研究室のゼミは何の役に立つか?

こんにちは!札幌と筑波で電池材料研究をしている北大化学系大学院生かめ (D2)です。B4の4月に研究室へ配属されて以来、ラボ生活は5年目を迎えました。

B4やM1の頃には「ゼミなんて何の役に立つのだろう…?」とやる意義を感じられませんでした。誰から強いられずとも勝手に自己研鑽する身としては、「ゼミなんて無くても勉強するんだけどなぁ」とゼミがうざったくて仕方が無かったのです。博士課程に入ってようやくゼミの意義が分かり始めてきました。この記事では、研究室のゼミが何の役に立つか、ゼミの意義について解説します。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

専門用語のスピードラーニング

研究室に配属されてから最も困ったことは、『ゼミのメンバーが何を言っているのかサッパリ分からない』というものでした。各々の口から流暢に繰り出される専門用語がチンプンカンプンだったのです。それもそのはず、理系の専門用語なんて日常生活では滅多に出会う機会がありません。馴染みのない単語ばかりが耳に飛び込んで来たら驚くのも無理はないでしょう。私自身、研究室のゼミへついて行けるようになるまで半年ぐらいかかりました。前期の終わり頃になってようやく議論の筋や流れを掴み始められてきた感じです。

研究室ゼミの第一の効用は、ゼミに参加していれば自然と専門用語のスピードラーニングができる所。たとえ相手が何を言っているのか分からなくても、大量の議論を聞き流していくうちに専門用語の意味や概念を推測できるようになるのです。語学と同じようなものかもしれません。留学で海外に行って外国語をシャワーのように浴びれば、相手が何を言っているのか徐々に判別を付けられるようになるのと似たような感じ。研究室ゼミでも参加すればするほど専門用語が安宅に吸収されていきます。その力が深化していくにつれて専門知識が蓄えられていき、やがて専門領域の深いところまで理解できるようになるのです。もちろん、ただ単に聞き流すだけでは知識の吸収効率は低いまま。入門書や基礎的な専門書を読み進めることで知識が抜け漏れなく頭に叩き込まれます👍

プレゼン発表&資料作成技術の強化

研究室ゼミでは雑誌会や中間報告などでスライド資料を作る必要が。普段からガンガンプレゼンしている学生にとってはもう既に慣れっこかもしれません。ただ私を含め、多くの方は、研究室配属前までに片手で数えられる程度しかプレゼンをした機会が無いと思います。プレゼンはやればやるほど上達していく一方で、肝心の”プレゼンする機会”というものが日常でなかなか訪れないから困りもの。プレゼンは今後、学会発表や就活、企業での開発報告会等でたくさん行わねばなりません。であれば、大学を卒業するまでに少しでもプレゼンスキルを磨いておきたいですよね?

研究室ゼミの二つ目の効用は、年に何度か人前でプレゼンする機会を強制的に作れる所。発表に向けて資料を作る過程で資料作成技術が強化されるし、実際に発表する経験を積めば自ずとトーク力も鍛えられるでしょう。ゼミの特に良い所は、メンバーから発表に対する何らかの『フィードバック』を得られる点。自分では (完璧な発表ができた…!!!) と会心の出来を確信するような講演でも、他の人から聞いたら実は分かり難い、不明瞭なプレゼンだったといった気付きを得られる可能性が。その反省を活かせば次回のプレゼンにてより良い発表ができるはず。そうしてどんどん発表がブラッシュアップされてプレゼン力を総合的に強化できるのです。

私自身、研究室に配属されたB4当初、プレゼンが大の苦手でした。言葉は噛みまくるわ、スライドはグチャグチャで何を言っているか分からないわで、指導教員から相当沢山の指摘を受けたものです。そもそも原稿を見ずに発表するのでさえ無理。覚えた原稿が緊張のせいで頭から吹き飛んでいってしまいます。ゼミでの発表機会を活かして己の発表技術の強化に勤しみました。緊張せずに発表できるよう訓練したり、口から勝手に言葉が出てくるよう原稿を何度も読んで練習したりしました。その結果、M1の3月、全国学会にて学生講演賞を頂けるまでに成長したのです。どれだけ下手でもやれば必ず伸びる。皆さんには是非ともゼミを活かしてプレゼン技術を強化していただきたいです。

批判耐性の強化

世の中で多様性が高らかに叫ばれるようになるにつれ、異なる意見同士が衝突しかけても「まぁ、人それぞれだからね~」『そだね~^ ^』と衝突が未然に回避されるように。学校のディベート部にでも入らない限り、己の主張を曲げず、誰かと真剣に言い争いをする機会などほとんど訪れないのではないでしょうか?SNSでも事情は変わりません。いや、相手をいとも簡単にブロックできる分、ネット上では自分と反対の意見と出くわす機会が現実よりも少ない可能性さえある。快適に過ごせるのは嬉しい話。しかし、批判に対する免疫強化の機会が失われた結果、批判に弱い人間が大量生産されてしまっています。誰かから自分の意見を否定された際、心へ深いダメージを負い、立ち直れなくなってしまいがちなのです。まるで人格否定されたような気にもなる。ますます自分の殻に閉じこもり、批判免疫の強化機会を失う結果になりかねません…

研究室ゼミの三つ目の効能は、発表後の質疑応答にて批判耐性を強化できる所。矢のように鋭い質問を耐え抜き、切り返していくにつれ、批判に強くなっていくのです。批判されてもヘッチャラ、どこ吹く風。「勝手に言ってろ♪」と心の中でつぶやき、ダメージを軽く受け流せるように。豆腐メンタルな学生でも大丈夫。批判を受ければ受けるほど批判に強い心が自然と育っていきますから。批判されているのが自分なのか/自分の意見のどちらであるのかを瞬時に切り分けられるようになったら強い。私自身、(あっ、自分が否定されている訳じゃないんだな)と悟った瞬間、相手からの批判が怖くなくなりました。

日常で自分の意見を表立って批判される機会の少ない現代だからこそ、ゼミで批判を受けられるのは大変良いことだと感じます。人格否定にならない形で相手の意見の誤りを指摘する練習にもなるでしょう。

勉強習慣の無い人でも最低限必要な勉強量を確保できる

私自身は誰から強いられずとも勝手に勉強する人間。ゼミが及ぼす勉強に関する効果は感じませんでした。しかし、何らかの強制力が無ければ勉強しない人にとって、ゼミは最低限の勉強量を確保できる点で非常に大きな価値があるでしょう。

ゼミで炎上したら面倒。自分や先生はもちろん、炎上ゼミを受けている他の学生にも迷惑がかかります。どれだけ怠惰な学生でも”炎上だけは避けよう”とゼミ前は必死に勉強へと打ち込むのです。真剣な様子は武田騎馬軍団の如く、その集中力は一攫千金を狙って競馬場へ入り浸るおっちゃんの如し。ゼミのおかげで学位取得に必要な最低限の勉強を全員が行えます。「ゼミなんか面倒臭いだけじゃん」と言っている人ほどゼミの恩恵を受けている点をくれぐれもお忘れなく。

最後に

ゼミの効用に関する記事は以上。皆さんが少しでもゼミを前向きに受けようと思って下されば幸いです。

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