【博士課程】海外留学へ行くべき人・控えるべき人の特徴を4つずつ解説

こんにちは!札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大化学系大学院生のかめ (D1)です。D1・10月から半年間ほどオックスフォード大学へ研究のため私費留学していました。博士課程在籍中の留学。渡英中は魑魅魍魎から様々な目に遭わされたものです (詳しくは週刊オックスフォードをご覧ください)

この記事では、修士・博士課程在籍中に海外留学へ行くべき人・控えるべき人の特徴4つずつ解説していきます。

  • 大学院在学中の海外渡航を検討中の方
  • 留学に少しでも興味のある方

こうした方々にピッタリな内容なので是非最後までご覧ください。

それでは早速始めましょう!

海外留学へ行くべき人

海外留学へ行くべき人の特徴は以下4つです⇩

  1. 余裕で学位を得られそうな人
  2. 外から日本を観てみたい人
  3. 外国語力を伸ばしたい人
  4. 研究者としての国際競争力を付けたい人

以下で一つずつ解説します。

余裕で学位を得られそうな人:国内で時間を持て余すぐらいなら…

標準修了年限を待たずとも早期修了できそうな方、ぜひ海外へ何か月間か留学してみてはいかがでしょうか?時間に余裕のある方ならば留学を最大限満喫できます。

日本の大学院の場合、修士なら2年、博士なら3年間通うのが普通。修了要件を早々に満たしてしまえば2年も3年も要りません。大学院を早々に飛び出し研究者になってしまうのも一案。ただ、大学や研究室のしがらみによって早期修了が阻まれる場合も… そうなると日本国内で時間を大いに持て余します。”暇で暇で仕方がない”という勿体ない時間の過ごし方に。

どうせ標準修了年限で修了するのであれば、いっそ海外に飛び出してみて刺激の多い生活を味わってください。海外には日本では見た経験も無い魑魅魍魎がそこらじゅうにうごめいており、彼らに揉まれて生活すれば心身ともにスケールアップできます。一般的に、海外へ長期留学すると学校の卒業が1年程度遅れる傾向が。しかし、早期修了可能なほどの余裕があれば、修了を遅らせることなく大学院を出られるのです。生涯年収の増加やライフイベント (就職・結婚・出産など) の1年早い通過をもたらします。もし余裕があるなら海外留学を積極的にご検討願います。

外から日本を観てみたい人:日本の良い面と悪い面がよく分かるようになる

海外で半年ほど暮らしてみたら、日本をある程度客観視できるようになります。『日本』に加え、『留学している国 (”A国”とします)』の2つの物差しを得られるためです。日本とA国を天秤にかけられるように。 (A国に比べて日本はココが凄いな/良くないなぁ…) と比較できるようになるということ。

本や動画で他国の事情をどれだけ集めて見知ったとしても、他国に住んでみなくちゃ分からない雰囲気や感覚というものがあります。百聞は一見に如かず、実体験に勝る情報は他に在り得ないのです。昨今のメディアは日本も外国も偏向が著しい。たとえばイギリスのBBCにおいても、ロンドンで起きた100万人規模のデモを一切報道しないというケースがありました。”報道する自由”を逆手にとって”報道しない自由”を行使するのです。そんな色眼鏡を通されてしまうと、外国の真の姿は日本に居ては分かりっこありませんよね。

留学をすれば【他国から見た日本】という新しい観点を自身にインストール可能。帰国後、日本について以前よりも冷静に洞察している新しい自分と出会えるでしょう。

外国語力を伸ばしたい人:自分の力の拙さを痛感し悔しさを味わいたければ行こう

海外では我々日本人にとっての外国語を話すことになります。多くの場合は英語ですが、非英語圏ではスペイン語やロシア語、ヒンディー語にスワヒリ語など他の言語でのやり取りとなるでしょう。いずれにしても、普段使っている言語”ではない”言語で意思疎通することになるのです。馴染みのない、使用経験値の少ない言語を操るのは至難の業

最初は相手が何を言っているのか全く聴き取られないのです。YouTubeで聴き取り練習をして行っても事情は変わりません。早口すぎてついて行けない。”何とか食らいついて行ってやろう…!”と意気込んでいたのにあっという間に置き去りにされるはず。私の場合、ホストファミリーのイギリス人が何を言っているのか分かるのに2か月かかりました。それでも完全には分からない。結局3か月経っても5割さえ理解できませんでした。

また、喋る方も思い通りにはいきません。日本語だったら即座に文にできても異言語では何秒か反応が遅れます。作文の練習を一切せずに行ったら単語を並べるので精一杯かも。まるで赤ちゃんに戻ったようでソレはソレでまた楽しいのですがね。

自分の現状を正確に理解し、「このままじゃ駄目なんだ」「もっと勉強しなくちゃ!!」と危機感を味わいたい方にこそ留学がオススメ。留学先では泣きたくなるほどの強烈な無力感を日々味わいます。それに耐え、打ち克ち、そして跳ね返すため必死に勉強することでしょう。力が足りずに悔しかったら成長するしかありません。自分が渡航前とは比べ物にならぬほどスケールアップして見返してやるのみ。私にはこの反骨心が不足し、あまり力を伸ばせませんでした。今後海外へ羽ばたく皆さんには私の悔しさを代わりに晴らして貰いたいです。

研究者としての国際競争力を付けたい人:研究者になれば海外との競争は必須!

”自分は将来、研究者になるんだ!”と決めていらっしゃる方は留学に行きましょう。研究者の世界はグローバル。将来、海外の研究者を相手に競争していきますから、学生のうちに海外の人間を垣間見ておくのはきっと良い経験になるでしょう。

日本人と海外の人間は考え方がまるで異なります。日本で当たり前だった価値観が外国ではほとんど、或いは全く通用しません。しかも、その価値観は国籍によってもガラリと変わります。”海外”や”外国”と一括りにできぬほど各々の世界観が多様なのです。雑多な人種との交流を通じて競争力が劇的に高まるでしょう。留学へ行くのと行かないのとでは研究業界での生き残りをかけたサバイバル力が段違いなのです。

海外留学を控えるべき人

海外留学へ行くべきじゃない、つまり控えるべき人の特徴は以下4つです⇩

  1. 学位を取得できるか否かがギリギリな人
  2. せっかちな人
  3. 持病持ちor精神を病んだ経験のある人
  4. 日本でやりたいことがある人

以下で一つずつ解説します。ちなみに②~④は私自身に該当。留学先では大学受験浪人時代よりも苦しい思いを味わいました。

学位を取得できるか否かがギリギリな人:留学に行っている場合じゃない

標準修了年限での卒業が現時点で怪しい方は留学を控えて下さい。”留学へ行ったら怪しい”ではなく、”留学へ行く/行かないにかかわらず修了できるか怪しい”人の話。留学へ行っている場合じゃない。まずは国内でやるべきことをやり、それらをキチンとこなした上で海外渡航を見据えるべき。海外へは博士課程を修了した後でも渡航することは可能です。むしろ、そちらの方が主流。博士課程で海外に行く方は結構なレアケースです。

修士なら2年、博士なら3年で”卒業しなくちゃいけない”と何かの法律で決まってはいない。修士でも3年、博士でも4年、5年かけて出ても別に構いません。しかし、時間をかければかけるほど卒業しにくくなっていくのもまた事実。周りからの目、ストレスの蓄積、そして研究に対するモチベーションの低下など様々な要素が積み重なるからです。早く出られるなら早く出ておくに越したことはありません。学位に対する不安のある方は大学院を出てからの渡航がオススメです♪

せっかちな人:海外の時間の流れが合わなければ非常に辛い

私のようにせっかちな人間は海外生活で苦労するでしょう。アメリカならばいざ知らず、ヨーロッパや東南アジアだと日本より時間の流れが遥かにゆっくりだからです。私の場合、大学や研究者の事務対応で2か月も待たされました。何の音沙汰もなくですよ?気が狂うかと思いました。いざ渡航しても相手の受入体制が整っていません。故障した実験装置がいつまでも直らないまま放置されっぱなし。せっかちな私は (早く研究させてよっ!!) とイライラを募らせました。事が全く思い通りに運ばず地団太を踏みっぱなし。

海外があまりにゆっくり過ぎるのか、それとも日本があまりに忙しすぎるのか… いずれにせよ、海外へ行くなら海外の時間感覚に自らを合わせねばなりません。私にはイギリスの感覚が全く合いませんでした。”適応しよう”と相手に合わせる努力をしてみたつもりなんだけれども失敗。私には日本の慌ただしさが己の気質にピッタリだったみたい。 (日本は忙しすぎるんだよ…!) とお感じの方は海外が合っているかもしれませんよ。

持病持ちor精神を病んだ経験のある人:行くと症状が悪化する場合も…

上記のように、海外で待っているのは日本では考えつかない超絶ストレスフルな毎日。言葉や時間感覚が合わないと己のストレスが指数関数的に増加していくのです。そうなると困るのは持病があったり精神を病んだりした経験のある方持病はどんどん酷くなっちゃうし、精神は荒みに荒み、立ち直れなくなる寸前まで徹底的に落ち込みます

私の場合、特定の音へ極端に敏感な脳の持病を抱えています。なのに、嫌な音をホームステイ先の住人に始終出されて家で寛げませんでした。また、訪問先のラボでは3か月間放置プレー。研究室に学生が居ないのだから誰かに話しかけようもない。長い時間を過ごす両方の場所で非常にもどかしい思いをした。結果、頭も心も病みました。あまりにストレスを溜めたのでしょうか、しまいには心臓が痛くなったり不整脈になったりしました。嫌な音から逃れられた今でもダメージが体から抜けきっていません。

私のように心身の問題を抱える方は渡航を控えて下さい。別に「行くな」とまでは言わないけれども、もしも行ったら私のように地獄を見るかもしれませんから。

日本でやりたいことがある人:海外へ行くのが回り道になる

日本国内で完結する目標が既にある方は留学へ行かなくても構いません。起業、就職、資格の取得など色々な目標が考えられますが、海外へ行くぐらいだったら目標達成に向けた準備を日本で進めた方が近道だからです。

私の場合、将来は音に敏感な人でも安心して暮らせる家を開発したいです。ノイズキャンセリングイヤホンの家バージョン、いわば『ノイズキャンセリングハウス』を作りたい。音は”音波”、波なんです。嫌な音が生じたら、その音に対応する逆位相の波をぶつけてやると、原理上、音を打ち消せるはず。やりたい仕事ができそうなのはアカデミアではなく企業です。住宅事業を扱う会社に入って働くしかありません。日本にはそうした仕事ができそうな会社が幾つも存在しています。よって、私が人生の目標を一刻も早く叶えるには【院を早期修了して企業へ就職すること】を主眼に立ち回らねばなりませんでした。

正直、留学は目標に対して思い切り遠回りな道。「目標に対して真逆に進んでいる」と言っても過言ではないかもしれません。私のように日本において明確な目標を打ち立てている方は”本当に留学へ行くべきだろうか?”と自らに何度も問うてみましょう。最終的に得られた答えが『留学』だったら留学すべきだし、『国内で頑張る』だったら留学には目もくれずに目標へ向け邁進してください。

留学へ行くか/行かないかの判断はご自身で

最後に大事なことをお伝えします。留学へ行くか/行かないかは最終的に自分で判断して下さい。”行くべき”に3つ当てはまったからって行くのが正解とは限りませんし、”控えるべき”に全て当てはまっても (行くべきだ)と思えば行って良いのです。あなたの人生はあなた一人だけのもの。自分の人生がどう転ぼうが、笑うのも泣くのも結局は自分だから。自分の人生にプラスになるのはどちらか?と考えに考えを重ねてご決断を。人生の全責任を背負う覚悟を持っての熟慮をお願いします。

以上です。

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