英語力が格段に上がった

英語論文にはアルファベットがびっしり詰め込まれています。普段日本で暮らしていれば英語を目にする機会などほとんどありませんが、論文はこちらの事情などお構いなしに立ちはだかってくる。最初から最後まで読み通すのは非常に骨の折れる作業で、大学受験の英語長文が可愛く見えてくるほどです。
ただ、我慢して食らいついていくと、少しずつ読解速度が上がっていきます。英語を読むこと自体に慣れ、専門用語を記憶していくにつれて一報あたりの所要時間がどんどん短くなる。研究室配属当初はまる一日かかっていた一報が、M2の後期には30分程度でサクッと読了できるようになりました。 ヒマな日や週末には二報、三報と次から次へ新しい論文に手を伸ばす余裕まで生まれます。
論文読破のおかげで、英語力が総合的に高まりました。英字新聞や英語の小説をある程度理解しながら読めるようになりましたし、言いたいことをスムーズに英語化するスキルも発達しました。英語力を高めるには多読が重要と言われますが、英語論文を毎日読めば研究知識を吸収しつつ多読まで実現できるので、まさに一石二鳥です。
英語力を高めたい研究室学生の皆さんは、ぜひ毎日英語論文を読んでみてください。Google Scholarを開けば教材は無限に転がっていますから、ご自身のレベルに合わせた論文選びから始めてみるのがおすすめです。
研究に何種類かのパターンがあることに気付いた

英語論文を読みまくっていると、あれ、こんな論文は前にも見なかったか、と既視感を覚えることが頻繁に出てきます。まったく同じ実験手法で書かれているわけではなく、論文全体の流れやパターンが類似しているように感じるのです。
B4の頃はパターンがあるなんて思いもしませんでした。論文を500報ほど読んだM1の後期あたりから既視感を覚え始めたのです。賢い方なら数報読めば研究の型を見出せるのでしょうが、私は要領が悪く、数百報ストックしてようやくパターンが浮かび上がってきました。
論文を読み続けていくうちに、自分の研究領域の全体像が見えてきました。私は電池の研究をしているのですが、セパレータ、電解液、正極材に負極材、それぞれの領域が何を目指していて、どんな研究パターンがあるのかを感覚的に察知できるようになったのです。
ひとたびパターンを掴んでしまえば、研究の進め方がめちゃくちゃ楽になります。 手持ちの武器でパターンに則って研究を行うだけで論文になりますし、逆に定跡からあえて路線を逸らしてみれば、他の人が見落としてきた重大な盲点を発見できる可能性も出てくるでしょう。
引用文献探しが一瞬で終わる

英語論文を毎日読む一番大きなメリットは、論文執筆時の引用文献探しが一瞬で終わるところです。普段論文を読まない学生は引用文献を探すのに苦労しますが、毎日読んで脳内にストックしておけば、「前に読んだあの論文を引用できそうだ!」と勘が働いて、所望の文献をすぐに手元へ引っ張り出せます。
WEB上には膨大な量の論文が転がっており、自分の仮説をどストライクに裏付ける文献を探し当てるのは至難の業です。仮に良さそうな論文を見つけられたとしても、引用に使うためには中身を精査しなければなりません。その点、前に一度でも目を通した論文であれば、脳内データベースから短時間で目当ての文献を取り出せますし、既に中身を把握しているぶん自信を持って引用できます。
自分の仮説を組み立ててから先行研究で裏付けるスタイルもいけます。先行研究をかき集めて新説を提案するスタイルも可能でしょう。過去の知見に立脚したこの流れで、説得力のある論文が簡単に出来上がってしまうんですよね。
読み手に配慮した英語を書かなきゃなと思わせられた

千報以上読んでいると、論文著者の英語力次第で読みやすさが大きく変わる点に気付きました。英語圏出身著者の論文はナチュラルで読みやすいのに対し、アジアや中東の研究者の論文は、どこかぎこちなくて読みにくい。母国語ではないのだから仕方がないと言われればそれまでの話ではありますが、論文は引用されてナンボの世界ですから、読みやすいに越したことはないでしょう。
非英語圏の研究者のアクセプト率が低めなのは、人種差別以外にも理由がありそうな気がします。もしかしたら、英文の読みにくさが原因でリジェクトされている側面もあるのかもしれませんね。
仮に論文を読みまくっていなかったら、論文を書き上げることに必死で、読む側の気持ちに配慮することなどなかったのではないでしょうか。内容さえ伝わればいいやの精神で、内容すら伝えられないまま終わっていた気がします。最悪ですね。
英語論文の毎日読破は、読む側に配慮する思いやり精神を心に培ってくれました。他人の論文を読むたびに、「自分が書くときは分かりやすく書こう」と背筋を伸ばす今日この頃であります。
最後に
英語論文を毎日最低一報、3年間読み続けた感想は以上です。3年と言わず1年、半年でも読み続ければ何かが変わりますから、研究室に所属する学生の皆さんはぜひ毎日論文を手に取ってみてください。






















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