北大と国研で研究している化学系大学院生かめ (D2) です。人前に立って何かを発表するとき、昔から緊張してしまってどうしようもなくなる傾向が。B4の卒論発表会では質疑応答でフリーズしてしまったほど。平常時でさえちょっと吃音気味なのに、緊張なんてしたら余計に言葉が出てこなくなります。しかし、修士・博士課程での学会やゼミ発表を経て、プレゼンで全く緊張しなくなったのです。発表に慣れたわけではありません。とある技術とマインドセットを習得したおかげで緊張しなくなったのです。
この記事では、ゼミや学会、学位論文審査会などで全く緊張せず発表できるようになった方法を解説します。
- 緊張しがちな研究室学生さん
- 少しでも落ち着いて発表できるコツを知りたい学生さん
こうした方々にピッタリな内容なので、ぜひ最後までご覧いただければ幸いです。
それでは早速始めましょう!
「どうせこの人たちは何も聞いていない」と思って発表する
我々は発表するときなぜ緊張してしまうのか?それは、プレゼンで失敗して笑われるのが怖いから。自分の渾身の発表が上手くいかなかったら人前で恥をかいてしまいます。”恥をかきたくない”と無意識に思っているから緊張するのです。発表練習を一切行わずに臨むプレゼンほど緊張しないものです。そりゃそうです。練習していない以上、失敗して当たり前、笑われて当然なのだから緊張など募るわけがない。ナーバスになるのはプレゼン準備を頑張った証。身体全体を覆うほどの緊張に苛まれたら、これまで努力してきた自分のことを手放しで褒め称えるべき。
ここで少し、立場を変えて考えてみましょう。発表者側ではなく「聴衆側」の立場になって考えてみて下さい。果たして聴衆の皆さんは発表者の話へそこまで真剣に耳を傾けているでしょうか?皆さんがゼミや学会で他人の話を聴くとき、一言一句聞き漏らすまいと集中して聴講していますでしょうか? きっと模範生なら真剣に聴くでしょう。私を含め、大半の人間は「ふ~ん。そうなんだ~」ぐらいの真剣さでしか聴いていません。中には話をうわの空で聴き流している方も。発表者がプレゼン準備に捧げたのと同じぐらいの熱量で話を聴いてくれるのは全体の5%程度に過ぎません。
私がプレゼンで全く緊張しなくなったのは、「どうせこの人たちは真剣に聴いていないからテキトーにやろう」と開き直れるようになったから。ちゃんと聴いてくれる人など僅か。聴いてもすぐに忘れてしまう人々のために緊張するのは何だかバカバカしい。私は脳内で聴講者を無生物へと変換します。たとえば、、そうですね、お地蔵さんなんでどうでしょうか?我々の目の前にはお地蔵さんが鎮座しているのです。微笑んでいるお地蔵さん、難しそうな表情を浮かべているお地蔵さん、眠気をこらえるのに必死なお地蔵さん、などなど。生きていない無機物を相手に喋るのだから緊張するわけがないのです。お地蔵さんの前で喋っても緊張する方は、聴講者を柴犬や三毛猫へ変換するようにして下さい。
たとえどれだけやらかしても、聴衆の大半は明日になったら忘れているさ
「どうせこの人たちは何も聴いていないからテキトーにやろう」戦法で緊張の9割は緩和可能。しかし、これだけでは発表時に少しだけ緊張してしまいます。やらかした後に『恥』をかくのが怖いのです。日本人には、天地開闢より脈々と受け継がれてきた武士道精神が根付いていますから。武士道では『恥』を何よりも恐れます。恥をかきたくない。少しでも上手く見せたい。発表時に見栄を気にしてしまって不必要に緊張を募らせてしまうのです。
ここでも立場を聴衆側に移して考えてみましょう。皆さんはゼミで誰かがやらかして炎上した際、何が原因で、誰がどのように叱られたかなど事細かに覚えているでしょうか? …おそらく、そこまで鮮明には覚えていないでしょう。ひょっとしたら炎上があった事実さえ忘れているかもしれません。私自身、過去五年の研究室生活で5回のゼミ炎上を目撃しました。とはいえ、炎上があったことしか覚えておらず、何が原因で燃えたのかのかまでは記憶に残っていないのです。このように、仮に発表で何かをやらかしても、やらかした事実は当事者しか覚えていないのです。聴衆の大半は翌日、翌週になったら炎上劇の詳細をスッカリ忘れてしまっています。
我々演者側はやらかしても気にしなくてOK。どうせ、その場にいる人は皆、我々がやらかした事実さえ一年後には忘れているから。やらかして恥ずかしい思いをするのはその場だけ。月日が経つにつれて傷がふさがり、研究室を離れる際には笑い話として振り返られるでしょう。恥を恐れず、臆さず、堂々と発表するよう心掛けてください。ビクビクするより胸を張って発表した方が相手へ好印象ですから👍
とにかくたくさん発表練習する
プレゼン発表で緊張しないケースが二つあります。一つ目は、前述のように全く練習せず臨む場合。二つ目は、逆にめちゃくちゃ練習して臨む場合。我々が目指すべきは後者。せっかく発表するのであれば上手く発表したい所。喉がかれるほど練習して臨めばだいたいのケースで上手くいくでしょう。
プレゼン本番前には必ず複数回の発表練習を行って下さい。言うべきセリフがスラスラと出てくるように、アニメーションや図表の配置に問題がないか確かめておくために。発表練習回数の増大に伴い、セリフは無意識レベルで口をついてくるように。アニメーションもスライド資料の見直しも済み、時間があれば質疑応答対策を行って死角を無くせるでしょう。幾度も練習していくにつれ、『発表で失敗するわけがない』との自信が培われていきます。「これで失敗したら仕方がないな」と開き直れるようにもなるでしょう。
中途半端にしか練習しなかった場合、発表に自信を持てず、かえって本番で体が固まってしまいます。練習するなら徹底的に。練習したくないなら一切しない方が良いです
まとめ
結局のところ、発表での緊張を完全になくすことは難しいかもしれません。しかし、以下の3点を意識することで、緊張を味方につけることは可能です⇩
- 準備を徹底的に行い、自信の源とする
- 聴衆への意識を適度に下げ、心理的な負担を軽減する
- 失敗を恐れず、むしろ成長の機会として捉える
特に重要なのは、完璧を目指さないこと。発表は研究成果を共有し、フィードバックを得る場であって、自分の能力を試される場ではありません。
この記事で紹介した方法が、プレゼンに苦手意識をお持ちの方の一助となれば幸いです。最初は誰でも緊張します。緊張を受け入れ、本記事に記したマインドセットを意識することで、発表を重ねるにつれ徐々に緊張が緩和されていくでしょう。
コメント