
後輩ができた!

大学院での生活で最も大きな変化は、後輩の存在だった。これまで研究室の末端として先輩方から学ぶ立場だった私が、M1として後輩の面倒を見る立場へと変わった。
修士になったからといって突然偉くなったわけではないが、教わるだけでなく教える立場としての責任が生まれた。研究室のルールや専門分野の勉強法、院試対策など、先輩から受け継いだ知恵を次世代へと伝え、研究室の伝統を絶やさないよう意識した。
中高と帰宅部で過ごし、部活やサークルに所属した経験がない私にとって、「後輩ができる」という状況は全く想像できないものだった。3月末には「ちゃんと後輩の面倒が見られるだろうか」と不安を抱えていた。
実際、進学後も後輩との接し方に戸惑いを感じた。「何をしてあげれば喜んでもらえるのか」と必要以上に考え込んでしまった。しかし、「自分が先輩にしてもらって嬉しかったこと、してもらいたかったことを実践しよう」と決めてからは、自然に後輩と接することができるようになった。時間を共にするうちに研究以外の話もできるように。B4の授業でのプレゼン準備にもアドバイスができるようになった。
講義が入った

修士課程で予想外だったのは、学部時代に散々受けた講義を再び受講しなければならない点だった。専攻の規定で20単位の取得が修了要件とされており、座学から解放されたと思った矢先の想定外の展開だった。
20単位というのは決して少なくない。1単位あたり週1コマ(90分)の講義が必要で、半期で10単位を取得しようとすると週10コマもの授業を履修することになる。さらに、大学院の講義は学部時代より格段にレベルが上がり、レポートやテストの難易度も上昇。奨学金の返還免除がかかっているため、成績も疎かにはできない状況だった。
ただし、コロナ禍の影響で講義が全てオンライン・オンデマンド形式になったのは幸いだった。研究室内で受講できる利便性に加え、倍速再生機能を活用して効率的に学習を進められた。また、先輩方が残してくれた過去問と解答は貴重な学習資源となった。
なお、博士課程でも8単位の取得が必要。しかも自専攻以外の講義を受けなければならないという縛りがあり、単位との戦いは続きそうだった。
Dの意志:30%

博士課程への進学意欲を「Dの意志」というパラメータで表現する。Dの意志は、M1の4月時点で25~30%程度だった。同時期に2名の社会人博士課程学生が入学し、彼らとの対話を通じて少しずつ進学への関心が芽生えていった。
これまでの10年間、研究室での博士課程進学者はわずか1名。その1名も中退していた。周囲にD進者がいない状況で、「この研究室は呪われているのでは」という不安もあった。しかし、社会人博士課程の2名の存在が、その呪いが解けるかもしれないという希望を与えてくれた。

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