研究室生活春夏秋冬vol.38 D1・4月 博士課程がスタート。学振や論文投稿、授業など慌ただしい日々

目次

1日:博士課程がスタート。目標決定&論文投稿

新年度開始とともに博士課程がスタート。初日は土曜日ということで進学した実感はなく、嵐の前のひとときの静けさに研究室で一人浸っていました。学振DC1に内定したおかげでお金の面はあまり心配がない。それよりも『果たして修了要件を満たすまで気力が持つだろうか?』と精神面での不安が募っていました。研究のやりすぎでM2の8月に一度燃え尽き[関連記事]、どん底から再起していま現在に至ります。もし再び燃え尽きたら次は立ち直れないかもしれないので、”ペース配分にだけは細心の注意を払って研究をしていこう”と決めました。

研究室でPCにてサッカーを観つつ、博士課程の目標を考えました。まず①筆頭著者として論文を4報出版する。ウチの専攻は筆頭論文を3報書けばOKなのですが、ギリギリを狙うのも何だか興醒めだなぁというワケです。せっかくD進したのだからいまの研究を更に突き詰めたいし、ハイペースで論文を書いて次世代蓄電池実現の基礎を構築したい。自身にとって『4報』ぐらいが相応しい目標だと判断しました。次に②Oxford大学で爪跡を残す。D1の9月半ばから行くイギリス留学で我武者羅に研究へと邁進し、向こうの大学の先生に「君スゴイネ!」と褒めてもらえるほどちゃんとした成果を残したい。北大生でも世界のトップ研究者を相手にやり合っていけるんだと実証する。教えを請いに行くのではなく、あくまでも対等な立場の”共同研究者”として一人でイギリスに行ってきます。最後に③1年間繰り上げて早期修了する。高三次に京大農学部へ不合格となり浪人をし、他の人より一年遅れて大学生活をスタートさせた[関連記事]。自身の中で『一年遅れている』という事実がずっと重荷になっていたため、博士課程の早期修了でもって遅れの分を取り戻したい。早期修了は至難の業。全てを懸けて一年を取り戻す覚悟はもうガチガチに固まっています。

午後には私の筆頭論文を指導教員が雑誌に投稿してくれました。博士早期修了を達成するために早くアクセプトされるといいなぁ…

3日:学生証の受け取り&若手研究者海外挑戦プログラムをめぐる事務とのやり取り

週明け・月曜から新年度が本格的に始まりました。研究室の初回ゼミに出たり学生証や学生便覧を受け取ったりと非常に慌ただしい一日。隙間を縫って午後に40回目の成分献血へと行きました。ところが献血をする直前に北大の教務課から「プログラムの書類を出し直してくれ」との連絡が。献血イスに座り右腕に針をぶっ刺されながら左手を使ってスマホでメール。脳に血液が行ったせいで献血マシーンへ血が行かなかったらしく、普段の1.5倍・90分間も献血イスへ釘付けにされました。何とか書類を提出できてひと安心といった所。本プログラムへ採択されたら海外渡航費&生活費など総額200万円もの支援を受けられるため、Oxford留学を楽にするため是が非でも採択されて欲しい。申請書類の出来や採用倍率的には8割ぐらいの確率で【採択】と予想。7月の結果開示を楽しみに待ちたいと思います。

4日:履修登録&学振へ在籍証明書の提出&国民健康保険への加入手続き

北大大学院の場合、博士課程進学後も講義を受けねばなりません。取得すべきは『8単位』。学部時代の143単位や修士時代の20単位に比べたら授業へ割く労力は少ないものの、研究に100%の力を注ぎたい自分にとっては『8単位』すら煩わしくて仕方がない。何とか簡単に単位を得られそうな講義を同期と血眼になって必死に捜索。D1・前期で8単位を取り切られる時間割が出来上がりました。

同日、学振へ博士課程の在籍証明書を提出。コレを出さなきゃ学振DCの支援を受けられません。提出期間が4/4~4/7までと非常に短かったため、学振から「証明書を出してネ」と催促メールが来た瞬間に用意していた証明書をパパっと提出。長かったDC1の採用手続きも無事完結し、あとは月末に公開される採用者名簿に名前が載っていることを確認するのみ♪

研究室を早退し、夕方、区役所で国民健康保険 (国保)の加入手続きをしました。学振と雇用関係はないのに研究奨励金を給与所得とみなされ税金を引かれ、おまけに会社員が入れる”健康保険”ではなく国保に入らねばならぬという矛盾。考え出せば(なんでやねん…!)と少し腹立たしくなってくる。いつか特別研究員が健康保険に入れる明るい未来が来るといいなぁ…。加入手続き自体は順番待ち込みで15分ほどであっけなく終了。6月からは国保の保険料が我が懐から引き抜かれ始めます…

5日:授業料減免申請の追加書類を提出

先月提出した授業料減免申請書類のうち、保険証のコピーだけまだ提出できていませんでした。3月までは親の扶養下のため健康保険者だったものの、4月からは独立生計者として国保に切り替わるので国保の保険証が必要でした。とはいえ国保の保険証はまだ手元にありません。区役所で発行してもらった”仮保険証”を提出書類といたしました。授業料減免申請のため、学振DC1受給者は国保加入手続きの際に仮保険証を発行してもらってください。発行費用は無料ですし、本チャンの保険証が届くまでに病気になっても仮保険証で診療時に割引を受けられます。

7日:講義がスタート…

金曜から講義が始まりました。初回は別の研究科で開講された再生可能エネルギー (再エネ)の授業へGO。蓄電池材料研究をする自分が再エネを学ぶのは有意義じゃないか?と思って選択。授業前の履修意欲は割と高かったです。しかし講義を受けてみて(こんなの受けるんじゃなかったわ..)とガックリ落胆。日本の大学で開講される講義なのに資料や講師の説明はすべて英語。おまけに授業を聴いているうちに(日本で再エネをこれ以上普及させるのは無理なんじゃないか?)とモチベーションが急激に落ちてきた。一緒に講義を受けに行った同期は「オレこの講義取るのやめるわ」と早々に離脱宣言。私自身は翌週も同じ講義に参加したけれども、再エネについて真面目に勉強する気になれず同期と同じくリタイア宣言。D1・前期に8単位取り切る計画がものの見事にガラガラと崩壊。早期修了を懸けたD2に講義を受けるのはあまり気が進まないものの、早期修了の為なら講義と博士論文作成を同時並行させるしかない。

10日:次に投稿する論文を執筆開始

博士修了要件を満たす二報目の論文の執筆に取り掛かりました。今年度は諸事情につき筑波の国研へ出入りできず、M2までに蓄積したデータを論文化する執筆中心の毎日です。今のところ三報目までの論文のネタは既に手元にある状態。イギリスへ渡航する9月半ばまでにその三報目まで論文を書き切ってしまい、留学中に四報目投稿用のデータを揃えて『2年での早期修了』という運びになります。今回論文にする研究成果は電池業界に革命を起こすかもしれない。高価な計算ソフトを用いずExcelでデータシミュレーションを行う点、電池コミュニティーの中で盲点になっていた分野を的確に突く点など真新しさが満載だからです。自身の論文がビッグジャーナルに掲載される未来が既に脳裏へ克明に描ける。もしかしたら以前リジェクトを食らったインパクトファクター40越えの雑誌に出せるかもしれない[関連記事]。執筆完了までの道のりは前作の論文よりもハードでしょう。持ち前の持久力と根性でもってこの難局を打開したいです。

11日:査読結果が返ってきた!

1日に投稿した論文の査読結果が返ってきました。2名の査読者からかなりの数のコメントをいただき、該当箇所を迅速に修正・加筆していきました。何となくこの論文のアクセプトはもう間違いない感じがします。1週間ほどで査読対応原稿を仕上げ、それを指導教員に送り手直しして貰って再び雑誌会社へ投稿しました。

17日:留学先へ受け入れ感謝メールを送信

Oxford大学の受け入れ研究者さん (Mさん) へ長期滞在受け入れ感謝の旨をお伝えしました。英語でメールを記すのは初めての経験。英文メールの書き方からネットで調べてどうにか書き上げました。メール送信から一週間後、Mさんから我々に「一週間以内に今後の手続きについて連絡するから待ってて」との連絡が。これからVISA取得や航空券手配など初めての経験ばかりで留学へ行く前から胸が高まる^ ^。YouTubeでOxfordの街並みをボーっと眺めていると研究のモチベーションが爆上がりします[YouTube動画]。”5か月後にはこの街にいる”だなんてちょっと信じられない思いです。

25日:学振DC1の採用者一覧に名前を確認

学振から開示された令和5年度のDC1採用者名簿に自身の名前を確認しました。申請手続きが滞りなく完了し、(やっと終わったか…)とホッと一息して一瞬論文執筆の手を緩めました。DC1名簿で『北海道大学』とスクリーニングしてみると、同じ専攻の同期のほかもう一人見たことのある名前を発見。北大一年次に同じクラスだった非常に頭の良い人で、何となくD進しそうな予感がしたので (やっぱりな) といった感じ。彼の研究題目に目を通してみると一言も理解できなかった笑。博士候補生となると既に半分は研究者ですし、みなさんすごく難しい研究をされているのが一目瞭然というワケです。令和5年度のDC1は応募者3,991名のうち690名 (17.3 %)の採用。私の応募した大区分『化学』は応募者356名のうち62名 (17.4 %)、小区分『エネルギー関連化学』は44人のうち8人 (18.8 %)の採用ということで狭き門を突破できて本当に良かったなと思いました。

26日:学振DC1の科研費交付額が決定

学振DC1内定に伴い頂ける科研費の交付額が内定しました。特別枠を使い”150万円×3年”と申請していたのですが、年額10万円削られ140万円×3年で無事に決着。通説では申請額の8割ぐらい (この場合だと120万円)しか貰えないみたいです。申請額の9割以上も貰えてすごく運が良かった形 (*≧∀≦*)。科研費からは学会への旅費や実験材料など研究関連のお金を出せる。専門書や出張手当など自分のためにも使うことができる。420万円いただけるならばちょっとした小金持ちです。国費を財源としているだけに、(国民の皆さんの期待にしっかりと応えなくちゃならない)と背筋がピンっと伸びました。

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