研究室生活春夏秋冬vol.8 B4・10月 七転八倒のつくば出張。果たして成果を持って帰られるのか?

こんにちは。札幌と筑波で蓄電池材料研究を行う工学系大学院生のかめ (M2)です。

研究室生活春夏秋冬シリーズの八作目は、B4の10月にあった出来事についてです。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

つくば滞在一週目:実験環境への適応に苦慮

第一週目は実験環境への適応にかなり苦戦させられました。

私が実験試料として用いていた”リチウム”という金属は水分と激しく反応してしまうため、『ドライルーム』という空気中の水分量がごく微量な環境で扱わなくてはなりません。

ただ、ドライルーム内では空気中だけではなく、自分の体内の水分まで根こそぎ持って行かれてしまいます。

なので最初はドライルームへ20分間滞在しているだけで体が干上がってしまい、外へ出て湿潤な空気を吸ったり水分補給をしたりしてどうにか耐えている状況でした。

実験セルを作成するには最低でも1時間はドライルームで作業しなくちゃならず、20分しか居られなければ実験セルを完成させられず実験を始めることすら叶いません。

かめ

実験を始めるだけでこんなに辛い思いをしなくちゃならねぇのか…

などと、全く見通しが立たない前途を思うとつい卒倒してしまいそうになりました。

また、『グローブボックス』の扱いにも大いに苦戦させられました。

グローブボックスとはアルゴンを封入した特殊な箱のことであり、中のスペースから伸ばされた手袋に手を突っ込むことでボックス内での作業が可能です。

このグローブボックス、人間は大気中で作業できるため、呼吸面ではドライルームより格段に楽です。

しかし、いかんせんグローブボックスは手の自由度が非常に低く、細かい作業をしようと思ってもかなり厳しいものがございます。

また、ボックス内では常にアルゴンガスが循環しており、薬さじを使ってリチウム塩を瓶からすくい出そうとすると”フワ~”っとリチウム塩の白い粉が飛び散ってしまうんですよ笑。

その掃除もこれまた面倒で、キムタオルにエタノールを染み込ませてごしごし拭き取ってやらねばならないのです。

超絶不器用な私には、ドライルームやグローブボックスでの実験が本当に過酷に思われました。

めちゃくちゃ贅沢な実験環境を使わせていただいているはずなのに、(もっと楽に実験できるテーマが良かった…)と第一週目にして少々辛くなってきました。

つくば滞在二週目:実験成果が…出ない!

最初は20分すら居られなかったドライルームも、一週間も過てば1~2時間程度の連続作業をどうにかこなせるようになりました。

これでようやく実験セルを作るスタートラインに立てました。遅れを取り戻すべくハイペースで実験を進めたのですが、全く実験成果が出てきません。

各実験でそれっぽいデータは毎回得られています。ただ、あまりにも結果がバラバラ過ぎて再現性がとれないのです。

つくばでお世話になっている共同研究者さんに色々と相談してみた所、「実験セルの作り方に問題があるんじゃないか?」とのことでした。

自分なりに何パターンものセル作りを試してみたんですけれども、やはり実験データにばらつきが生じてしまいます。

(こんなものだろう)で済ますには誤差が大きく、いったいどのデータがもっともらしいのか、判断するのが非常に難しいものばかりでした。

つくば滞在三週目:ヤバいヤバいヤバいヤバい

第三週目に入っても状況は一向に好転しません。

どころか、結果が出ない焦りのせいで実験セルの作り込みが甘くなり、第二週には見られなかった他のトラブルが頻発するようになりました。

こういう時にはいったん手を止めて深呼吸し、落ち着きを取り戻すのが肝心です。

しかし、そんなことなど考えられないほど心を取り乱してしまっており、

かめ

ヤバいヤバいヤバいヤバい、このままじゃ卒業できない!!

と焦りが募ってミスが単調増加する一方でした。

つくば出張の厄介な所は、研究室のゼミにオンラインで参加しなくちゃならず、ただでさえ時間に余裕のない実験時間がさらに削られてしまう点です。

こんな時にゼミなんて出ている場合じゃありません。しかし、出なければ出ないで事情を知らないボスから「何で出ないんだ?」と叱られてしまうに決まっていましたので、ゼミの時間は耳でゼミを聴きつつ、脳と手先をデータ整理に充てていました。

つくば滞在四週目 (最終週):やっと再現性を確認できた…!

『止まない雨はない』という格言の通り、青函トンネル以上に長かったトンネルにもようやく出口が見えてきました。

第三週までは実験のたびに変な結果が出ていたのですが、最終週では同条件で全実験ほぼ同じような結果が得られました。

おそらく、実験の経験値がある一定値を超え、セルの作り込みの熟練度がワンランクアップしたためだと考えられます。

もしくは、考えうるすべての失敗を第三週までに一通り経験し、一つずつ(どうやったら再発防止できるか?)と対応策を検討してきたおかげでしょう。

いずれにしても、データの再現性を確認できたおかげで卒論に使えるデータが得られました。

かめ

よかった、コレで卒業できる…!!

と、胸をなでおろし少しだけ涙ぐんだ次第です。

心に少しだけ余裕が生まれ、他の条件でも実験してみる気になりました。

そして、実験すればするほど卒論に使えるデータが増えていき、(来年度からの実験も楽しみだな^^)と一つ、また一つと笑顔を咲かせていきました。

つくば滞在最終日、札幌から遊びに来た指導教員と一緒に焼き肉を食べに行きました。

翌日は東京は蒲田の『丸一』というとんかつ屋さんに連れて行っていただきまして、良い思い出で最初のつくば滞在を締めくくることができました。

次回予告

研究室生活春夏秋冬B4・10月編はコレで以上となります。

B4・11月編では

  • 急遽二度目のつくば出張が決定
  • 地獄の3週間つくば滞在

これ等の内容でお送りします。

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