【大学院】新しい研究テーマのアイディアを得る3つの方法

こんにちは!札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大工学系大学院生のかめ (M2)です。研究をしていると雨後の筍のようにやりたいことが思い浮かびます。一方で、他の人から「何でそんなにアイディアが思い浮かぶの?」と不思議がられることも多々あります。アイディアの発想に苦労している学生さんがどうやら多いみたいです。

そんな学生さんを救うべく、この記事では私が新しい研究テーマのアイディアを得るのに使っている3つの手法を解説します。

  • 研究テーマを思いつくヒントが欲しい方
  • 自身の発想力を更に鍛えたい方

こうした方々にピッタリな内容なので、是非最後までご覧頂ければと思います。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

与えられた研究テーマをトコトンまで突き詰めてみる

私は全くのゼロから研究テーマを生み出したことは一度たりともありません。実験の大半はこれまで自分がやってきた研究の延長に位置する内容となっているのです。研究室配属時に与えられたテーマをトコトンまで突き詰めていく過程において(コレを測れたら面白いな、この現象を理論的に考察できないかな?)などと妄想が拡がっていきます。そうした妄想が実現する可能性を真剣に検討することでいつの間にか研究テーマになるわけです。

研究テーマの着想法を知りたい方は、(じゃあどうやったらそんな妄想を抱けるの?)とお考えになることと存じます。妄想力を鍛えるには

  1. 当該分野の先行研究を読みまくる
  2. 小説やSFなど現実離れした作品を読む

この2つが非常に効果的。先行研究を過去から現在まで順に遡っていくと、不思議なことに専門分野の未来が見えてくるようになるのです。課題解決のためのアプローチもうっすらと浮かび上がってきますから、”自分の手持ちの武器で如何にして課題解決に貢献するか?”と研究テーマを生み出す入り口に立てます。また、非現実的な文学作品は脳を柔らかくするのにおあつらえ向け。「こんな設定あり得ないよ笑」と物語を頭から否定するのではなく、とりあえず受け入れしばらく読み進めることで著者の妄想力を自分のモノにしてしまえるわけです。

なお、研究テーマはこれまでの成果を論文としてまとめる際に産まれることも多いです。細部まで議論を詰めていくうちにこれまでの研究だけでは説明しきれない部分が生じ、”なんでだろう?”という疑問をタネに新たなテーマが花開きます。
私はB4の頃、先輩(M2)の論文執筆のお手伝いをしていました。論文中で説明を軽く流した部分が一か所あり、(もっと上手く説明できないのかな…?)と一つの疑問が生じたのです。修士課程ではそのパートをより詳しく説明するため日夜大量の実験を行いました。そこで得られた成果をまとめた論文はIF23の国際雑誌に載りました[関連記事]。ただ、論文の査読過程で複数の査読者から「もっと実際の電池内の環境に近い条件で測定できない?」とコメントを頂いておりました。偶然私自身も同じことを考えていたため、(どうやったらこの妄想を形にできるかな…?)と試行錯誤して方法を編み出しました。すでに論文2報分の成果を生み出すに至っております。その成果を論文にまとめる過程でまた何個かやりたい実験が浮かび上がってきた訳です。

研究の着想でお困りの方は、ご自身の研究テーマをもう少々突き詰めてやってみましょう。極めた先には全く新しい世界があなたを待っています👍

他分野の文献を読んだり別の研究をする友人と交流したりする

研究のアイディアを思いつけない場合、生活がマンネリ化してしまっている可能性も。単調作業の繰り返しにより自身の独創性が影を潜め、”何か新しいことを考えたくても何も思いつかない…”という苦しい事態に陥ったのでしょう。そんな時には脳や体へ普段と異なる刺激を入れるのが効果的。生活に新鮮さを意図的に取り入れれば脳が少しずつフレッシュになり、やがてマンネリを脱して新しい研究テーマを産み出せるようになってきます。

私の場合、マンネリを回避すべく以下の2つに取り組んでいます⇩

  1. 他分野の文献(論文や専門書)を読んでみる
  2. 別の研究をする友達と話してみる

自分とは異なる分野の内容は正直チンプンカンプンです。しかし、それでもどうにかして理解しようと努めていると、脳が普段と異なる働き方をして思考回路が円滑になってきます。また、別の研究をする友人と交流すれば、自分の分野では当たり前の常識が他分野では全く通用しないことに気付かされます。反対に、相手の分野の通念を聞くと「そんな考え方があるのか!」と目を見開かされますし、話しているうちに(自分の専門と異分野の○○技術とを掛け合わせれば凄いことができるんじゃないか?)と妄想が拡がっていくのです。

研究をすればするほど専門分野の知見が深まりますが、その他の分野へ目を向けることが疎かになってしまいがちに。研究の種は意外なところに潜んでいるので、ぜひ【異分野交流】へチャレンジしていただければと思います^ ^

本屋や自然の中でゆったり過ごす

研究のアイディアを得ようとすれば『研究しない時間』を大切に。「アイディアが欲しい!」と求めれば求めるほど獲得から遠のく一方で、研究の事が頭から離れたふとしたタイミングで「分かったぞ!」と斬新なひらめきが生まれるもの。週に1日ぐらいは研究関連のことを何もしない・考えない日が必要です。休日返上で研究室へ行けば行くほど発想力が低下するので、アイディア着想のため”休む時は休む”と決め罪悪感なく寛いでください♪

私が何かアイディアを得たい時、大きな本屋さんで数時間ほど本を手に取りながら歩き回ります。本屋さんではリラックスできる和やかなBGMが終日かけられておりますから、店内を歩き回るだけで脳や心が洗われるような感覚に陥るのです。お店では新作を手に取って(こんな面白い文章を書く人がいるのか!)と感心させられることもありますし、ふと目が留まった古典的作品を手に取り(どうして今まで気づかなかったんだろう?)と意外に思う時もあります。専門外の書物を読むと(全然分からないなぁ…)と苦笑い。コレが研究のマンネリ化を防ぐことにも繋がっています。

稀に旅行へ行く際は都会ではなく田舎、それもド田舎を選ぶようにしています。海からの清々しい風を浴びたり森林の葉のそよめきを聞いたりすれば緊張がするすると解けてくるのです。旅行へ行くと超高確率で研究に関するひらめきを得られます。研究から離れれば離れるほど新しいテーマを着想し、(世の中って本当に不思議だなぁ)と神秘を感じる思いであります。大自然こそ至上の教師。困った時は自然に聴けば大抵のことなら答えてくれます。我々理系学生の多くは『”自然”科学』をやっています。大自然に身を任せるうちに【自然科学の本来の目的】を思い出せるはずですよ👍

最後に

私が新しい研究テーマの着想を得るため使う手法はコレで以上となります。まとめると、

  • 研究をトコトンまで突き詰めてみる。極める過程で見えてくる世界がある
  • 脳へ新鮮な刺激を入れる。他分野の文献を読んだり他の研究をする友人と交流したりするのがオススメ
  • 研究しない時間を大切にする。本屋や自然の中でゆったり過ごしてアイディアの着想が得られるのを待つ

このような形になります。

アイディアを思いつくのはセンスだと思われがちですが、努力やちょっとしたコツでかなりの部分をカバーできます。当記事を参考にアイディアを養い、研究室生活を一層楽しいものにして頂ければ幸いです。

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