【大学院】放置・放任系研究室で着実に成果を挙げていく方法

研究室の運営様式はふたつに大別されるでしょう。研究のやり方を手取り足取り教える管理系と、ラボの中で放し飼いにして各々が成長するのを待つ放任系に。私は放任系研究室に入りました。最初に読むべき論文を渡されたあと、一切の研究指導を受けなかったのです。論文の書き方すら教わらなかった。成果の出るやり方を暗中模索して一つずつ業績を挙げていきました。

放任系研究室へ入るにあたって注意点があります。それは、”放任系ラボが万人向きの場所ではない”ということ。管理系ラボなら誰でもそれなりの成果を挙げられるでしょう。なんせ、研究のやり方を教えてもらえるのです。先輩と同じぐらいの成果量なら期待できます。放任系ラボではそう簡単にはいきません。成果を挙げるためにはマインドセットやコツが必要になるでしょう。

この記事では、放任系ラボへ五年間在籍した経験をふまえ、放置・放任系研究室で着実に成果を挙げていく方法を解説します。指導教員から放置されて困っている人。放任系ラボでガンガン成果を挙げていきたい人。このような方にピッタリな内容です。ぜひ最後までご覧ください。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

研究に対する当事者意識を持つ

放任系研究室に配属後、まずはマインドセットを変えましょう。

今までの学校生活では、誰かから渡された課題をこなしてきました。中学・高校では問題集を解く。大学では課されたレポートを記す。人の話を聞き、理解し、何らかのアウトプットするという構造です。最近の学校教育ではアクティブラーニングが流行っているようですね。学生の間でディスカッションして頭をフル回転させる勉強法が。いくら”能動的”学習といっても、学習のキッカケは講師側から与えられるでしょう。結局、能動的学習でさえ、本質的には受動的なのです。

放任系ラボへの配属後は、受動的学習スタイルのコペルニクス的転回が必要です。なんせ、皆さんが入ったのは放し飼いラボ。待っているだけだとやるべき課題はどこからも降ってこないでしょう。受け身の姿勢をやめて能動的になる必要があります。研究テーマも研究手法も自分で考えて編み出す覚悟が求められるのです。

『解決すべき仕事やその解決法を自ら見つけるべし』と肝に銘じてください。研究に対する当事者意識を持ちましょう。誰かが助けてくれるのを待っていたって誰も助けてくれません。自分の身は自分で助けるのです。自分の未来は自分で切り拓く。自分の力を信じて駆けていく。一人ではどうにもならないと感じたら、先輩か指導教員に頼ってください。放任系ラボは『求めよ、さらば与えられん』の精神が根付いている場所。SOSを発信したら誰かが手を差し伸べてくれるでしょう。

専門分野の基礎学習を行う

放任系ラボに配属されると、研究課題の創出や研究方法を自分の頭で考えていく必要があります。これってすごく難しいんですよ。今まで受動的スタイルで生きてきたのに、急に「ハイ、今日から能動的になって」と言われるのだから。どれだけ考えても何も思いつかぬかもしれません。私も最初は課題創出に苦労しました。なんせ、何をどう考えればいいかすら分からないんですからね。

物事を考えるには基礎知識が必要です。『どう考えるか』という技術を云々する前に『何を考えるべきか』を知らねばなりません。知らないものは考えようがない。概要すら見たことも聞いたこともなければ専門的な思考は不可能でしょう。物事は、”それ”について多少の知識があって初めて何かを考えられるもの。まずは”それ”について知りましょう専門分野の基礎学習を行ってください。

研究室配属後、基礎学習へすぐに取り掛かりましょう。分野の外観に関して、基礎的な専門書を隅から隅まで読んで抑えてください。研究課題を模索するには学術論文の大量読破が必要。論文を読むためにもまずは基礎知識のマスターが重要です。基礎学習を疎かにする学生は多いです。私の所属元研究室でも基礎的な専門書一冊すら読んでいない院生がたくさんいました。先代の研究と実験材料を変えただけの銅鉄実験をやる学生が大勢。周りのマネなんてイヤ! オリジナルな研究がしたい! そういう方は盤石な基礎固めをお願いします。

発想力を鍛える

研究には時にひらめきが欠かせません。論理の積み上げで行き詰ったとき、あえて論理を飛躍して突拍子もない試みをすると成功するかもしれません。

放任系研究室では、研究を自分の力で進めていかねばならぬ割合が高いです。自らの手で状況の打開を試みる場面が多いでしょう。悲しいかな、研究を進めていくにつれ、徐々に指導教員は頼りにならなくなっていきます。指導教員が無関心だからではありません。先生ですら簡単にはついていけないほど研究のレベルや抽象度が上がっていくからです。当然、先輩も同期もアテにならない。後輩は口を開けてポカンと見守っているばかり。

放任系研究室に入った皆さんは『状況打開力の底上げ』を図りましょう。閃きの頻度を高める。思い付きの精度を上げていく。つまり、発想力を鍛えるのです。発想の源泉を豊かにしてください。美しいものにたくさん触れましょう。美しい文章、美しい景色、美しい音楽、美しい思想など、様々な『美』へ日常的に触れるのです。

美しいものとの接触回数が増えるにつれ、皆さんの胸には着々と【情緒】が養われていくでしょう。綺麗なものを綺麗と捉えるセンスや、美しいものに目を細める豊かな感性が備わっていく。情緒は、ひらめきの源泉を豊かにする栄養剤。自然界と人間界を見えない糸で接続してくれます。情緒はそれゆえ、自然科学の核心へ迫るのに不可欠な感性なのです。

情緒を養えば発想力が高まります。私は博士在籍中にYouTubeで毎日30分クラシック音楽を聴いていました。国内外の純文学作品を百冊以上目を通しました。おかげで次から次へとアイディアが湧き出てくる状態に。アイディア不足で困る事態に一度も陥らなかったのは、大学院在籍中に情緒を日々豊かにしていたおかげではないでしょうか。

最後に

放置・放任系研究室で着実に成果を挙げていく方法を解説しました。

研究に対する当事者意識を持つ。専門分野の基礎学習を行う。発想力を鍛える(情緒を養う)。これらはどれも今日からできる取り組みです。どれかひとつ行うだけでも効果が出ます。放し飼い研究室に入った皆さんも本日から始めてみてください。

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