
2日:吉報

体中のやる気をかき集め、試験一か月前の7月下旬から院試の筆記試験の勉強を開始した。免除か不免除かと気を揉む日々が続き、シャーペンが全く手に着かず、典型問題の解き方を目で追う程度の勉強しかできなかった。下宿の郵便ポストを何度も覗いては「今日もまだ受験票来てないか…」と肩を落とすことを繰り返し、雑念に気を取られたまま2週間が過ぎていった。
8月2日、食材調達の買い物からの帰り道、待ちに待った瞬間が訪れた。郵便ポストに受験書類の入った封筒を見つけ、その場で震える手で開封すると、中には免除の通知。部屋まで我慢できず、郵便ポストの前で歓喜が込み上げてきたが、何とか抑え、自室のベッドで防音態勢を整えてから喜びを爆発させた。
4~7日:北海道弾丸ツアー
指導教員への免除報告を済ませると、私はJRの北海道内乗り放題切符を手に、一人旅の計画を立てた。列車旅を心から愛する私にとって、この機会は特別な輝きを放っていた。





8月4日、札幌を出発し、帯広を経て釧路へ。帯広では豚丼に舌鼓を打ち、幸福駅でカップルたちの幸せな姿を眺めた。釧路では、油が跳ねる熱々のスパかつに挑戦し、幣舞橋からの幻想的な夜景に魅了された。

翌5日は釧路から網走を経て旭川へ。途中、爽やかな釧路湿原の景色に心を奪われ、下車できなかった後悔が残った。6日は旭川で原爆記念式典をテレビで見た後、天候不良による宗谷本線運休のため、一度札幌へ戻ることを余儀なくされた。



8日、いよいよ待望の稚内行き。特急宗谷号で5時間の旅を経て、バスで宗谷岬へ。そこで見た日本海の深い青さと、遥か彼方に浮かぶ樺太の姿は忘れられない。夏とは思えないほど冷たい海に触れ、ロシアの広大さを実感した。23時半、札幌への帰還。往復10時間の列車旅は、疲れよりも達成感で胸が満たされた。
26日:院試面接待機中に緊張で体温が上昇し、急遽トップバッターとして面接に挑むことに

院試の面接対策は徹底的に行った。ネットで頻出質問を調べ、一つ一つ回答を準備。面接経験の少なさから来る緊張への不安を払拭するため、志望動機や研究内容を完璧に暗記するまで練習を重ねた。前日には筆記免除組で模擬面接を実施。同級生からの予想以上に厳しい質問に苦戦したが、この経験は本番での冷静な対応に活きることとなった。
しかし当日、真夏のスーツ姿と緊張により体温が上昇。試験会場での検温で37.5℃を超え、私だけがコロナ感染の疑いありとの判断を受けた。「単なる緊張です」と説明したい気持ちを抑え、指示へ黙って従い、急遽トップバッターとして面接に臨んだ。
面接自体は予想通りの質問に落ち着いて応答でき、10分ほどで無事終了。しかし、コロナ疑惑により研究室の院試終了パーティーには参加できず、解放感と寂しさが入り混じる中、一人自室で玄米とサバ缶を口にした寂しい夏の夜となった。


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