広島生活春夏秋冬vol.10 一年目・10月後編|鶏むね肉に圧力ネコパンチ! 残業代をトンカツに換え、親の入院に人生を想う

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20万円

我らがサンフレッチェ広島が、Jリーグカップの準決勝に進んだ。相手は横浜FC。彼らは前線三枚を重戦車で固め、フィジカルゴリ押しで得点する戦法をやたらと得意とする。

週半ばに行われたファーストレグをネットで観た。どんだけゴツいのだろうかと驚いた。ちょっと、四股を踏みすぎではないか。太ももが太ももではなく極太もも。胸は、鶏むね肉を十枚ぐらい貼り付けたような厚さ。アメフト部から助っ人を連れてきたのだろうか。サッカー選手って、こんなにゴツいのか。

強靭な肉体を持つ相手に打ち勝つべく、サンフレッチェを応援してあげなければならない。十二人目の選手として、セカンドレグをスタンドで観戦しに行った。

せっかくセミファイナルまで進んだのだ。決勝まで行ってもらわねば困る。二位じゃダメだ。一位とそれ以外とでは違いすぎる。三位以下はもっとダメ。せめて二位。あわよくば優勝。国立競技場でトロフィーを掲げるべく、まずは準決勝で横浜を倒す。

水曜に横浜で行われたファーストレグを0-2で勝利した。セカンドレグとなる日曜の今日は、引き分けか、一点差以内の負けで勝ち上がりが決まる。せっかくなら勝って国立へ行きたい。2-0は危険なスコア。階段の踊り場で泥酔しながらフラダンスを踊るのと同じぐらい危ない。タイムアップのホイッスルが鳴るまで、気を引き締めて応援する。

試合は2-1でサンフレッチェが勝った。国立競技場で行われるカップ戦決勝に駒を進めた。相手は柏レイソル。相手と実力は伯仲している。名勝負が繰り広げられること間違いなし。皆さまにもテレビでぜひご観戦いただきたい。

決勝は11/1 (土) に行われる。金曜まで弊社でぽんぽこりんの業務を行い、翌日の始発で広島から新幹線で東京へ向かう、つもりだった。横浜FC戦翌日にE-Xpressで予約しようとしたところ、始発便が満席だった。当日、車内はサンフレサポーターでおしくらまんじゅうなのではないか。始発の次の便も、その次も満席。始発から一時間後の便でようやく空きが見つかり、すぐ予約した。

広島イチの太っ腹企業へ就職し、可処分所得は博士課程時代比二倍となった。おかずが毎日イワシ缶と鶏むね肉だったのが、イワシ缶と鶏もも肉に進化した。新品の本を買えるようになったのも大きい。精神面での安定性が飛躍的に増したように感じる。とはいえ、広島-東京間の往復交通費は、懐へ大打撃。往復で4万円かかる。これはキツい。ハーゲンダッツ140個分はさすがに胃に堪える。

4万円で済むならまだいい。4万円で済まなさそうだから怖い。

最近、サンフレッチェが強すぎる。決勝に進んだJリーグカップだけではなく、リーグ戦も優勝争いを繰り広げている。もうひとつのカップ戦「天皇杯」も準決勝に進出した。天皇杯のセミファイナルは大阪で行われる。相手は神戸。もちろん、観に行く。往復交通費2.2万円が吹き飛ぶ。天皇杯の決勝も国立で行われる。決勝に進んだ場合、プラス4万円。これからとんでもない額が吹き飛びそうである。ふとんがふっとんだ! どうもありがとうございます。

さらに、我々サポーターには、来シーズンの年間パス購入が待ち受けている。今回は特別に1.5シーズンぶんのセット販売となる。サポーターズシートは7.4万円。昨シーズンと比べ、ひと試合あたりの価格が10%増となっていた。値段を見たとき、危うく道端へスプラッシュしそうになった。

チケット代と交通費とシーズンパス代をぽにょに計算させてみる。今後一か月間でサンフレ関連出費が20万円近くになる。英国留学以来の超大型会計。ここまで使うとなったら、一周回ってゾワゾワしてきてしまった。一応、12月アタマにボーナスが入る。何億円もらえるか分からない。いや、ひょっとしたら兆単位かもしれない。0.00000何兆円か知らないが、ボーナスさえ入ればこっちのもの。ボーナスの前借りはできないだろうか。ボーナス振込前の資金ショートだけ注意したい。

横浜戦の試合を観戦後、サッカー仲間と本通商店街へ。カップ戦決勝に向けて、ゲン担ぎのトンカツを食べに行った。

大戸屋という定食屋がある。なんでも、お金を払えば定食を作ってくれるらしい。そんなわけあるか。そんな都合の良い話、あるわけが無いだろう。そんな儲け話があるなら、自分で定食を作ればいいじゃないか。仲間から「まぁまぁ、騙されたと思って」と背を押され、店内へ。タブレットでヒレカツ定食+ごはん特盛をオーダーした。

十分後、店員さんが料理を運んできた。本当に定食が運ばれてきた。料理から湯気と煙が立っている。衣の奥から、豚の最後の息吹まで聞こえたような気がしなくもなくもなくもない。ぶー。いまの時代はすごいな。お金を払えば料理を作ってもらえるのか。どんだけ便利なのだろうか。資本主義はすばらしい。マルクスよ、引っ込んでろ。私はこれからアツアツ・ジューシー・ぶちあつ・ウルトラファンタスティック・トンカツパーティーを始めるのだ。

いいかい、若者のみなさん。トンカツをな、トンカツをいつでも食えるくらいになりなよ。トンカツは若いうちしか食べられないからね。歳をとったら胃もたれして食えなくなるぞ。ラーメン二郎は、もっと若いうちに食べておきなさい。それが、えら過ぎもしない貧乏すぎもしない、ちょうどいいくらいってとこなんだ。あー、おいしい。

博士課程を思い返してみると、トンカツを食べたのは、卒業旅行で横浜・東京ソロ旅行したときの一度だけだった。博士課程では全く余裕がなかった。トンカツを食べる余裕もなかった。学位審査会や論文査読でレフェリーからボコボコにされた挙句、トンカツにされるのを恐れていた。トンカツを食べるどころか、トンカツにされかねなかった。プレッシャーで押しつぶされそうになりながら突っ走ってきた。だからこそ、いまの境遇でも笑顔で心を落ち着けて過ごせるのだろう。

さあ行こうぜ、カップ戦決勝へ。絶対、勝つ。優勝して広島に帰ってくる。

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