2)です。今でこそ一日に5本程度英語論文を読めていますが、研究室配属当初は1か月かけてようやく一本読めるか読めないかといった状態でした。また、私の属する研究室では論文の読み方について誰も教えてくれませんでした。自分なりに色々と工夫したり痛い目に遭ったりし、M2の後期にようやく「あぁ、こうやって読めばいいんだな」と手応えを掴めたのです。

この記事では、私みたいに論文の読み方を教えてもらえない研究室配属学生さんを救うべく、自分が英語の学術論文を読む際に気を付けているポイントについて解説しようと思います。

  • 論文の読み方を知りたい方
  • どうせ論文を読むなら少しでもためになる読み方をしたい方

こうした人たちにピッタリな内容なので、是非最後までご覧頂ければと思います。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

基本レベル:学部生相当

まずはこれから初めて論文の読破に挑戦する人に向けて読み方のポイントを解説します。論文を読む際は以下の3点に注意して読んでみて下さい⇩

  1. 英語論文の前に日本語の論文をまず読む
  2. いきなり翻訳ツールに頼るのではなく、とりあえず自力で英語論文を完読する
  3. 読了後、理解度チェックのため論文を一言で要約してみる

それぞれについて一つずつ解説していきます。

英語論文を読む前に日本語の論文をまず読む

いきなり英語論文へアタックすると挫折する可能性が高いです。ただでさえ馴染みのない分野に足を踏み入れていこうとしているのに、まして普段使わない言語で書かれた文書など頭に入ってこないはず。まずは卒論テーマの関連分野の”日本語文献”を読みほどき、専門知識をしっかりと吸収してください。当該分野の『研究背景』『解決すべき課題』として掲げられているものを総ざらいし、後に英語論文へ挑戦する下地を着々と養っていきましょう。日本語文献の検索ならばGoogle Scholarが便利です。読み終えた論文を保存ボタン(下の写真に示す)を押してアーカイブに保管しておけば、卒論を書く時に(前に読んだあの論文、何ていう名前だったっけな…)とネット上を何時間も徘徊しなくて済みますよ♪

私の場合、配属直後に手渡された英語論文があまりにも難しく、理解しようと思っても取っ掛かりが見つかりませんでした。そこで、英語論文を読むために日本語論文を10本ほど読み、ある程度知識をつけた上で英語論文に挑んだのです。日本語論文を読む際は

  • 論文に出てくる解析機器はどんな測定原理で動いているのか?
  • 論文内で掲げられた課題を解決するのになぜその手法を用いたのか?その他の手段ではダメだったのか?

この2点に気を付け読んでいました。10本読む前と後では見える景色が変わります。最初は何のこっちゃよく分からなかった英語の論文も(あぁ、コレが言いたかったのね^ ^)とスッキリ読み通すことができました。

翻訳ツールに頼らず自力で読み通す。グラフやグラフの軸の意味合いについても要チェック!

日本語論文を読んだら次は英語論文に挑みます。ココではいきなり翻訳ツールに頼るのではなく、まずは英語のまま最後まで頑張って読んでみて下さい。英語論文へのアタック中、分からない単語や表現、文章に印をつけておきましょう。途中、分からない単語がたくさん出てきて嫌になってしまうかと存じます。しかし、そこで諦めず読み通すことで英語を読む体力が養われますし、後に翻訳ツールを使った際に(ココはこういう事が言いたかったのか!)と疑問が氷解してスッキリ気持ち良くなれるのです。一度論文を読み終えた後は思う存分翻訳ツールを使って下さい。不明瞭な箇所を調べ尽くし、全文スラスラ日本語訳できるぐらいまで徹底的に読み込みましょう。英語論文を一本丸々自分のモノにしてしまえば、文中の英語表現を脳内にストックできて英語論文を書く際の助けとなります。英文を翻訳するときはShaper(シェイパー)で改行のないテキストに整形し、DeepL(ディープエル)を使って一気に日本語訳するのが最も速いと思います。

論文を読む際はグラフやグラフの軸の意味合いを抜け漏れなく理解しておいて下さい。グラフについては理系高校生にでも分かる抽象度で”何を示すデータなのか”を説明できるように。軸については盲点になりがち。もし自分の中で咀嚼しきれていなければ、雑誌会(ゼミでの論文紹介)の際に「この軸は何を表しているの?」と初歩的な質問をされてもうまく答えられないのです。軸を読み解くカギは単位[unit]にあります。単位からおおよその意味合いを推定し、本当にソレで合っているかをネットで確かめておきましょう。

論文をひと言で要約してみる。本質を理解できているかの良い確認になる。

ひと通り論文を読み終えたら、最後に論文をまとめてみましょう。その論文がどんな研究に取り組んでいて、どんな手法で如何なる課題の解決に成功したのかをひと言で要約してみるのです。論文を要約するには本質となる内容を十分理解していなくてはなりません。したがって、要約できるか否かが『論文をテキトーに読んだか・読んでいないか』の良い確認となるのです。読んだ論文を研究室内でプレゼンする際は、もしかすると時間の都合で論文中の全データを紹介しきれないかもしれません。そのような場合でも論文の核心を掴めていれば、(このデータは外せるけどこのグラフは外せないぞ…!)と図表を迅速に要/不要の判断を下せるわけです。論文の要約についてもっと知りたいという方は筑波大准教授・落合陽一さん方式の論文要約法がオススメです。関連リンクを貼っておくので興味があればご覧ください[先端技術とメディア表現1 #FTMA15 (slideshare.net)]

応用レベル:大学院修士課程相当

論文をある程度読み慣れてきたら、以下の3つのポイントにも注意して読んで下さい↓

  • 論文に秘められたオリジナリティー(独創性)はどこにあるか探してみる
  • 論文が作られるに至った着眼点を自分の脳へトレースする
  • 読んだ論文の引用先(引用された文献)を調べてみる

以下で一つずつ解説します。

読んだ論文に秘められたオリジナリティー(独創性)を考えてみる

論文にとって一番大切なのはオリジナリティーだと思います。他の論文とどう違うのか、何が新しくてどこが美しいのか。そうした独創性(新奇性)こそが学術論文の神髄なのです。論文をまだ読み慣れていないうちは独創性について思いを巡らす余裕がないでしょう。しかし、ある程度読み慣れてきて専門分野の知識を仕入れた後は(この論文のオリジナリティーはどこにあるんだろう…?)と読みながら考えてみていただきたいです。論文として世に出ている以上、どこかしら他の論文とは異なるポイントが必ず秘められています。それは使用した材料かもしれないし、真新しい測定機器、もしくは最先端の理論計算かもしれません。何でも構わないので何か一つ、「この論文はココが”新しい”のかな」と独創的なポイントを是非見つけて下さい。私の属する電池系コミュニティーでは使用材料が”新しい”場合が多く、私の研究では測定機器と実験条件に”真新しさ”を見出し戦っています。

論文のオリジナリティーを見つけてもらいたい理由は、自分の研究を設計したり論文として世に公表したりする際にめちゃくちゃ参考になるからです。研究の世界は生き馬の目を抜く厳しい世界で、どうにかして他の研究者と差別化して生き抜かねばなりません。その点、院生時代からオリジナリティーを意識して論文と接しておりますと、(差別化しなきゃ…!)とあくせくせずとも(この観点は他の研究者の盲点だろう)と勘が働くのです。そうすれば自然と研究が創造的なものとなるし、いつの間にか世界で自分にしかできないオリジナルな研究が花開きます(*≧∀≦*)

読んだ論文が作られるに至った着眼点を自分の脳にトレースする

独創性の項と内容が少し被ってしまいますが、論文を読む際は『どうしてその研究が始まるに至ったのか』にぜひ注目してみてください。

  • 当該分野のどんな課題を解決すべく始められたのか
  • なぜその課題の解決が必要なのか
  • 研究者グループがどのような未来を作にりたいと思って研究に取り掛かろうとしたのか

など、研究の着眼点に気を付けて読んで下さい。着眼点を発見したら、それを自分の脳へ丸々トレースしてしまいましょう。一流研究者の目の付け所は常人には思いもつかない場合が多く、論文の着想を知るだけでも相当な勉強になるのです。

論文を読むたび着眼点を自分のモノにしていけば、自分で新しい研究を始める際に(こうやったらいいんじゃないかな?)とアイディアが自然と湧き上がってきます。研究で一番大変なのは研究課題を作ることですが、日頃から着眼点を仕入れておけば産みの苦しみを最小限まで緩和させられるのです。研究遂行中に迷った時には(あの研究者ならこうするだろうな)と他人の思考回路で考えてみて、難局を打開する方法を次から次へと編み出すことができるでしょう。たとえ論文の内容をよく理解できずとも、研究の目の付け所だけは論文を読む際に脳みそへ刻み込んで下さい。

読んだ論文の引用先を調べてみる

論文を読み終え一息ついたら、読んだ論文の引用先を検索してみてください。どんな論文へどのような形で如何なる記述で引用されたかを調べてみてもらいたいです。論文は多くの先行研究をベースに執筆されているものの、読んだ論文も科学界の礎となって別の論文の下敷きになっていきます。どんな論文の下敷きになったかを調べてみるのは単純にワクワクさせられますし、読んだ論文がどんな文脈で引用されたを見ておくと(自分の論文もこんな形で引用されたいな…)と理想像を描きながら自身の論文執筆に挑めるわけです。

一般には”引用回数の多い論文が価値ある論文”とされています。しかし、引用件数が少ないからといって無価値というわけではありません。時代に先んじて出版された論文は時代が追いつくまであまり引用されない傾向があるのです。全く別の科学コミュニティーから注目されたことにより、今まで全然引用されなかった論文だって突如として年間何百回も引用される可能性を秘めています。このように、読んだ論文の引用先を調べてみると、今の当該分野のトレンドや盲点を一通り網羅できるのです。こうした一歩進んだ読み方ができれば研究レベルが加速度的に向上していくこと間違いなしです^ ^

最後に

論文を読む際に注意したいポイントはコレで以上となります。まとめると、

学部生レベル

  • 英語論文の前に日本語の論文をまず読もう
  • いきなり翻訳ツールに頼るのではなく、とりあえず自力で英語論文を完読する
  • 読了後、理解度チェックのため論文を一言で要約してみる

大学院修士課程レベル

  • 論文に秘められたオリジナリティー(独創性)はどこにあるか探してみる
  • 論文が作られるに至った着眼点を自分の脳へトレースする
  • 読んだ論文の引用先(引用された文献)を調べてみる

このような形になります。

研究室配属後、論文の読み方はあまり教えてもらえない可能性が高いです(先輩たちも読み方を教わっていないため)。この記事を参考に論文を読み、ご自身の今後の研究に役立ててもらえれば幸いです。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

カテゴリー

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次