論文執筆速度を爆増させるための人工知能活用法

こんにちは!札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大工学系大学院生のかめ (D1)です。日本学術振興会特別研究員DC1として国からお給料をいただきながら研究活動を営んでいます。最近人工知能 (AI)業界が活況を呈し、様々な業界に大きな影響を及ぼし始めた現在です。私の属する電池研究業界もその余波から逃れられず、AIを使わなくては淘汰されうる危機感を日々覚えています。

この記事では、研究、とりわけ論文執筆をさらに加速させるためのAI活用法を解説します。研究を頑張りたい学部生・大学院生はぜひ最後までご覧いただければ幸いです。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

論文執筆速度を爆上げさせるための人口知能活用法

文献調査:Bing AI

Bing

何か研究を打ち立てる際、まずは”似たような研究例はないかな”と先行研究の調査をします。過去に先例のある実験をやっても仕方がないですし、真似したり参考にさせて貰ったりすることで自身の研究を深化させることにも繋がってくるわけです。学術論文を書くにあたり、イントロダクションやディスカッションで先行研究の引用が不可欠。引用文献数は数十個、レビュー記事だと200個を超えてくる場合もあり、引用文献をネットで一つずつ探す作業は骨が折れる。そこで登場するのがチャット型AI。文献調査にお誂え向きなのがMicrosoftのBing AI。このAI、本当に優れモノで、「○○について報告した文献を3つ紹介してくれ」とお願いすると

Bing AI

分かりました。コレが文献の一覧です

とURL付きで文献を提示してくれます。”引用件数上位3件”と条件を打ち込めばその通りに文献を出してくれるし、英語で指示文 (プロンプト)を入力すれば英語の論文を出してくれる。Bing AIは『GPT-4』という2023年5月現在で最も賢いAI。ほとんどウソをつくことなく、人間のお願いに対してピンポイントに回答する。しかも無料で使えるのが素晴らしい。同じGPT-4でもChatGPTは月額20ドルほど必要なので、私としてはChatGPTに課金せずともBing AIで間に合っています。

Bing AI出現以降、先行研究を調査するのが大変楽になりました。今まではGoogle Scholarでキーワードを変えながら何時間も検索していたのに、今ではプロンプトを何個か打ち込み5分程度で目当ての文献を得られます^ ^。研究上の些細な疑問点をすぐ解消できるようになったのも結構嬉しいポイントの一つ。要点をギュッと絞って解説してくれるから分かりやすい事この上なく、(何が言いたいねん…?)とツッコまずに済みストレスフリーに疑問が氷解。まだBing AIを未使用の方は騙されたと思って一度使ってみてもらいたいです。私は初めてチャット型AIに触った時、「すげー!こんなモノがあるのか…!」と心底感動してしまいました。

日本語で論文を書く:人力

先行研究調査を終え、いよいよ論文を書き始めます。ただ残念ながら現時点で論文執筆は人力です。論文を書いてくれそうなチャット型AIは未だ出現していません。もし現れても機密保持の問題などから手作業で書くことになるでしょう。図表を読み取り考察までやってくれるAIがいつの日か出現しそうな気も。そうなれば研究者の仕事って残されているのでしょうかね?(実験ぐらいかな…?)

論文の書き方については以下の記事をご覧ください⇩

日本語を英語に翻訳:DeepL

DeepL翻訳

苦労して日本語原稿を作成したら、次は文章を英語に翻訳します。一文ずつ手作業で英語に直していく強者も中にはいらっしゃるでしょうが、楽をしたいのであればココでもAIに目一杯頼ってしまいましょう。使用するAIはDeepL (ディープエル)。Google翻訳よりもDeepLの方が1億倍以上オススメです。

DeepLの良い所は2つあります。

  1. かなり自然な翻訳をしてくれる所
  2. 翻訳が気に入らない箇所をクリックすれば代替キーワードを挙げてくれる所 (←重要!)

まずDeepLは日本語を放り込むだけでソコソコ分かりやすい英文を組み立ててくれる。若干のぎこちなさは残るものの、人力でゼロから英文を組み立てるより圧倒的に速く英文ができます。DeepLはその名の通り、深層学習 (Deep Learning)型のAI。世界中のユーザーからの要求に日々応え続けることで翻訳レベルを上げ続けています。また、(翻訳がイマイチだな)と思った箇所をマウスでクリックしてみれば、10種類以上もの別の表現をユーザーに提案してくれます。コレがGoogle翻訳にはできません。言い回しの微修正を容易に行える点がDeepLの良い所です。専門用語などを一度訂正すると、次に翻訳する時からはDeepLが学習して訂正後の用語で翻訳してくれる!もしどうしても学習してくれない時は用語集に言葉を登録すればDeepLに強制的に学ばせられます。

DeepLの使用料はタダ。似たような翻訳ツールに『みらい翻訳』なるものがありますが、みらい翻訳よりもDeepLの方が一度に翻訳できる文字数が多いです👍。なお、DeepLはときどき文章を訳さずすっぽかしてしまうことが。ちゃんと翻訳してくれているか、翻訳後に目で確認するようにして下さい。

英語をさらにブラッシュアップ:Grammarly

Grammarly

日本語を英語に直したのち、その英語へさらに磨きをかけます。この作業を【英文校正】と呼びますが、校正専門のAIが居るのでソイツに頼ってしまいましょう。使用するのはGrammarly (グラマリー)。YouTubeのCMでよく見かけるあの緑のツールです。Grammarlyは非ネイティヴには分からない微妙なニュアンスをも正してくれます。スペルミスは勿論のこと、オシャレな言い方やもっと簡単な表現法など、様々な観点から自分の英語の修正点を次々と教えてくるのです。Grammarlyと一緒に一箇所ずつ英語を直していくと

かめ

あぁ、こう表現すればよかったのか!

とすごく良い勉強になる。自分が書いたモノではないかのように滑らかで自然な英語になります。

Grammarlyは無料で使用可能。しかし、コチラに関しては年間144$払って有料会員になるメリットがあります。お金を出すと添削してくれるポイントの数が一気に多くなるんですよね。流暢さや読みやすさなど、(えっ、そんな所まで教えてくれるの?!)と驚くほど細かな指摘点も入ってきます。お金を余り出したくない方は無料版Grammarlyを頼って下さい。最近はDeepL WriteというGrammarlyのような校正ツールも出てきたのでソチラでも良いかもしれません。

ChatGPTの出番はあるのか?

OpenAI

現状では論文執筆にChatGPTを使わない方が無難です。原稿を丸々ChatGPTに読み込ませ要約させれば一瞬で要旨が完成するし、人力で何日もかけてやるより効率が良いのは火を見るよりも明らかでしょう。しかし、チャット欄に入力した文章が外に漏れ出る危険性が。機密保持の観点から使用を避けるべきだと存じます。Excelの関数出力やプログラミングなど”機密でない情報”についてはChatGPTを頼って楽させて貰いましょう。手を抜ける所はしっかりと抜き、人にしかできないお仕事の方へリソースを集中させるのです。

AIを使いこなすために必要な力

ここまで様々な便利ツールを取り上げてきました。上手く使えば研究が捗る革新的なツールばかりな反面、それらを使いこなすにあたり相当な力が求められるのもまた事実。たとえばBing AIで引用するのに相応しそうな文献が見つかったとしても、その文献が本当に相応しいのか見抜く目を持たねばならない。その文献の内容はちゃんとしたものなのか?引用したい主張のピントがずれてはいないだろうか?と疑いの目をもって文献を一つずつ精査する必要がある。またGrammarlyのような校正AIに論文を手直ししてもらったとして、人間の側に英語力がなければ校正による文意の変化におそらく気が付けないでしょう。どれだけAIの側が進化しても、人間が同じだけ、いやそれ以上に賢くならなきゃAIを使いこなせないのです。

(やったー、AIのおかげで楽ができる!)とお考えの方はいずれAIに淘汰されます。深層学習により日々アップデートするAIを使いこなすには自身の実力を高め続けるしか術はありません。

最後に

論文執筆作業速度を爆上げしてくれるAIの活用法は以上となります。この記事をキッカケに皆さんの論文執筆が加速することを祈っています。

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