68. RAで指導経験を積める
かめ博士学生は、学生実験の講義で後輩に実験を教えることがある



RA(リサーチ・アシスタント)ってやつだよね



そう。何に気を付けて実験するかとか、どうやってデータを考察するかとか、学部生と一緒に考えるんだよ



先生みたいだね



教えてみると、自分が分かったつもりだった部分も露呈するよ。後輩から、なんでこの操作をするんですかって聞かれる。昔からそうしてるからです、では済まないんだな



素人質問が飛んでくるのか
答えられなかったら、恥ずかしいね



意外とね、



答えられる?



答えられない
理解があやふやになっているなって気付かされて、あとで急いで勉強する



全然ダメじゃん
この先輩、頼りにならない



うるさいなぁ
分かんないものは分かんないんだから、仕方がないだろ
69. チームマネジメント力が鍛えられる



博士課程って、自分の研究を一人で進めるイメージがあるけど、複数人でやることもあるの?



あるよ。後輩と一緒に実験したり、共同研究者から測定結果をもらったりして、一つの論文を作ることもある



自分のリズムで仕事を進められないんだね



そうなんよね。自分の実験が終わっていても、別の方の解析結果が来ないと論文を書けないことがある。だから、いつ頃できそうか相談して、こちらも先に進められるところを進める



博士学生なのに進捗管理までやるのか



そう。それでさ、あるデータのシミュレーション結果が待ちきれなくてさ、論文を書いて出しちゃって、



え! で、どうなったの?



四回連続でリジェクトされた笑



笑いごとじゃないよ
データ不足だよ



待てばよかったなって後悔した
70. 後輩の成長を間近で眺められる



後輩に実験を教えていると、その人が上手くなっていくところも見られるんだよね



見られるよ。最初は装置の使い方から教えていた学生が、何か月かすると自分で実験条件を考え、データを持って相談に来るようになる



おお、すくすく育ってる



さらに時間が経つと、こっちが何も言わなくても研究を進めていく。なんか達成感があるよ。自分が教えたことも、多少は役に立ったのかなって



親みたいな気分?



そこまでじゃないわ
卒業式で泣き始めたら重すぎるだろ



さすがにね
71. 年下の人から教わることを楽しめるようになる



博士学生って、研究室の学生の中では先輩な方なのよ。先輩とはいえ、教えるばかりではなくて、教えてもらうこともある



え、そうなんだ。教えるばかりだと思ってた



後輩の方が詳しいことなんて、いくらでもある。AIの使いこなし方も後輩の方が詳しかったし、「こんなことできますよ」って教えてもらったもん。もし新しい解析ソフトを使っていたら、横に座って教えてもらう



土下座して教えを乞うの?



そこまではまだ落ちぶれてないわ



年下に教えてもらうの、悔しくない?



むしろ助かる。自力で考えても分からない所を、後輩が5分で解決してくれたら、ありがたいじゃん。生協に行ってお菓子をご馳走するわ



じゃあついでにハーゲンダッツも買ってきておいて



だれ用



オレ



なんでお前にあげなあかんねん
72. 指導教員から「教えてくれない?」と頼られるようになる



あとね、D進すれば、指導教員からも頼られるようになる。同じ研究テーマを何年も扱っていると、自分の方が詳しくなる。先生から、この現象ってどうやって理解するんだっけ、とか聞かれるんだよ



師匠から質問されるの?
ちょっと嬉しそう



頼られたときはね、ちょっと威張って「これはですねぇ…」って教えてあげる



ウザっ!
先生もたぶん同じこと思ってるよ



調子に乗りすぎたら、次の日からもっと鋭い質問をしてきて、タジタジになる



やっぱ怒ってんじゃん



いつまでも謙虚で居なきゃダメだなって思った
73. 世界で一番詳しい分野ができる



博士課程で研究すると、世界で一番詳しい分野ができる。自分が第一人者になるんだよ



え~、すごいじゃん
将来はノーベル賞?



ノーベル化学賞代理代理代理代理代理候補の控え五千番手あたりかな



じゃあ無理そうだね



切ないなぁ
テーマを細かく絞れば、博士候補生の誰もが第一人者だよ。世界で自分しか追っていない現象を何年も調べていたら、そりゃ誰だって第一人者になれる。自分もね、博士課程で研究以外に裏テーマを持ってたんだ



何を調べていたの?



北大に入った次の日から毎日魚缶を食べてきたんだけど、魚缶を3000日以上摂取し続けたらどうなるのか、自分を被験者に人体実験してきた



変態じゃん
で、どうだったの?



めっちゃ健康になった



以上?



うん
あ、まだあるよ。お い し か っ た で す



もういいよ
74. 分野の中で流行が推移するのを体感できる



研究にも流行りがあってね、数年単位で研究キーワードが移り変わっていくんだよ



へぇ~、面白いね
去年までは猫のネコパンチ効果が調べられていたかと思えば、今年に入って急にカレーライスのオヤジ抜きについて調べる研究がブームになる、みたいな?



そうそう。でね、



何か突っ込んでよ



学会に行くと、同じテーマの発表が急に増えていたりする。で、数年後には別のテーマへ人が移っている。研究者も流行に乗るんだなと思って、興味深い
流行が来る前から研究していた人は、ちょっと誇らしげな顔になる



古参アピール?



そうそう、君たち、ようやく気付きましたかってニンマリしている。学部から博士まで同じ研究をしていると、ブームの流行り廃りを見られて面白いんだよ
75. 学問に終わりがないと知る



さっき、学問は奥深いって話をしたけど、研究を続ければ、いつか全部分かるんじゃない? 何事にも終わりがあるでしょ



一個分かると、その答えから次の疑問が出てくる。原因が分かったら、次はなぜその原因が生まれるのか気になる。そこまで分かったら、今度は別の条件でも同じなのか気になる。終わらないんだよ



終わらせてよ



嫌だよ、だって掘り続けたいもん。どこまで分かるか分からないからこそ、探求しがいがあるんだよ。ゴールの見える迷路よりも、ゴールの見えない洞窟の方が面白そうでしょ?



まぁね
じゃあ、修士論文でも「今後の検討課題である」と書くなら、博士論文にも同じように書くの?



そうだよ。当たり前じゃん



いつまで「今後」って言い続けるの?



人類が研究をやめるまで
76. 趣味まで研究みたいになる



博士課程に入って研究していたら、骨の髄まで研究者になりそう。理屈っぽくなりそうだな



残念ながら、なっちゃうね。趣味でも何か気になることがあれば、調べたり試したりしたくなる



趣味ぐらい、気楽にやればいいのに



例えば料理なら、調味料を少し変えて味がどう変わるか試したくなる。運動なら、練習方法を変えたあと身体がどう変わるか見たくなる



休日まで実験してるじゃん



本人は遊んでいるつもりなんよ
一緒に研究、やりませんか? 明日は100mダッシュを5本やる



嫌だよ、一人でやってよ
77. 後輩の進路相談に乗れる



博士課程で研究していたら、後輩から進路相談されることもありそうだね。博士課程へ行こうか迷っていますって



あるね。自分も同じように悩んでD進を決めたから、博士課程で何をするのかとか、生活がどう変わったのかを経験ベースで話せる



博士課程、最高ですよ!
ぜひ!



落ち着けって
博士課程に向いている人もいるし、向いていない人もいる。本人が何をしたいか尋ねて、一緒に考えるんだよ



入信希望者に、パンフレットを渡さないの?



学振申請書なら渡せるかな



1ページ目を見たら帰りそう



そんなことないだろ

















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