こんにちは!札幌と筑波で電池材料研究をしている北大化学系大学院生かめ (D2)です。日本学術振興会特別研究員DC1としていただいている科研費を参加費と渡航費に充て、2023年10月、スウェーデン・ヨーテボリで行われた国際学会に参加しました。発表したのはポスターセッション。2時間もの持ち時間を研究者との交流にフル活用できました。
この記事では、自身の体験を踏まえ、国際学会のポスター発表を後悔の無いよう楽しく乗り越える方法について解説します。
- 今後、国際学会でポスター発表を控えている方
- せっかく国際学会へ行くんだもの、100%満喫して楽しみたい!という方
こうした方々にピッタリな内容なので是非最後までご覧ください。
それでは早速始めましょう!
【ポスターデザイン】時間をかけて徹底的にこだわり、シンプルかつ目を引くポスターを作ろう
発表に使用するポスターのデザインは徹底的にこだわりましょう。手抜きをしたら後悔します。全然人が寄り付かなくなるからです。口頭発表では10~20分程度の発表時間で済む。たとえ質問を受けられなくてもダメージは極小で抑えられる。しかし、ポスターセッションは1~2時間もある。その間ずっと手持ち無沙汰で立ちっぱなしになるのは悲しい。人気のないポスターの発表を聞いてみたいと聴衆心理的には思いません。
- イマイチなデザインのポスターを張る
- 面白くなさそうだから人が寄り付かない
- 人が寄り付かないから他の人も寄り付かない
- 人が来ないからプレゼンターの顔色が曇って余計に人が寄り付かなくなる
と、長篠合戦の織田軍の鉄砲隊 (三段構え) も顔負けな四段論法が炸裂するわけです。ポスター発表は沢山の人と話してナンボ。そもそも人を呼び込めなければディスカッションにすら持ち込めないのです。
ポスター発表に適したデザインの一案として、Morrisonさんという方の提案するデザインがすごくオススメ。研究室の2つ下の後輩が教えてくれたサイトのリンクと併せて以下に示します⇩
ポスター中央の上の方にポスターの趣旨をデカデカと記す。その下に重要な図表を載せ、上のテキストと併せて注目を得る。”なんだなんだ?”と集まってきた聴衆へ至近距離で詳細を説明すべく、キーコンテンツの左右に実験方法や具体的な説明、それに考察をたくさん記す。下の方には論文のリンクや著者情報をQRコードで貼り付けるのだそう。
この通りに作成すると、目論見通り、たくさん人を呼び込めました。ビッグラボの所属ではない、マニアックな研究を行っているイチ日本人博士学生のポスターへこれほどまでに人が集まるだなんて。2時間のポスター発表において10人以上の研究者と話せました。当初、(良くても5人ぐらい来ればいいかな)と思っていただけに望外の結果。皆さんもデザインでお困りでしたらMorrisonさんのデザインを真似されてみては如何でしょうか?私は次回以降、国内の学会でポスター発表を行う時もこのデザインで挑むつもりです。
デザインに凝るのは研究内容について論理的に説明できるようになった後。説明がグチャグチャだったらデザインが良くてもあまり意味がありませんので、まずは自身の研究について頭の中で整理してからデザインに凝りましょう♪
【英語】発表練習をしてから臨もう
”国際学会”と銘打っている以上、発表言語は基本的には英語。なされた質問に対して英語で即座に答えねばなりません。私を含め、普段から英語で話すのに慣れていない方は英語の発話訓練が必要。アドリブじゃなかなか厳しいですよ。思った以上に口から英語が出てきてくれないモノであります。ポスターの大筋、想定質問への回答など、簡単で良いので英語で話す練習をやっておきましょう。発表2週間前から毎日練習しておけば本番で困らずに済みます。
綺麗な英語を話さなくても相手に伝えることは可能。説明をするのにキーとなる単語を必要なタイミングで述べられたらOK。文を紡ぎ出せたら言うこと無し。相手に納得感を抱いてもらえてお互いにとってプラスな時間に。簡単な英語を作るのにオススメなトレーニングが『瞬間英作文』。日本語を見た瞬間に英語へ訳すトレーニングをたくさん重ねていくもの。ステージ1 (中学生レベル)、ステージ2 (高校生レベル)、ステージ3 (基本動詞の自在活用)と次々とやっていけば、日本語を見なくても言いたいことを即座に英語で言えるようになります。コレ、効果てきめんです。せめてステージ1だけでもやって学会に行けば最低限の会話は可能♪
【そもそも】研究の質を向上させよう
ポスター発表で相手に研究を堂々と伝えるために重要なのは、そもそも伝えるべき研究の質を充実させておくということ。デザインや英語で外面を飾り立てても中身が伴っていなけりゃ無意味。内容がイマイチなポスターを発表で使用するとなったならば、内容の空虚さを最も理解している発表者の眼が泳ぐ。それでは堂々と発表できません。せっかくのポスターセッションが虚しさでいっぱいの不本意な時間で終わってしまうはず。後悔しない発表をするには研究をもっと頑張るしかありません。”もうコレで十分!”と自分で充実感を得られるぐらいにまで。
【安全のため】論文化したデータをポスターに載せよう
最後に、万が一に備え、既に論文として世に公開しているデータをポスターに掲載するのが吉。世の中には底意地の悪い研究者が居て、まだ公開されていないと知ったら”我先に!”とパクって先に論文を出してしまう方が。せっかく頑張って出した成果だから、誰にも横取りされたくありませんよね?『横取りされる可能性がある』と知って臨む学会は心穏やかではないはず。ならば既に公開済みのデータを使ってポスターを作ればいい。コレなら150%安全。タイムマシンが考案されていない以上、先行研究者に先行して論文を出版することは不可能ですからね♪
公開済みの論文の名前や巻数をポスターの下に書いて下さい。すると、ポスター聴講者がセッションの後、論文をダウンロードし読んでくれます。自分の身をしっかり守れてなおかつ他の研究者からの引用を期待できます。論文化したデータを使わない理由がもはや存在しないのです。
最後に
国際学会のポスター発表を後悔の無いよう楽しく乗り越える方法は以上です。皆さんの国際学会でのポスター発表が上手く行くことを願って締めくくります。
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