登場人物設定
- かめ:自分。記事執筆現在、大学院修士2年生(M2)。もともと話下手な方だったが、学部→修士での大学院試験やM1の就活での面接により面接を乗り切るコツを掴んできた。
- Bさん:後輩女子。かめより3歳年下の学部4年生(B4)。大学院試の面接を間近に控え、少し怖くなってきたようだ。
イントロ
ねぇねぇ、かめさん。ちょっと聞いてもらえません?
ん?どうしたの、Bさん?
ウチ、来週、大学院試があるんです。それで、筆記試験の対策はもうバッチリなんですけど、面接のことすっかり忘れてしまっていて…
おぉ、もうそんな時期か… まぁ、今から対策始めても全く問題ないと思うよ。度胸のあるヤツはなんも練習しないで本番へ行くぐらいだし、そこまで面接対策にあくせくする必要もない気がするんだけどなぁ…
いやでも、ウチはちゃんと練習しとかなアカンのです。ウチ、かめさんとか友達とか、既に気心知れてる人にはこうやってスラスラ話せるんですけど、初対面の人とか偉い人の前ではいっつもしどろもどろになるんです。B3の秋にインターンでグループディスカッション(GD)した時なんて酷かったですよ。ただでさえ初対面の人と話すから緊張しちゃった上、GDにも慣れてなかったから一言も話すことができなかったんです…
だから、面接にちょっと苦手意識があるってこと?
そうなんです。ウチ、ちゃんと練習して面接に行かな、多分GDの時みたく何も話せず終わっちゃう気がします。こないだのインターンはお試しで行ってみただけやからまだ良かったんですよ。でも、大学院試で失敗しちゃったらニートになって人生詰んでしまうだろうし、(これはホンマちゃんと気合入れて練習しとかなアカンなぁ)って思ったんです
そうか、分かった。そしたらこの記事では、大学院試の面接を乗り切って合格を勝ち取るための下準備を4つ解説していく。他にもやっておくべきことは山ほどあるけど、全部挙げるとキリがないし、僕が(最低限この4つを徹底的に準備しておけば大丈夫だろう)と思ったものに絞って話を進めていこうと思ってる
やったー、助かりますっ!
僕もあまり話し上手な方じゃないけど、今から述べる4つの対策をやったおかげでB4とM2の時の面接はバッチリだった。僕の体験談を交えて話していくつもりだから、是非最後まで聞いてもらえればうれしい事この上ないよ
下準備その1:どうして大学院に行く必要があるか、自分や相手が納得できる理由を探しておこう
まず一つ目の事前準備は何ですか?
まず真っ先にやって欲しいのは、どうして自分が大学院に行くのか、いま一度考えてみることだね
えっ?そんなの、”みんなが行くから”に決まってるじゃないですか~^^
まぁ、ぶっちゃけそうかもしれないけどさ笑、もし面接でそれを言っちゃったら確実に落とされると思うよ
えっ、ヤダ怖いです。どうしてですか…?
Bさんも面接官の立場になって考えてみて?もし人を選別する立場に立ったら、
①思考停止して周囲と同じ行動をとる人
②自分で能動的に将来の選択を下せる人
このどちらを採用したいと思う?
そりゃまぁ、②ですよね…
でしょ?面接官だって同じだよ。まぁ、従順な人間が欲しい会社の面接ではもしかしたら①の人間の方が好まれるかもしれないね。だって、頭がいいヤツは(この会社に未来はないんじゃないか?)と余計なことを考えて、すぐ辞めてしまうかもしれないからさ。一方で、大学院の面接では研究者の卵たる大学院生を選ぶ場なので、②みたいな自立した思考力のある人間が評価されるんだよ。なぜって、研究者は自立して人と違うことをしなくちゃ論文を1報たりとも出版できないし、”どんな未来を創りたいか”っていうビジョンを語れなくちゃ研究資金を得ることすら叶わないからさ
なるほどなぁ。よく考えたら、大学院って就活予備校じゃなくて研究機関ですもんね。いくら学生数に応じて補助金がもらえるからといって、研究する素養が皆無な人間を大学院へホイホイ入れるわけにはいかないですもんね…
そういうこと。もし大学院へ進学したければ、”自分には研究者になる素質がありますよ”っていうのを示す必要がある。だから、たとえ建前であろうとも、大学院へ進学する理由について、何としてでも自分の言葉で言えるようになっておく必要があるんだよ。面接って筆記試験のオマケじゃなくて、一応院試の一つの試験科目になているからさ。面接も受験者のスクリーニングの場として存在しているから、この点だけは絶対に忘れないようにしておいてね
そういえば私、出願する時に”志望理由書”っていうものを書いて出したんです。確かそれを書く時も(アレっ、ウチはなんで大学院へ行くんやろか…?)と困ってしまって、その時はネットで”大学院 志望理由書 なんて書く”って検索し、良さ気なものを真似して作成しました笑。あぁ、ウチ、出願する時にもう少し真剣に考えとけば良かったです… なんであんなテキトーに書いて出してしまったんでしょう…
まぁ、過去のことを悔やんでも仕方がないよ。院試の面接でも「論理的思考力を深めたいからです」的な建前通りのことを言っとけば大体OKだと思うよ。実際、僕の場合はソレでどうにかなったし。ただね、”どうして論理的思考力を深めたいのか?”とか”その深めた思考力をどう使うのか?”みたいに、もう一歩深掘りして考えておくべきだよ。面接官側もFAQに対するテンプレートなるものがあることぐらいは当然把握済みだよ。なので、受験者の思考力・臨機応変力を見るために突っ込んだ質問をしてくることはある程度想定しておいた方が良いと思うね
分かりました^^ じゃあ、ウチが志望理由書に書いて出した建て前バリバリの理由を頑張って深掘りしていこうと思います!
まぁ、頑張って笑。
あと、面接は建前で乗り切ってもらって結構なんだけど、建前以外にも真面目な理由についても一つぐらい持っておくといいんじゃないかと僕は思う。コレについては面接で役立つか否かの次元じゃなくて、翌年からの大学院生活も見据えて伝えたいわ。何も目的なしに修士課程2年間を過ごすより、情熱に突き動かされてバリバリ研究頑張った方が絶対楽しいし成長できるでしょ?僕の場合、電池が好きで好きでたまらなかったから、”電池のことをもっと研究したい”とか”世界が驚くすんごい電池を作りたい”とかいった知的好奇心ベースの理由を胸に秘めて面接に臨んだよ
確かにそれは良いと思います。ただ院了資格を得るためにダラダラ院へ通うより、何かしら使命感や目的意識を持って行動した方が絶対に得られるものが大きいはずです。かめさんが毎日”気違い”みたいに研究室へ行ってるのって、別に誰かから強制されてるわけじゃなくて、ただ純粋に電池のことをもっと知りたいからですもんね。私も人に指図されるの嫌いだから、なるべく早く”自分を突き動かしてくれるもの”と出会いたいなと思っています
(誰が気違いやねん笑) もし今すぐ見つけられなかったとしても、研究を頑張っていたらそのうち手元に転がって来るよ。焦らずじっくり待つのが肝心だよ^^
ありがとうございます(≧∇≦)
相手を納得させられる進学理由だけじゃなく、自分をも納得させられる理由を見つけること。コレが事前準備の1つ目だね
そしたら、2つ目の下準備を教えて下さい!
おっけー、じゃあ次いくね^^
下準備その2:自身の研究内容について、科学のド素人にも伝わるよう説明出来るようにしておこう
2つ目にやっておくべき下準備は、自分の研究内容についてだね。面接では”今やっている研究”と”大学院でやろうと思っている研究”の2通りの研究内容について聞かれるから、それらについてちゃんと説明できるようになっておくのが肝心だよ
レベル的にどのぐらいの分かりやすさなら相手側にちゃんと伝わりますか?
目安としては、両親や祖父母に説明して伝わるぐらいまで抽象度を下げるのがオススメだよ。いくら面接官が同じ専攻の大学教員だとはいえ、少し専門分野が違うだけで全く話が通じない場合が往々にしてあるものなんだ。自分が(こんなん知ってて当たり前やろ)って思っていた言葉や式も、Bさんの研究分野の門外漢にはちょっと何を言ってるか分からないのよ。だから、科学に縁も馴染もないド素人に向かってしゃべるつもりで、超噛み砕いて説明できる準備をしておくと、本番では自分の意図をなるべく正確な形で相手側に伝えられるんじゃないかな?
なるほど。ところでかめさんって広島出身だから、”高い所にあるものに手が届かないこと”を「手がたわん」って言いますよね。私、あれ最初聞いた時、 (この人なに言うてはるんやろうか…?)ってめっちゃ不思議に思いましたもん。面接もコレと同じことですよね?専門用語を聞かされた面接官も、もし仮にその分野に詳しくなかったら、”初めて聞いた方言みたいに何を聞かされているのか分からない”ってことですよね?
そうそう、正にその通りだよ。少しでも (コレ伝わるかな…大丈夫かな…?)って思ったら、専門用語ではなく、それを噛み砕いた語彙を使って表現してみるようオススメしたい。せっかくBさんがいいコト言っても、専門用語のせいで上手く伝えられなかったらあまりに勿体ない話だからね♪
あと、専門用語を聞かされ続けると、面接官も人間だから、(もっと分かりやすく説明してくれよ…)と腹が立って気分を悪くしちゃうんだ。そうすると低い面接点をつけられかねないから、少しでも合格する確率を上げたいんだったら、研究内容を平易な言葉で伝える練習をしておくのが安心かつ確実だよ
分かりました。ちなみになんですけど、出願した時と実際の面接の時とで大学院でやる研究内容が違う場合はどうしたらいいんでしょう?私、研究室配属当初に指導教員から課せられた実験テーマがあまりに私と合わなくて、急遽別のテーマをやることになっちゃったんです…
それについては何も心配する必要はないよ。現に僕も、院試前に研究テーマ変わっちゃったし
あっ、そうだったんですか?
うん。僕の指導教員曰く、出願から受験まで2か月近くも経つのだし、研究方針がガラリと変わってしまっているのなんて結構よくある話らしいよ。なので、面接官が大学院での研究内容を尋ねてきても、慌てず落ち着いて「志望理由書には○○をやるって書いてたのですが、チョメチョメの事情で△△をやることにしました」って言えたらいいんだよ
ハッキリ言うけど、Bさんが何を対象に研究をするか、面接官はほとんど興味がないよ。だって、一日に何十人も面接しなくちゃならないのに、一人一人の研究内容なんていちいち覚えていられないからね。繰り返しになってしまって申し訳ないけど、面接は”この人は自分の頭で考えられる人か?”っていうのを測る場なのよ。だから、新しい研究内容やそれをやる事になった理由を落ち着いて話せるようになっておけば、いくら研究対象が変わろうと何も問題ないってこと👍
それを聞いて安心しました。私、研究内容が変わったことをどうやって言い訳したらいいのか分からなくて、ずっとず~っと頭を悩ませていたんです…
大丈夫大丈夫^^ ただ、何回も研究テーマをコロコロ変えちゃうと、先生からの心証が悪くなってしまうよ。新しくいただいた研究テーマからはできるだけ逃げず、周囲の助けも借りながらどうにかクリアしてもらいたいわ
頑張ります。そしたら、試験前の3つ目の下準備について教えて下さい
御意。じゃあ3つ目の話をしていくね^^
下準備その3:将来について朧気でもいいから考えておこう
3つ目にやっておくべきなのは、自分の将来について考えておくこと。修士(博士)課程を卒業したらどんな進路を選ぶのか、朧気でもいいから想像してみて欲しいんだ。ひとことに”進路”と言っても色々あるよ?大多数は民間企業へ就職するし、公務員になる人もいるし、僕みたいに博士進学する人も僅かながらいるし、最近だと自分でビジネス立ち上げて起業する人もいるかもしれないね。
ところでBさんは何をするつもりなの?
まだ何も全く考えていません。考えようとしてみても、具体的に何も想像できないんです…
分かるわぁ。僕もB4→M1の院試前はホンマに何も考えてなかった。むしろ僕の方が酷かったかも。僕はBさんみたいにB3の頃インターンへ行ってたわけじゃないから自分が働いている場面を想像することすらできなかったし、”将来のことは将来の僕が何とかしてくれるだろ”って結構甘く見てたぐらいだし笑
でも、面接では”修士卒業後に何をするんですか?”って聞かれがちなのよ。ここで「アンタらの知ったこっちゃないやろ!」って逆ギレしたら落ちてしまうから、志望理由と同様、建て前でもいいので何か考えておかなくちゃならないわけ
ちなみにかめさんはB4→M1の面接ではその質問に何て答えたんですか?
当時は就職する気満々だったし、「修士修了後は就職します」って答えたよ。ドクターに行くつもりはないの?って深掘りされたから、「今は企業への就職を第一に考えています」って答えた。ココで”どうして企業への就職を第一に考えているのか”、理由を説明できたらカッコよかったなと思ったよ。でも、当時の僕はホンマに何も考えていなかったので、説得力のある理由を一切提示できないまま次の質問に移っちゃったね…
そしたら、やはり少しでも将来のことについて考えておいた方が良いみたいですね
そうだね。あと、意地の悪い質問として、「もし院試に落ちたらどうするの?」って聞かれることもあるから注意しておくと良いと思う。僕の場合、B4→M1の面接で実際にそんな質問をされたんだけど、研究室で研究生としてお金を払って在籍するのは何となく嫌やったものだから「高校まで在籍していた乗馬クラブで働きます」って咄嗟に返事しちゃったよ。僕が奇をてらった回答をしたせいで、面接ではとある面接官から鋭いツッコミを食らってしまった。ツッコまれない無難な回答としては、「後期募集があればそこで受けます」とか「来年再挑戦します」みたいなものが挙げられるかな
「もし落ちたらどうするの?」なんて、それこそ”アンタらの知ったこっちゃないやろ”案件ですよ笑。そんな質問するぐらいなら落とさないでよって思います。それに、仮にウチがそんな質問されたら、(えっ、ウチ落ちるの?そんなに筆記試験の出来悪かった…?)とテンパっちゃう気がします(´Д`) あ~、嫌だなあ、そんな質問されちゃったら!
おそらく、受験生をあえて動揺させ、臨機応変に対応する力を試す目的の質問なんだろうね。そこで動揺したら受験生の負けが確定する。どんな時も落ち着いて、一呼吸おいてから答えればいいんだよ^^
分かりました。ここまで聞かせてくれた3つの準備を着々と進め、面接は肩の力を抜いて臨もうと思います!
ついでにもう一個話そうか思うててんけど、Bさん、どうする?やっぱやめとく?もう疲れちゃった?
あぁ、ついうっかり忘れてました。そしたら、上の3つの事前準備が済んだとして、最後にやっておくべき準備を教えて下さい!
了解。そしたら、最後の下準備について話していくね♪
下準備その4:自身の過去のエピソードを元に自己分析し、『研究に関する自信の強み』のアピール用意をしておこう
ここまで話して下さっただけでも十分乗り切れそうな気がしてきたのですが、まだやれることが残っているんですか?
うん、あるよ。もし時間に余裕があったら、自己分析をやってみることをオススメするよ
ジ コ ブ ン セ キ?なんか聞いたことあるなぁ…
あっ、そうだ!就活でやっておいた方がいいって噂のヤツですよね?
うん、それそれ。Bさんは過去にいろんな経験をしてきたと思う。その中でも”自分が成功した体験”や”自分が主体的に選んできた選択肢”について、(どうして上手く行ったのだろう)とか(どうして他にも道があったのにこの道を選んできたのだろう)って一度考えてみて欲しいんだよね
自己分析をやると、自分のことがよく分かる…?
もちろんそれもある。加えて、もっと良く分析してみると、常人より秀でた自身の特性が一つぐらいは見つかるはず。僕の場合、ソレは『反骨心』だった。僕は頭が悪いから中一の時は英語のテストで学年270人中260位をとるぐらい酷い有様だったし、”乗馬”というスポーツをやらせてもらっていたくせに超肥満体型だったんだ。でも、(あの鼻持ちならない帰国子女に勝ってみたい…!)とか(デブ笑っていじめてきた奴らを見返したい…!)と思ってがむしゃらに勉強/練習をした結果、英語の学年順位は3年かけて学年1位にまで駆け上がれたし、乗馬でも国体 (全国大会)で優勝するまでになったんだよ
別に僕みたいな変わったエピソードじゃなくても大丈夫。どんな小さな出来事でも構わない。自己分析の目的は、自分の長所を探し出し、自分の長所を研究に活かすことなんだもん。たとえばBさんが体力に自信があるとするね?そうしたら、持ち前の体力でもって、他の人の何倍も実験をして実験スキルの熟練やデータの蓄積に活かすと良いと思う。また、もしきめ細やかさを武器とするなら、実験データを注意深く観察することで、誰もが見逃しそうな有意な傾向を自分だけ見つけられたら最高だよね
ここで自己分析するのは、面接で「あなたの強みは何ですか?」って聞かれがちだからですか?
そうだね。まぁ、僕の院試面接では聞かれなかったから、”必ず”問われるとは限らないよ。でも、もし聞かれた時、何も考えてなかったら浅い返答しかできないじゃん?なので、時間があったらでいいから、自分の強みや性格についてちょっと振り返っておくのがオススメかな
分かりました。自己分析もやってみようかなと思います!
ちなみに、博士課程に進む学生さんが申し込む奨学金制度の一つに学振DCっっていうものがあって、その申請書には例年『研究に関する自身の強み』なる自己分析コーナーがA4用紙1枚分(評価書を入れれば3~4枚分)設けられているんだ。Bさんがもし少しでも博士課程に行くつもりがあるならば、申請書を書くときに慌てて自己分析を始めても手遅れになっちゃうかもしれないので、B4の今ごろから少しずつ自分の強みについて考え始めておくと後々良い思いをするかもしれないよ
私、どうやら研究好きみたいだから、もしかしたら博士進学するかもしれません。DC1の申請書をちゃんと書けるよう、ちょっと真面目に自己分析してみようかなって思いました
お~、そうか。無理のない範囲で頑張ってな。
ちなみにコレが僕がDC1内定を掴み取った申請書。Bさんが申請書を書く時にいくらか参考になるかもよ
わぁ嬉しい、ありがとうございます!申請書用意の時期が迫ってきたら、是非参考にさせてもらいますね♪
かめさん、今日はどうもありがとうございました。コレで面接もどうにかなりそうです♪
良かった良かった。Bさんから良い報告が聞けることを楽しみにしているよ(*≧∀≦*)
最後に
大学院試験の面接を乗り切り合格を勝ち取るための事前準備4についてはコレで以上です。この記事をお読みになった皆さんが無事に院試を突破できるよう祈って記事を締めくくります。
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