実験系研究テーマで博士課程を早期修了する技術【実体験から語る】

「博士課程を早期修了したい」
「早期修了するのにコツなんてあるのかな」

博士課程在籍中、実験系の研究テーマで筆頭論文を五報記して一年短縮修了しました。

早期修了には少なからず運が必要です。実験はやればやるほど成果が出るわけではないし、論文だってアクセプトされぬ限りは研究業績になりません。しかし、早期修了を近づけるテクニックならあります。この技術を使えば、「自分の努力」が早期修了の足を引っ張ることはなくなるでしょう。

この記事では、私が博士課程早期修了するにあたって、実験や解析の面で心掛けていたことを解説します。早期修了に関心のある実験系大学院生にピッタリな内容です。ぜひ最後までご覧下さい。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

徹底的に考え抜かれた実験計画を用意する

早期修了できるかどうかは、実験を行う前から勝負が始まります。ちゃんとした研究計画を用意しないことには何も始まりません。

皆さんは研究計画をテキトーに立てていませんか? 行き詰ったらその都度軌道修正すればいいや、と甘くとらえていらっしゃるかもしれません。

早期修了を志すなら、研究計画を徹底的に考えて練り上げて下さい。基本的な実験方針から見直しましょう。

なぜコレを研究するのか
なぜこの手法を用いるのか
他のもっと良い技法があるのではないか
その研究テーマには別の角度から切り込んだ方が良いのではないか

実験着手後にあわてて軌道修正すると時間がもったいないです。理論上は絶対に失敗するはずのない計画を作ってようやく実験を始められます。

研究が順風満帆に進むケースはごく僅か。完璧に作り上げたと思っていた計画も、何らかの不確定因子が作用して頓挫してしまうでしょう。

計画を立案するにあたって、初期プラン破綻後のことも考えておかねばなりません。シナリオが崩れたときどうするか。どのようにリカバリーを図って成果創出につなげるのか。

初期計画を「プランA」としましょう。シナリオ崩壊に備え、プランAと少し実験方針を変えたプランA’やプランA”も作っておいてください。プランAの崩壊状況によっては、それとは大きく方針を変えたプランBやプランCに乗り移る方が良いかもしれません。

いずれにせよ、困ったときに慌てずに済むよう、計画を徹底的に組み上げておきましょう。一つの研究に対して、少なくともプランを3つ用意しておけたら安心ですね。

実験とデータ解析プロセスの速度を改善し続ける

計画を作れたら次は実験解析。思う存分データを集めて論文の骨子を作り上げていって下さい。

実験系研究テーマをしている方は実験が大好きでしょう。実験計画作成中は実験できず、少なからぬストレスをためてしまったはず。憂鬱な気分を晴らすように実験へ集中してください。プランが壊れたら適宜別のプランへ乗り移って、迅速に、速やかにデータを集めていきましょう。

実験を行うにあたって気を付けてほしいことがあります。作業の効率化を図り続けてほしい、ということです。

皆さんは既に、何かしらのデータ集積法が確立されているかと存じます。実験セルの生産技術や実験手順にある種の『型』があるはずです。早期修了を志すなら、既存の方法にとらわれていてはいけません。必勝法をあえて崩す勇気を奮い立たせ、もっと良い方法がないかと模索し続ける姿勢が必要です。それはデータ解析時も同じ。もっと早く、もっと効率的に分析を終えられる方法を考えて下さい。

早期修了は時間との戦いになります。普通よりも短い期間内で普通の人よりも多くの成果が必要です。同じデータを集められるなら、一日でもタイムカットできた方が良いでしょう。その一日があれば、論文をもう一報書いて早期修了に近づけるかもしれません。削れる時間があるなら徹底的に削りたい。浮いた時間を別の研究に回して少しでも多くの成果を出したい。

早期修了したければ、「速く、早く」を合言葉に掲げ、実験とデータ解析プロセスを高速化していきましょう。完璧だと思っていた実験プロセスも、入念に再検討すればどこかに改善の余地が見つかるものです。

論文数報分もの未発表データを博士進学前に集めておく

正直言って、博士早期修了に必要な業績を博士課程”だけ”で集めきるのは難しいでしょう。

いかんせん時間が足りません。高速化可能なプロセスをどれだけ速く回しても、修了要件の充足は厳しいです。早期修了に時間が不足する可能性が高いのは自明。

皆さんに必ず知っておいてほしいテクニックがあります。修士課程のうちに論文未発表データを集められるだけ集めておくことです。

論文一報分のデータ蓄積はマスト。可能ならば二報分ぐらいのデータが欲しい所。博士課程で行うべき実験を修士課程のうちに済ませておきましょう。”博士在籍中の作業量をどれだけ減らせるか”と長期的視野を持ってください。極論、博士課程を論文執筆だけで終えられるのが理想的(なかなか難しいですけどね)。修士のうちに苦労しておけば、博士進学後の自分が大いに助かるでしょう。

データを対外へ出さずに隠しておくのも重要。間違っても学会発表に使ったらダメですよ。データを見た誰かに実験をパクられる懸念がありますから。未発表データを世の中へ出さぬままお蔵入りさせるほど辛いものはありません。データを見せて良いのは、指導教員と自分のごく近しい人だけ。データを適切に守り切るのも早期修了に不可欠なマインドです。

自分の場合、論文未発表データを三報分集めてから博士進学しました。

私は北大生ながら筑波の国研で研究しています。しかも、実験できるのはその国研の中でだけ。

悪いことに、私がD1になる一年間、国研でお世話になっている共同研究者さんが霞が関へ出向することが決まりました。「D1の一年間は丸々実験できない」とM2の前期に明らかになったのです(戦慄しましたよ)。博士課程を早期修了したいなぁと博士進学前から考えていました。また、指導教員から、早期修了に必要な論文数は”五報”と告げられていた。D1とD2で五報出すには、D1の間にも何報か出版せねばなりません。修士課程在籍中にデータを集められるだけ集めておくしかない状況でした。

そこで、研究計画を徹底的に練り上げ、作業プロセスを改善し続けました。あとは執念。早期修了へ並々ならぬ思いを抱いて研究に邁進したのです。その結果、M2の一年間で論文三報分の成果を集められました。博士課程在籍中に行った実験は、わずか論文一報分だけ。

早期修了成功の秘訣は、博士課程をデスクワーク中心の日々にできたこと。論文なら世界のどこでだって書けます。日本語原稿さえ作り上げてしまえば、AIの手助けを借り、英語翻訳をものの10分で終わらせられます。

皆さんは私のように、博士在籍中に一年間も実験できないだなんてことはないと思います。私よりはるかに早期修了に近い環境が整っているはずですから、やり方次第で早期修了に手が届きますよ。

まとめ

以上、実験系研究テーマで博士課程を早期修了するテクニックを実体験から解説しました。

徹底的に練られた計画を用意し、実験解析プロセスを見直し続ける。そして、修士課程のうちに論文未発表データをなるべく多く蓄積しておく。早期修了にはこの三本の矢が必要です。一本の矢だけなら折れやすいけれども、三本の矢を束ねればそう簡単に折れません。皆さんが早期修了を達成するにあたって、この三本柱を常に意識してください。やるべきことをすべてやり尽くし、最後は運を天の神様に委ねましょう。

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