博士課程への進学は、研究者を目指す多くの方にとって重要な岐路となります。特に理系分野において、博士号の取得は研究職への大きなアドバンテージとなるだけでなく、キャリアの幅を広げる重要な要素になるといってよいでしょう。
ところが、博士課程進学を考える際、多くの方が「そもそも自分に入学試験を突破する力があるのだろうか」「研究生活についていけるのだろうか」という不安を抱えているのが現状です。確かに、インターネット上には博士課程の厳しさや困難さを強調する情報が溢れかえっています。
本記事では、理系博士課程の入学試験について、私の経験を踏まえながら具体的に解説しました。
かめそれでは早速始めましょう!
博士課程へ進学するには
博士課程へ進学するには、博士課程入学試験にパスしていただく必要が。国立大大学院の場合、毎年8月と2月に院試が行われています。提出が求められるのは研究計画書。進学後の計画を指導教員と打ち合わせしておくことが必要です。書類には、どの時期にどのような研究を行う予定であるかを記します。三年間での修了を見込める研究計画をよく考えて作りましょう。
院試本番では、事前提出した資料に基づき、専攻内の教員の前で研究プレゼンテーションを行います。発表後、質疑応答のセッションも待っているので、補足資料の用意を忘れずに。私の院試では、口頭発表15分・質疑応答15分でした。質疑の雰囲気は和やかそのもの。笑いの絶えない、優しいムードで終始しました。
大半の博士課程入試は倍率1倍以下
国立大学の場合、学部入学試験の倍率は2倍以上です。合格者よりも不合格者の方が多い、厳しい選抜が行われます。修士でも1倍は超えるでしょう。例年、所属元専攻の院試では一人は落ちていました。
博士課程入学試験の場合、倍率が1倍を超えるケースは極めて稀。定員オーバーになどまずなりません。定員に対する出願者数が少なく、ほぼほぼ全入状態となっています。修士課程修了後、大半の学生は民間企業へ就職するのです。就職した方が金銭的に苦労しないし、博士課程での苦労を味わわずに済むからでしょう。実際、博士課程は辛かったです。もしも私がまた進路選択を行うなら、次は博士課程進学以外の道を選ぶと思います。
博士課程は修了するのが難しい
博士課程へ入るのはカンタンです。入ろうと思えば誰でも入れる全入状態になっています。一方で、博士課程をで得るのは難しいです。入学者のうち1~2割程度が三年で出られていません。
博士課程を修了するには、専攻ごとに定められている博士論文提出要件をクリアする必要が。学術論文の出版数や学会発表件数などが規定回数を超えなければなりません。どれだけ努力を重ねたとしても、成果を出せなければ意味がありません。土下座や義理人情は通用しない。学生を測る唯一の物差しは業績だけ。論文出版ペースが遅れてしまったら、三年での修了は見込めないでしょう。四年目に突入するか、諦めて退学するか、厳しい選択が求められるのです。
もしも博士課程へ進学するなら強い「覚悟」を固めましょう。”絶対に修了する!何が何でも三年以内に成果を出し切るぞ!”と心に決めて下さい。半端な気持ちでは志が頓挫します。メンタルが崩れたら一巻の終わり。学位取得への道が閉ざされてしまいかねません。修了するまで強い気持ちを保ち続けられる人は博士課程へ行ってください。精神面に自信のない方は、とりあえず就職して様子をうかがってみるのが宜しいかと。
最後に
ここまで、博士課程の入学と修了に関する現実的な側面について見ていきました。多くの方が抱く「入学の壁」への不安は、実際にはそれほど心配する必要がないことがお分かりいただけたのではないでしょうか。むしろ重要なのは、入学後の研究生活を乗り切る覚悟と実力なのです。
博士課程への進学をお考えの方には、まず自身の研究に対する情熱と、長期的なキャリアビジョンを見つめ直していただきたく存じます。成果主義の厳しい世界ではありますが、確固たる目標と強い意志があれば、必ずや道は開けてくるはずです。一方で、現時点で迷いをお持ちの方は、一度社会に出てから再考する選択肢も持っておいて下さい。博士号取得は決してゴールではなく、研究者としてのキャリアの通過点に過ぎませんから。ご自身のペースで、じっくりと進路を見極めていただければ幸いです。




















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