口頭発表とポスター発表ってどっちが楽?両方経験した感想を解説します

初めて学会に申し込んだとき、発表形式の欄で手が止まったのを覚えています。口頭発表とポスター発表、どちらかを選ばなきゃいけない。指導教員に相談したら「どっちでもいいよ」と秒で丸投げされ、判断材料ゼロのまま締め切り前夜を迎えました。ネットで調べても「口頭は緊張する」「ポスターは気楽」みたいなふわっとした情報ばかりで、実際に両方やった人間の本音がどこにも見当たらなかったんですよね。

あれから学会発表を何十回も重ねました。口頭もポスターもそれぞれ複数回経験しました。結論、口頭発表の方が圧倒的に楽です。 体感では5〜10倍ぐらい違う。ポスター発表を気楽と書いていた人、あれは嘘です。

この記事では、準備・質疑・体力・オンラインの4つの観点から、口頭発表とポスター発表の大変さを比較していきます

  • もうすぐ学会があるのに発表形式を決められずに迷っている方
  • 初めての学会発表でどちらが楽なのか知っておきたい方

こうした方々にぴったりの内容です。

目次

ポスターは誤字を直せない

まずは準備の大変さから比較していきましょう。

口頭発表のスライド作成は、構成が固まるまでが勝負です。持ち時間は学会にもよりますが、だいたい12〜20分。限られた時間の中でイントロから結論まで一本の筋を通さなければなりませんから、何を話して何を捨てるかの取捨選択にかなり頭を使います。

ただ、一度構成が固まってしまえばスライドを組んでいく作業はわりとサクサク進みますし、本番直前にミスを見つけてもその場でパッと直せるのが心強い。スライドの枚数も15〜25枚程度なので、作業量自体はそこまで膨らみません。正直、楽です。

ポスター発表の準備はまた別のしんどさがあります。A0サイズの一枚に研究の全体像を詰め込まなければならないので、図表の配置やフォントサイズ、色の使い方など視覚的な設計に膨大な時間を取られるんですよね。口頭発表のスライドなら一枚ずつ順番に見せていけばいいですが、ポスターは聴講者の目線が自由に動きますから、どこから読んでも内容を追えるような工夫が求められます。

ポスター発表で何よりキツいのは、一度印刷してしまったら修正がきかない点です。誤字を見つけたときの絶望感は筆舌に尽くしがたいものがあります。口頭発表のスライドなら登壇するまで修正可能ですが、ポスターにその融通は効きません。ガムテープで消すぐらいしかできません。準備段階のプレッシャーは、ポスター発表の方が一段上ですね。

座長の「時間です」に何度救われたか

本番のキツさで言えば、口頭発表の方が圧倒的に楽です。体感では5〜10倍ぐらい違います。

口頭発表の質疑応答は通常3〜5分程度。時間が限られている分、聴講者もそこまで踏み込んだ質問を投げてきません。「この実験条件はどうなっていますか」「今後の展望は」といった基本的な質問を数個さばけば、あっという間にタイムアップです。

講演者側の立場だと一瞬で終わったように感じますし、何より座長が「時間ですので」と切ってくれるのがありがたい。あの一言にどれだけ救われてきたか分かりません。答えに窮しても時間切れで強制終了となる安心感があります。

一方で、ポスター発表にセーフティネットはありません。発表者と聴講者が1対1でがっぷり四つに組むので、まるで指導教員とディスカッションしているように細かな箇所まで突っ込まれます。質問が繰り返されるたびにどんどん深い所へ潜っていき、本質的な問いを突きつけられてタジタジにさせられるんですよ。

満足のいく答えを返せず、申し訳なさを感じることもしばしばで、相手が納得するか話題が尽きるまで終わらないので、一人の聴講者と20〜30分ほど議論が続くこともあります。座長は助けてくれません。逃げ場がない。

ポスター発表は2時間の体力勝負

質疑の中身に加えて、純粋な体力の消耗度もポスター発表の方がはるかに上です。

口頭発表は持ち時間と質疑応答を合わせても15〜25分程度で終わります。壇上にいる間は緊張しますが、降りてしまえば完全に解放される。客席に戻って他の人の発表を聞きながら、こっそり水を飲んで息を整える余裕もあります。

ポスターセッションは2時間ほど設けられていて、最悪の場合2時間ずっと立ちっぱなしで応対し続けなければなりません。一人の質問が終わった瞬間に次の方がやってきて、息つく暇もなく次のディスカッションが始まる。座りたいときに座れない。水を飲むタイミングがない。セッションが終わる頃には喉がカラカラで足もパンパンです。

口頭発表を短距離走に例えるなら、ポスター発表はフルマラソンでしょうか。求められる体力の質がまるで違います。私は100kmマラソンを走った経験がありますが、ポスターセッション2時間の方がよっぽど消耗しました。走っているときは自分のペースで休めますが、ポスターの前では聴講者のペースに合わせるしかありませんからね。

オンラインならポスターも楽? 残念、むしろキツくなる

「オンライン開催ならポスター発表でも楽なのでは?」と思う方がいるかもしれません。自宅からパソコン越しに発表できるなら体力的にはマシに見えますよね。残念ながら、オンラインでもポスター発表の大変さは変わりません。

セッション中はずっとブレイクアウトルームに待機しておく必要がありますし、気軽にトイレへ行ったり飲み物を取りに立ったりもできない。しかもオンラインツールだと自分のルームに何人いるかが他の参加者から丸見えなんですよね。一人さばき終わった瞬間に次の方が入室してきて、すぐさまディスカッションが再開します。対面なら聴講者がポスターの前で「あ、まだ人がいるな」と遠慮して待ってくれることもありますが、オンラインではあの間が存在しません。

もし、オンラインポスター発表か現地口頭発表の二択を迫られたら、私は迷わず現地の口頭発表を選びます。パソコンの前で2時間喋り続ける方が、壇上で15分話すよりはるかにキツいです。

最後に

口頭発表とポスター発表の大変さを4つの観点から比較してきました。

準備のプレッシャー、質疑の深さ、体力の消耗、オンラインでの過酷さ。どの切り口で見ても、ポスター発表の方が大変です。 口頭発表を「緊張するから大変」と感じる方は多いのですが、あの緊張は15分で終わります。ポスター発表の2時間耐久戦を一度でも味わえば、口頭発表の壇上がどれほど快適だったか思い知るはずです。

ポスターは確かにキツい。キツいですが、聴講者と深く議論できる場でもあるので、大変さを承知のうえで飛び込む価値はあります。覚悟を決めて申し込んでください。そうそう、くれぐれも喉飴と飲み物の準備は忘れずに。

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