【脱アカデミア】基礎研究に携わる学生や研究者が企業へ就職する方法

こんにちは!札幌と筑波で電池材料の基礎研究をしている北大化学系大学院生かめ (D2)です。2040年以降の実現が予想されている革新型蓄電池の実現に向けた基礎研究をしています。また、D1の1月中旬に就活を行い、内定を掴みました。2025年4月より某企業で車載用蓄電池の開発業務を担います。

この記事では、アカデミアで基礎研究をする方が企業から内定を得る秘訣について解説します。

  • 基礎研究者としての自分を企業へ売り込む方法を知りたい方
  • 基礎研究をやっている自分が企業から内定を得られるのか不安だ…という方

こうした方々にピッタリな内容なので、ぜひ最後までご覧いただければ幸いです。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

『基礎研究から離れてもいい』と覚悟を決める

企業が行う研究の大部分は「応用研究」という部類。基礎研究を行う企業もありますが、それはトヨタやソニーなど、超大規模企業に限られているのが現状。基礎研究と応用研究とでは持つ性質が少々異なります。基礎研究は数十年後の産業や学問の種を蒔く研究なのに対し、応用研究は数年後の実用化を見据えた実利性の高いものなのです。

”企業でも基礎研究を続けたい”と考えている方は、アカデミアや超大手企業への応募を検討すると良いでしょう。ただし、応募したからといって必ずしも採用されるとは限りません。不採用となる確率の方が高い。基礎研究をやりたい人ばかりが集まる公募の選考は熾烈を極めるのが普通。仮にも不採用となった場合、準大手企業への応募となります。基礎研究は行えず、応用研究、あるいは開発業務の公募しかないかもしれません。ハナから基礎研究に執着していない人にとっては問題無いでしょう。しかし、「オレは/私は産業のタネを蒔く方がいい!」とのこだわりのある方にとっては辛いはず。本音に則った志望動機を記せないのです。(別に金儲けなんかやりたくないんだけどな…)とネガティヴな気持ちで記した文章は人事の方の眼には魅力的に映らないし、書類選考の段階で不採用となってしまうのがオチかと存じます。

アカデミアで基礎研究をやってきた人がアカデミアを離れて企業へ就職する際、『基礎研究から離れることになってもいい』と覚悟を固めることが必要になってきます。そりゃ基礎研究を続けられるのならそれが一番だけれども、現実問題、研究を続けられそうなポジションが無く、且つこれからの生活費に困りそうなら基礎研究にこだわってなどいられません。応用研究や製品開発にやりがいを見出そうと努力して下さい。「自分の研究でお客さんを喜ばせたい」とか「製品の性能をアップさせ、社会の発展を裏で下支えできるのが幸せだ」とかいった風に仕事へ生き甲斐を見つけようと試みて下さい。私自身、大学や国研でポジションを見つけられず、アカデミアを出なきゃいけなくなって大変悔しい思いをしました。これまでやってきた研究とはガラリと毛色の異なる仕事をやる必要が生じて当惑もしました。しかし、いつまでも基礎研究にしがみつくことはできません。ホームレスになるよりは多少我慢してでも企業で働く方がマシ。基礎研究から離れることを自身に納得させてから就活に挑んだのです。そのおかげで自分の真の志望動機を書くことができ、書類選考を突破できました。面接でも『開発や量産をやってもらうかもしれないけどOK?』と聞かれ、間髪入れず「はい、やります!」と勢い良く返事できたのです。

今の研究と実用面での可能性を無理やり紐付ける

基礎研究と実用との間に大きな距離があることはよく分かります。そりゃそうです。もしも実用が近いのなら”基礎”じゃなくて”応用”研究だもの。皆さんは本当に実用化されるか自体が不透明な技術をご研究なさっているのかも。或いはそもそも実用化などハナから視野になく、自らの知的好奇心を充足するための探求の旅をなさっていらっしゃるかもしれませんね。

基礎研究者として自身を企業へ売り込む際、自身の研究と実用面の可能性を紐づけて説明することが必要になります。とどのつまり、企業は営利団体。自社の役に立つ技術や知見を持っている人に来て欲しいのです。道楽で研究をしている人は不要。その研究者を雇うメリットがある限りにおいて人事は”採用”という判断を下します。皆さんの研究は実用化まで程遠いかもしれません。私自身の研究だってそう。”2040年に実現する”とは言われているけれども、実現は2050年、いやそれ以降になる可能性も。それ以前に、私の研究が次世代型蓄電池の実現に寄与するのかどうかさえ不明瞭。研究をしていてよく思いますもん、(この研究、一体誰の役に立つんだろうなぁ…)と。

たとえ自身の研究が社会へ一切役に立たなかろうとも、我々は研究の実用化への可能性を、つまり社会への有益性示さねばなりません。企業に自身を雇うメリットを伝え、「ほら。オレ/私、こんな魅力的な研究をしてきたんだよ。雇いたいでしょ?」と訴求する必要があるのです。面接でも聞かれると思います。『この研究の究極のゴールは何ですか (何の役に立つんですか)?』と。その際、うまく説明して自身の相手に対する印象を良くさせることが重要。研究と社会との紐付け方なんて何でも構わないのです。数十年後、社会がどうなっているかなど誰にも分からないし、いまは絵空事のように思える空想が意外と実現しているかもしれないのですから♪

研究で培われた総合的な研究力をアピール

正直言って、基礎研究は大変です。実用化までの道筋がおぼつかないなか、研究をどのような方針で進めるかを暗中模索で決めねばなりませんから。気力・体力・精神力の全てがフル活用されます。それだけ頑張って取り組んでも上手く行くかどうかは運次第、といった所。ハードな基礎研究に日々従事するにつれ、研究に関する総合力がいつの間にか上がってきます。文献検索力や資料作成力、論文執筆力に実験遂行力といった力が爆上がりするのです。後輩の面倒を見る場合、人材育成力まで高まってくるでしょう。人付き合いも上達してきます。人間関係で摩擦を起こしては研究室に居づらくなりますからね。

エントリーシートや履歴書を記す際、また面接で企業の方とやり取りするにあたり、基礎研究で培われた総合的な力を示すよう心掛けて下さい。研究力はもちろん、それ以外、つまり【プラスアルファの部分】を表にさらけ出しましょう。企業の実務で役立ちそうな力が自分のストロングポイントなら最強ですね。修士や他の博士人材との明確な差別化に成功し、面接官の頭に強く残る印象的な応募者になれることでしょう。研究を懸命に頑張ってきた方ほど研究のことばかりアピールしようとしがちに。少しだけ視野を広げただけで自分が沢山のアピールポイントを有する人材であることに気付けるでしょう。

最後に

基礎研究者が企業から内定を得る方法論の解説は以上。脱アカデミアを試みる基礎研究者さんの参考になれば幸いです。

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