博士課程へ進学するか・否かはいつ決めたら良いか【デッドラインはM1の2月初旬】

札幌と筑波で電池材料を研究している北大化学系大学院生かめ (D2)です。

修士学生の全員が一度は考えたことのある問題、それは『博士進学 (D進)』。 D進しようか/就職しようか…と悩むのがM1後期の恒例行事。私自身、迷いに迷ってD進を決意した身。悩む皆さんの気持ちはよく分かります。D進にせよ、就職にせよ、人生を左右するほどの重要な決断。どちらにすべきか本当に迷わしいです。とはいえ、いつまでも進路で迷っている訳にもいきません。早く決めなければいずれを選ぶにしても手遅れになりかねません。

この記事では、私自身の経験を背景に、D進するか・否かをいつ決めたら良いか解説していきます。

  • D進しようか/否か考えていらっしゃるM1の方
  • 将来的にD進を視野に入れている学部生の方

こうした方々にピッタリな内容なので、ぜひ最後までご覧いただければ幸いです。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

【大前提】決めるのは早ければ早いほど良い

まず大前提として、D進を決める時期は早いに越したことはありません早ければ早いほど博士進学後の生活資金を得られる”学振DC1”に通る確率を高められます。

DC1内定を安牌にするにあたって、化学系分野では少なくとも

  1. 査読付き筆頭英語論文:一報以上
  2. 国際学会での発表歴:一回以上
  3. 学会での受賞歴:一回以上

これら全ての業績が必要に。当記事ではこれ等の業績を備えた人間を【三冠王】と呼ぶことにしますが、DC1申請までに三冠王になるのは相当な作業量が必要なのです。

並の修士学生にとって、学術論文は”書くもの”ではなく”読むもの”。D進でも志していない限り、英語論文など書こうとさえ思わないはず。ただ漫然と過ごしているだけでは論文執筆とは無縁の生活に。「D進するぞ」と決めてようやく論文執筆との縁ができ始めます。また、国際学会で発表したり国内学会で受賞したりするには内容の充実した発表が不可欠。発表内容をまとめれば論文にできるぐらいの研究完成度の高さが求められるのです。発表スキルも欠かせません。色々な人からフィードバックを受けながら地道にスキルを高めていくほか無いでしょう。

生成AIが出現・発展した影響で、研究成果をますますアウトプットしやすくなる状況が整ってきています。学振DCに内定できる研究業績の水準は今後、増えていく一方でしょう。D進をなるべく早く決断して研究業績を集め始めなければいけません。決断を下すのが早ければ早いほどDC1申請時にたくさんの実績でもって勝負できます。

どれだけ遅くともM1の2月までに決断しよう

おそらくこの記事をご覧の皆さんは、”D進を決意するのは早い方が良い”だなんて知っていると思うんですよ。それを承知でD進を決めかねているから私の記事に辿り着いたわけで。そこで、私なりのD進デッドラインを発表しておきます。デッドラインはM1の2月初旬。どれだけ遅くともこの時期までには決めて下さい。

なぜ2月初旬なのか?D進ではなく就職を選んだ際、修士学生の採用活動に乗り遅れずに済むギリギリの時期が2月初旬だからです。3月には企業の採用面接が始まります。企業へ応募するには履歴書やエントリーシート (ES) を記さねばなりません。就職関連書類の用意には莫大な時間が必要。ESなんて一社ごとに問われる内容や文字数制限が違いますから、一社ごとに頭を使って書類を準備せねばなりません。また就活開始時期が遅すぎた場合、既に応募を締め切り、採用活動を終了してしまっている企業が多くあります。第一志望の企業に行きたくても応募さえ叶わなかったら相当ショックを受けるはずです。

就活前に書類を準備可能な時間のとれる、かつ大半の企業の応募可能時期を逃さずに済むギリギリのタイミングが『M1の2月初旬』ということです。大学推薦で企業への就活を決めるならもう少し遅くても (2月下旬) 構わないでしょうが 、推薦応募で内定を掴めばD進は不可能になるから難しい所ですね。

【私の場合】考え始めたのはM1の4月。決めたのはM1の9月

最後に私のケースについてお話します。

私がD進を考え始めたのはM1の4月。卒論用に行った実験で運良く成果が出、B4の3月に筆頭論文を出せた1のを機にD進を検討し始めました。”研究”という行為自体に面白みを見出したのです。これまで誰も分からなかったことが実験によって解明されてきて、「自らの手で人類の未解決問題を一つずつ解決していくのって凄いな!面白いな!」と研究へすっかり魅了されてしまった形。とはいえ、D進となるとややハードルが上がります。博士課程に入った後、ちゃんと成果を出し、無事に修了までこぎつけられるのだろうか、、、 と。所属研究室の博士学生在籍数が、過去10年以上、ゼロ名だったのも不安要素の一つ。博士学生を育てる能力のない研究室でD進しても大丈夫かな…

D進を決意したのはM1の9月。主なD進理由は以下の2つ⇩

  1. 修士課程までで研究を終えるのは何だか物足らないから2
  2. 自分はまだ自分の限界を見ていない。博士課程で限界を垣間見れるほど徹底的に追い込んでみたいから3

「博士課程を修了できるか否かは自身の頑張りに懸かっている」と開き直りました。「指導教員は”放任”と称して学生を放置プレーしているけれども、先生に頼らず自分の力で博士号を掴み取りに行くしかない」と腹をくくったのです。学振DC1内定に向け、M1・4月から既に本格的に動いていました。出られそうな学会には全部出たし、発表スキルを高めるために本を購入してプレゼン術やスライド作成術を自主勉強。結果、M1・3月には【三冠王】になれました。三冠王の状態でDC1に申請できたので、正直、DC1に落ちる気はしませんでした。実際、ちゃんと内定を獲得。早めから動き始める重要性を改めて認識した次第。

最後に

博士課程へ進学するか・否かをいつ決めたら良いかに関しては以上。デッドラインはM1・2月初旬。それまでに進路を決め、各々の進むべき道へ駆け出してください。

脚注

  1. 学部生が論文を国際ジャーナルにて出版するメリットとデメリット ↩︎
  2. 博士課程へ進学する理由その1 ↩︎
  3. 博士課程へ進学する理由その3 ↩︎

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