博士課程早期修了挑戦をオススメする3タイプ【せっかちさが武器になる】

通常3年かかる博士課程を、2年以内でフィニッシュする「早期修了」。この言葉には、「選ばれし優秀な学生のための裏ルート」めいた、どこか特別な響きがありますよね。まるで、生まれながらの才能と幸運に恵まれた者だけが手にできる、伝説のアイテムのようです。

実際に早期修了を爆走した経験から申し上げますと、この認識には首をかしげます。むしろ、一見すると早期修了とは真逆の資質に思える「せっかちさ」や「研究以外への強烈な関心」こそが、最強のブースターになり得るのです。

この記事では、私の独断と独断と独断に基づき、博士課程早期修了に意外なほど向いている3つの人物像をお届けします。読み終える頃、「あれ、これ自分のことかも?」と、早期修了がグッと身近な選択肢に感じられれば幸いです。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

タイム・イズ・マネーの体現者

行列を見るだけで「人生の貴重な時間を…」と哲学的な問いに苛まれ人。論文がアクセプトされるまでの悠久の時にイライラが頂点に達する。そんなあなた、おめでとうございます。早期修了の才能があります。

早期修了に不可欠なのは、エレガントな研究計画でも、高尚な研究への情熱でもありません。その正体は、実にシンプルな衝動「せっかちさ」。時間を金(あるいは命)のように尊び、実験も論文執筆も超速でこなし、時には「えいやっ!」と大胆なショートカットを選べる決断力こそが原動力なのです。

考えてみてください。せっかちなあなたが、博士号取得まで律儀に3年間も待てますか?「2年?いや、1年半で出してもらえませんかね?」と交渉したくなるのが人情でしょう。私を含め、せっかちな人間は、体内に『大学院脱出希望力』を宿しています。地球の重力を振り切って宇宙へ飛び立つロケットのように、「さっさと修了したい!」「6歳から始まった学校生活はもう十分だ!」「次のステージで新しい風に吹かれたい!」――そのマグマのような欲求が、フィニッシュ地点めがけて、リミッターを外して驀進する燃料となるのです。

もちろん、相応の代償はあります。

早期修了には、標準的な修了者より多くの論文数が求められます。私の大学では、標準なら論文2報でOKなところ、早期修了には5報が必要でした。2年以内に5報。それはもはや、アカデミアのウサイン・ボルト。号砲と同時にパッと飛び出す。他の院生がスタートブロックを蹴ったころ、あなたはもうゴールテープを切っている。早期修了には、そんな異次元の瞬発力が求められるのです。成果を性急に求める本能的なせっかちさがなければ、とてもじゃないけれども挑めません。徹夜明けに次の実験計画を立てられるか。疲れていても論文をもう1ページ記せるか。狂気じみたタフさが問われるのが博士課程早期修了。

中途半端な覚悟では、厳しい博士課程の道のりで確実に燃え尽きてしまいます。結論。早期修了は、生まれついての「せっかちさん」にこそ与えられた天啓です。自覚のある方は、その才能を爆発させてみてください。

神に愛されし者たち

少し考えただけで、完璧な研究計画が降ってくる。特に何もしていないのに、なぜかデータがどんどん出てくる。まるで研究の神に愛されているかのような、そんなあなたは、言うまでもなく早期修了向きの逸材です。

早期修了を目指すなら、研究計画で迷っている暇はありません。1週間のロスが致命傷となり、1ヶ月もロスすれば早期修了の夢は遥か彼方へ。まさに、1日たりとも無駄にできないタイムアタックなのです。

もちろん、計画が破綻する場合もあります。

私自身、D2の5月、最後の論文計画がジェンガのようにガラガラと崩れ落ちる悪夢を経験しました。血の気が引く音を聞きながら、そこから三日三晩、エナジードリンクの翼を無理やり広げ、モニターの光で目を焼かれながら、世界中の文献に目を通す。半ば狂乱状態で練り上げた新計画。必死に追い上げて、かろうじて九死に一生を得ました。早期修了志望者には、不測の事態に数日でリカバリーできる総合的な「地頭力」(課題解決能力や迅速な意思決定力)が求められます。

地頭力と同じくらい、いや、それ以上に重要なのが「運」ではないでしょうか。研究で良い結果が出るか。論文がすんなり通るか。そもそも、早期修了に理解のある指導教員に出会えるか。全てに運が絡んできます。研究と運は、もはや一心同体なのです。

これまで「自分、ツイてるな」と感じてきたあなた。大丈夫、そのツキは一生モノです。自信を持って進みましょう。

逆に「自分は運が悪い…」と思っているあなた。今すぐネガティブな自己暗示を捨ててください。「どうせ自分は…」なんて思っていたら、幸運の女神もそっぽを向いてしまいます。どんな逆境、例えば実験の失敗でさえも「なるほど、この現象は新しい論文のネタになるな!」とポジティブに捉えるのです。女神さまは、そんなご機嫌な人間の元へ、一目散に駆けつけて微笑んでくれるもの。何を隠そう、運に見放されていた私自身、D2から「脳内お花畑作戦」を徹底した結果、なぜか論文が量産できるようになりました。

研究以外にやりたいことが見つかった人

大学に長くいると、ふと研究以外の世界に心を奪われる瞬間が訪れます。スポーツ、プログラミング、起業。情熱を注げる何かに出会ってしまった。それが研究だった人は、そのまま王道を進んでください。

しかし、もし研究「以外」に熱中できるものを見つけてしまったら?
将来のビジョンから「研究者」の文字が消え、別の道が輝いて見え始めたら?

かつての私は、根っからの研究中毒者。海外留学での大失敗を機に研究熱が急冷され、代わりに新たな夢「地元の広島でのんびり暮らしたい」が芽生えました。研究が嫌いになったのです。そして、研究以外の道へ進みたくてたまらなくなったのです。かつての自分を裏切るような罪悪感を抱えながら進路決定しました。

もちろん、中退の選択肢もありました。ですが、これまでの膨大な時間を思えば、手ぶらで去るのはあまりに悔しい。戦い抜いた証「学位」だけはどうしても手に入れたかった。「研究は嫌い。でも博士号は欲しい」。巨大な矛盾を前に、私はどうすればいい?

答えは一つ。早期修了です。 かつての私のように『もうここにはいたくない、でも手ぶらでは去れない』と願うあなたにこそ早期修了。早期修了とは、最速の脱出ルート。標準より早く自由になれるうえ、「飛び級」という箔まで手に入るのですから。

研究が嫌いだからこそ、早期修了を目指す。そのためには、標準以上の成果を出すべく、誰よりも研究に打ち込まなければならない。壮大な葛藤と繰り広げたデスマッチ。今となってはよき思い出です。当時はまぁ~、地獄でしたね。毎朝「なぜ俺はこんなことを…」と天を仰ぎ、夜には「よし、これでまた一日、広島での自由な生活と、あの店の神がかったお好み焼きに近づいたぞ」と静かにガッツポーズを決める。メンタルの振れ幅は、ジェットコースターよりもジェットコースターしていました。学生時代の綱渡り的生活こそが尋常ならざる集中力を生み出したのです。

まとめ

博士課程の早期修了には「優秀さ」や「幸運」が語られがち。本稿で示した通り、ゴールへの道筋は驚くほど多様なのです。「せっかちさ」は、時間を捻出する最強の武器になる。「研究以外の夢」は、ゴールテープを切るための明確なモチベーションに。私自身の挫折経験が、標準以上の成果を生み出す起爆剤となったように。

早期修了は、一部の天才だけに許された聖域などではありません。むしろ、あなたの持つ一見アンバランスな特性や、人生の転機から生まれる「どうしても譲れない何か」こそが、最強のエンジンになるのです。

もしあなたが、ここに書かれた3つのタイプのどれかに少しでもピンと来たなら、そのエンジンはもう、あなたの心で暖機運転を始めているはずです。この記事が、あなたの心に眠る「早期修了」への渇望を呼び覚ますスパークプラグになれば幸いです。

さあ、誰に遠慮することなく、アクセルを床まで踏み込んでみませんか?

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

カテゴリー

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次