【英語論文毎日読破】博士課程早期修了達成に向けて毎日取り組んでいた基礎学習

北大博士課程を一年短縮修了した技術開発エンジニアかめです。

早期修了には大量の業績が必要です。私が指導教員から課せられたのは、主著英語論文五報以上の出版でした。論文を出すにあたって、たくさんの実験やデータ解析が必要なのは言うまでもないでしょう。研究を下支えする基礎学習は疎かにされがちな部分かもしれません。私は博士課程在籍中、早期修了を目指して、「毎日2時間の基礎学習」を行っていました。限られた期間で業績を出し切られたのは、充実した基礎学習のおかげです。

この記事では、博士在籍中に行っていた3つの勉強内容についてお紹介します。伸びしろをお探しの博士学生さんへピッタリな内容です。ぜひ最後までご覧ください。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

英語論文毎日読破

研究室配属されたB4からD2まで英語論文を最低毎日一報読み通してきました。博士課程在籍中はもちろん、学士・修士課程でも論文を読み続けてきたのです。

読んだ論文の報数は、どれだけ少なくても五千報はあるでしょう。アブストと図表だけ読んだものを含めれば一万件は超えているかも。M2までは論文を印刷して読んでいました。印刷物があまりに多くなりすぎて机上がぐちゃぐちゃに。D1以降はスクリーン上で読むようになりました。論文執筆へ役立ちそうな論文に限って文献管理ソフトzoteroへ保存していました。

毎日英語論文を読んだ目的は以下三つ⇩

  • 専門知識拡充
  • 英語表現の習得
  • ライバルの動向チェック

論文を読めば専門知識を養えるでしょう。基礎的な論文からは基礎的な知識を、発展的な論文からは真新しい解析手法を学べ、研究の幅を広げられるのです。分からない単語や概念が出てきたら、ネット検索して知見を深めます。読み流さずキャッチアップしていくことで一報の論文をフル活用できるでしょう。何を知っていて、何を知らないのかを占うリトマス試験紙としての役割も。無知の無知に陥っていないか。学問へ謙虚な姿勢を保てているか。論文を読みながら自問自答しています。

読んだ論文はほぼ全てが英語論文。何ページもある論文を連日読み通せば、学術英語の語彙習得や英作文力向上につなげられるでしょう。一般的な英語運用力も高まります。論文読解速度が上がるにつれ、日常的な英語の文章やニュース英語を読む速さも高まってくるのです。TOEICのスコアだって上がりますよ。私の場合、B4では680点だったのが、D2では805点まで上がりました。

ライバルグループの動向チェックも欠かせません。自分たちと似たような研究をするグループの研究内容を確認します。最新の出版論文を綿密に解析する。SWOT分析したり、生成型AIに食わせて分析させたりして、相手が将来どのような研究をやりそうか考察するのです。
アカデミアでは、研究成果を論文出版して報告します。学術的な成果は、一番最初に報告した者に限って認められるのです。ライバルチームの先を越すか、ライバルとは異なる研究をするか。自分は後者の道を選びました。競争はイヤ。将来協業しうる可能性がある以上、互いが成果を出し合えるような友好関係を築ける余地を残しておきたかったのです。

超難問ナンプレのタイムアタック

北大へ入学したB1から八年間、ナンプレを毎朝三題ずつタイムアタックしてきました。勉強というよりも趣味の一環で。純粋に楽しいから続けてこられました。

本屋さんのパズルコーナーには「超難問ナンプレ問題集」が売っています。ブックカバーが赤や黄色など毒々しい色で目をチカチカさせるのが特徴的。ナンプレには、理詰めだけで解けるものと、理詰め+仮定法で解くもの二種類が。私が取り組んでいたのは「理詰めだけ」で解けるもの。仮定法で解き切るには運の要素が強くなってしまいます。学習に運は求めていません。実力が色濃く反映される理詰め勝負のできるナンプレをやっているのです。

毎朝ナンプレに取り組む狙いは「盲点発見力」を高めるため。

ナンプレは論理的思考力を使うスポーツ。各マスへ入りうる数字をひとつずつ検討していき、全体へ矛盾の生じないよう仕上げていきます。

本来はノンストップで解き切られるはず。論理を積み上げていけば難なく解ける、はず。それなのにスムーズには解き切られない。中盤に手がパタッと止まる瞬間が訪れる。我々が見落としてしまった「盲点」がどこかに隠されているのです。盲点は盲点であるがゆえになかなか見つからない。マス目をくまなく探しても見つからぬ時がある。八方ふさがりに陥っても探し続ける。検討漏れのあった箇所を発見できれば難題が解決するでしょう。

私がタイムアタックへ挑戦しているのは「盲点発見力」を鍛えるため。時間に追われながら思考をフル回転させ、検討漏れを見つける能力を高める作戦。ナンプレをやるたびに盲点へ苦しめられます。八年やり続けた今でも苦労させられっぱなし。そんな中でも徐々に盲点発見力が高まってきました。八年前と比較して、一題あたりの回答完了タイムは平均4分以上高まっているのです。

盲点発見力は研究で役立ちました。実験条件設定の検討漏れはないか。プレゼンの質疑応答で対策に漏れはないか。論文の考察に論理的整合性はあるか。単独で進めれば盲点になりがちな箇所でも一人で問題なく処理できるようになったのです。今は自身と生成型AIの二人三脚で盲点の撲滅を試みている所。隙はほとんどありません。何でもかかってこい! …嘘です。お手柔らかに^ ^

純文学の読書

読書自体はB1から、純文学の読書はB3から始めました。ナンプレと同様、趣味の一環で。ただし、ナンプレよりかは勉強目的の要素が強めです。

娯楽性に重きを置く小説を大衆文学と呼びます。文章や世界観の芸術性に重点を傾けた小説が純文学です。図書館で借りたり書店で買ったりして純文学の本を読んできました。
まずは三島由紀夫の潮騒と金閣寺を読破。面白くて、三島由紀夫の新潮文庫で買える作品を全て読み切りました。続いて太宰治と谷崎潤一郎。トルストイとドストエフスキー、サマーセットモームを挟んで、夏目漱石全集を全巻制覇。各作家の放つ個性に魅せられて以来、黙読に加えて音読でも純文学を読み通すように。文章の持つリズム感に身を浸らせるのが楽しいのです。

純文学を読んでいた目的はふたつ⇩

  • 国語力向上
  • 情緒を養う

研究者には国語力が必要です。研究者の仕事の半分は文章を記すことですから。研究報告書を記す。科研費の申請書を記す。論文を書く。大学教員なら講義のシラバスを作成する。このように、研究の世界では表現力を問われる場面が多々あるのです。

その点、純文学はオススメできます。文章をただ読み進めていくだけで良質な文章を吸収できるからです。純文学中に出てくる助詞や接続詞の使い方はナチュラル。自分が普段記している文章がどれだけいい加減なものか思い知らされるでしょう。豊かな表現には唸らせられる場面も。そうか、この感情にはこのような表現方法があったのかと勉強になります。尤も、研究者に求められるのは、文学的文章ではなく明瞭な文章。書籍の文章を真似する必要はありません。思考や風景の描写から「物事を言語化する方法」を学び取るのです。

研究にはふたつの要素が必要です。論理的思考力情緒のふたつが。多くの方が注目しているのは論理的思考力の一方だけ。思考力は積み上げ型。知見を一つずつ組み立てていく際に役立つでしょう。

思考のブレイクスルーには「ひらめき」が欠かせません。何の脈絡もなしにパッと頭へ降ってくるアイディアが研究の更なる展開を産むのです。ひらめきの源泉となるものが情緒。得られた知見に豊かな感受性を振りかければ、魔法がかかったようにして新たな発見が生まれるでしょう。純文学は情緒の養成に役立ちます。美しい文章や世界観を素直に受け入れる過程で心へ情緒が育まれます。

最後に

北大博士課程早期修了を目指していた私は、充実した研究成果を出すため基礎学習を日課に据えていました。主著英語論文を五報以上出版する目標達成に向けて3つの基礎学習を実践したのです。

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