英語論文を毎日最低一報、3年間読み続けた結果どうなったか?

こんにちは!札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大工学系大学院生のかめ (D1)です。B4の4月に研究室へ配属されて以来、毎日英語論文を最低一報読み続けてきました。この記事では、英語論文を3年間読み続けた結果どうなったかを記していきます。

  • 研究意欲の高い学部生の皆さん
  • これから研究を頑張っていきたい修士課程の皆さん

こうした方々にピッタリな内容なのでぜひ最後までご覧いただければ幸いです。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

英語論文を毎日最低一報、3年間読み続けた感想

この記事で解説したい感想は以下の4つになります⇩

  1. 英語力が格段にアップした
  2. 研究に何種類かの『パターン』があることに気付いた
  3. 英語論文を執筆する際、引用文献探しが瞬時に終わった
  4. ”読まれる側”だけでなく”読む側”の視点を得ることができた

以下で一つずつ述べていきます。

英語力が格段にアップした

英語論文にはアルファベットがびっしりと詰め込まれています。普段日本で暮らしていても英語などほぼ目にしませんが、論文はそんなのお構いなしに『読めるもんなら読んでみろ!』と立ち塞がってくる。最初から最後まで読み進めるのは非常に骨の折れる作業。大学受験で見た英語長文が可愛く見えてきちゃうほど。そんな難物に我慢して食らいついて行くと少しずつ読解速度が速くなります。英語を読むのに慣れていき、英語の専門用語を記憶していくにつれ読み進めるのが速くなる。研究室配属当初は一報読むのにまる一日かかっていても、M2の後期になれば難なく30分程度でサクッと読了。ヒマな日や週末は二報、三報、…と新しい論文を次から次へと読むことも。

論文読破のおかげで自身の英語力が総合的に高まりました。英字新聞や英語の小説をある程度理解しながら読めるようになったし、言いたいことをスムーズに英語化できるスキルも発達しました。英語力を高めるには『多読』が重要と言われている。その点、英語論文を毎日読めば、研究知識を吸収しつつ多読までできるという一石二鳥が実現します。英語力を高めたい研究室学生さんは毎日英語論文をお読みになるのが宜しいかと。Google Scholarを開けば教材は無限に転がっていますし、ご自身のレベルに合わせて教材選びから始めて下さい^ ^

研究に何種類かの『パターン』があることに気付いた

英語論文を読みまくっていると、

かめ

あれっ?こんな論文、前にも見なかったっけ…?

既視感を覚えることが頻繁にあります。全く同じ実験手法で論文が書かれた訳ではなく、論文全体の流れというか『パターン』みたいなものが類似しているように思えたのです。B4の頃は”パターンがある”だなんて全く思いもしなかった。論文を500報ぐらい読んだM1の後期あたりから上記のデジャブを感じ始めました。賢い方なら数報も読めば研究の”型”を見出せるでしょう。しかし私は要領が悪く、数百報も論文をストックしなくちゃパターンが見えてきませんでした。その後も論文を読み続けると、リチウム蓄電池材料系研究の全体像が浮かび上がってきたのです。そしてセパレータ、電解液、正極材に負極材など、それぞれの領域が何を目指しているのか、どんな研究パターンがあるのか等を感覚的に察知しました。

ひとたびこの『パターン』を掴んでしまえば研究遂行がめちゃくちゃ楽に手持ちの武器で研究を『パターン』に則って行うだけで論文になる。反対に、研究の定跡たる『パターン』から敢えて路線を逸らしてみれば、他の人が見落としてきた重大な盲点を発見できる可能性も。私の場合、敢えて王道から外れた研究をし、アメリカ化学会のビッグジャーナルに論文を掲載できました[関連記事]。私のように大学院在学中にビッグジャーナルに論文を出したい方は”王道から逸れる勇気”を持ってください。茨の道は先駆者がおらず大変進みにくいですが、一歩ずつ道を切り開いていけばその先に大きな果実が待っています👍

英語論文を執筆する際、引用文献探しが瞬時に終わった

英語論文を毎日読む一番大きいメリットは、論文執筆時の引用文献探しが一瞬で終わる所です。普段論文を読まない学生さんは引用文献を探すのに苦労します。でも毎日論文を読み脳内にストックしておけば、(前に読んだあの論文、引用できそうだな💡)とカンが働き所望の文献をすぐ手元に出せます。WEB上には膨大な量の論文が転がっており、自分の仮説をどストライクに裏付ける文献を探し当てるのは至難の業。仮に良さそうな論文を見つけられたとしても、引用文献に使うため論文の中身を一応精査しなくちゃならない。その点、前に一度でも論文を読んでいれば、論文を書くとき脳内データベースから (もしくは手元の論文の山から)短時間で目当ての品を得られます。既に中身に目を通した状態だから自信を持って引用できる。この自分の仮説を組み立ててから先行研究で裏付けるスタイルに加え、先行研究をかき集めて新説を提案する別のスタイルだって可能。

かめ

先行研究でこんなことを言っていたから○○も説明できます!

といった流れで、過去の知見に立脚した説得力のある論文が出来上がります。何か新しい成果を生み出そうと思えば先人たちの智慧に頼ればいい。英才たちの研究成果をストックし、自分のエッセンスを加えて編集すれば、一風変わったオリジナリティー溢れる論文がいっちょ上がり!というワケです。

”読まれる側”だけでなく”読む側”の視点を得ることができた

千報以上読んでいると、論文著者の英語力の高低に読みやすさが左右される点に思い至る。英語圏出身の著者の論文はナチュラルで読みやすいけれども、アジアや中東の研究者の論文はどこかぎこちなくて読みにくい。”母国語じゃないのだから仕方がないだろ”と言われたらそこまでの話なんですけどね笑。しかし、論文は引用されてナンボの世界。少しでも読みやすい英語で記した方が引用される確率が高まる。非英語圏研究者のアクセプト率が低めなのは人種差別以外にも理由がありそう。英文が読みにくいが故にリジェクトされている側面もあるかも。

仮に論文を読みまくっていなかったなら、今頃は論文を書きあげること”だけ”に集中していたかなと思います。読む人の気持ちなど特に気にせず、自分の書きたいようにヘタクソな英語で論文を記していたでしょう。英語論文の毎日読破は論文を”読まれる側”の気持ちだけでなく、”読む側”に配慮する思いやりの精神を心に培えるのです。他人の論文を読むたび (論文を書く時は分かりやすく書こう)といつも背筋を伸ばされますし、少しでも多く引用してもらえる研究者を目指す毎日であります。

最後に

英語論文を毎日最低一報、3年間読み続けた感想は以上になります。3年と言わず1年、半年でも読み続ければ何かが変わりますので、研究室に所属する学生さんはぜひ毎日論文を手に取ってみて下さい^ ^

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