初旬:広島へ帰省
院試を終えた安堵感とともに、実家のある広島へと帰省の途についた。1,000km以上離れた札幌での暮らしゆえ、両親の健やかな姿を目にできる安心感は格別だった。
帰省中は先祖の眠る墓前に手を合わせ、青春時代を彩った思い出の本屋を訪ねた。街に溢れる広島弁の響きに郷愁を覚え、目尻が自然とほころんだ。4年目を迎えた札幌での生活は快適ながらも、心の拠り所は依然として広島にある。カープとサンフレッチェへの想いが、それを如実に物語っている。
とはいえ、広島の灼熱に比べ10℃ほど涼しい札幌の夏は、身体に優しい。数日で気温に馴染み、心地よい晩夏の風を楽しんだ。
中旬:大学院試の合格発表
面接試験を無難に終えていたものの、合格発表まで緊張感は続いた。9月10日頃、ネット上で発表された合格者リストに自身の受験番号を見つけた時、長かった受験期の重圧から解放された。
入学手続きは翌年の2~3月。JASSOの第一種奨学金の予約も可能だったが、煩雑な手続きを敬遠してしまった。しかし後に、返還免除制度などの恩恵を知り、M1の4月に急いで申請することとなった。利子のつかない第一種奨学金は、研究実績次第で返還免除の可能性もある有益な制度だと、今では強く実感している。
下旬:つくばへ
9月下旬、4週間の長期実験のためつくばへと向かった。今回は6月の短期滞在とは異なり、卒業論文に向けた具体的な成果が求められる真剣勝負だった。M2の先輩(Mさん)は「普通にやれば大丈夫」と太鼓判を押してくれたが、外資系コンサルタント内定の実力者である先輩の「普通」と、自分の「普通」には大きな隔たりがあるはずだ。私には全力で臨む覚悟が必要だった。強い決意を胸に新千歳空港を後にし、羽田経由で東京へ。人混みに圧倒された秋葉原での乗り換えも、つくばエクスプレスの躍動感に心を奪われ、疲れを忘れた。45分後、実験の舞台となるつくばの地に降り立った。
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