英語論文を週に一報、2年間音読し続けたらどうなったか

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英文を読む速度が劇的に上がった

二年前、修士に上がった時点で英文を和訳せずに意味を取れる程度の力はありました。返り読みの必要はなく、分速150〜180語ぐらいのペースで英文から情報を抜き出せていた。読めてはいたんです。

ところが音読を二年続けたら、読み方の次元が一段上がりました。一語ずつ区切って視野に入れるのではなく、文節、さらには文章単位で英語のニュアンスをコンマ数秒で感じ取れるようになったんですよ。

しかも読解のスピードに強弱をつけられるようにもなった。大して重要でない情報はサラッとテキトーに流し、ディスコースマーカーの後など核心に関わるポイントは集中力を上げてじっくり読み込む。日本語の論文を読むときと、ほぼ同じ感覚です。

音読のおかげで、自分にとって英語が外国語ではなくなりました。 さすがに日本語と同程度に使いこなすにはまだ時間がかかりますが、文章を読むことに関してはほぼ同等のレベルでこなせています。

国際学会で海外の研究者と英語で議論できた

音読の成果はスピーキングにも顕れました。

M1の9月、英語圏の国際学会でオンラインポスター発表を行ったときのことです。それまで人と1分以上英語で話した経験がありませんでした。リスニングにはある程度自信があって、普段からYouTubeでFOXやBBCのニュースを聞いていたので、よほどなまった英語以外なら聴き取れる確信はあった。でも、聴き取れても返答できなければコミュニケーションは成立しません。出川Englishでもなんでもいいから言葉を返す必要がある。発表前は「ホンマに大丈夫だろうか…」と冷や汗が止まりませんでした。

国際学会はZoomで参加しました。2時間のポスターセッションのうち、最初の1時間半は誰も自分のブレイクアウトルームに来ない。残り30分を切ったあたりで、ようやく一人のアジア系研究者(Aさん)が訪れました。Aさん、ノリノリで「研究内容を聞かせてくれよ!」と英語で捲し立ててきます。冷や汗に溺れながらお答えし、あらかじめ用意していた英語のカンペを10分ほど淡々と音読しました。

その後、Aさんから研究の核心を突いた質問が飛んできたんです。緊張のあまり5秒ほどフリーズ。やべぇ、言葉が出てこない…と固まりかけた次の瞬間、自分の口が勝手に英語を話し始めました。もうビックリしたのなんのって。まるで自分の口じゃないみたいでした。気がついたらセッション終了までAさんと楽しく談笑し、人生初の国際学会は無事に閉幕しています。

英文を大量に音読すれば、スピーキングに必要な回路が脳内に少しずつ構築されていくようです 音読すればするほど回路の円滑性が高まり、脳内で英文を組み立てたり相手に応答したりする速度が着実に上がってくる。海外経験のない純ジャパの自分でも英語を話せるようになったのですから、英語論文の音読はぜひ試してみてほしいと思います。

論文執筆で英語の専門用語を的確に扱えるようになった

英語論文を音読していると、英語論文を書く力も上がります。日本語の原稿を英語に翻訳する際、その文脈で使うべき専門用語を的確に選べるようになりました

私の場合、英語翻訳時にはDeepLにかなり頼っている状態です。日本語を放り込めばそれなりに正確な英文を返してくれるので、論文執筆に欠かせない相棒ではあります。ただ、DeepLも専門用語を100%使いこなせるわけではなく、論文で使うには不適切な語彙で英訳してしまうことがある。

ここで音読で培った語彙力が火を噴くわけです。DeepLの出力に不自然な箇所があれば、声に出して読んだ瞬間に「あっ、なんか変だな」と分かりますし、修正案も感覚的にパッといくつか浮かんでくる。良質な英語を音読で体に染み込ませておけば、書く力にもそのまま反映されます。

喉と呼吸器が鍛えられ、ゼミ発表で喉が枯れなくなった

これは完全に盲点でした。二年間の音読で喉がめちゃくちゃ強くなっています。 20〜30分ほど連続で声を出しても喉がガラガラにならない。さらに呼吸器まで鍛えられました。大きく息を吸い込むたびに肺活量が強化され、限られた吸気量で声を絞り出す訓練を繰り返した結果、最大酸素摂取量が増したんです。

おかげで雑誌会や中間報告会でも喉がまったく枯れなくなりました。B4の頃は雑誌会の終盤で文字通り息絶え絶えになっていたのに、M2の後期には余裕で乗り越え、喉へのダメージはほぼゼロ。

私は幼稚園に入る前まで気管支炎を患っていて、もともと呼吸器全般が弱めの体質でした。英語の音読で体質ごと無理やり変えてしまったような気がしています。英語力の向上を狙って始めた音読が、まさか身体能力の強化にまでつながるとは思いませんでした。

最後に

週に一報の音読を二年間。あの汗だくの30分が、英語との付き合い方を根っこから変えてくれました。

音読が厳しい方は、せめて週に一報の黙読からでも始めてみてください。声を出さなくても、毎週英語の論文に触れ続ける習慣は確実に効きます。

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