【大学院】指導教員から博士進学を勧められたとき冷静に考えたい3つのこと

札幌と筑波で電池材料を研究している北大化学系大学院生かめ (D2)です。日本学術振興会特別研究員DC1として国からお給料を頂いています。

私が指導教員から博士進学 (D進)へと誘われ始めたのはB4の後期から。以来、M1の9月に教員へ「D進します」と宣言するまで、先生の部屋へ行くたびに「研究室に博士が居たら嬉しいなぁ…^ ^」と言外にD進を勧められたものです。結局、私はD進を選びました。先生の勧めに洗脳ついつい唆されてしまった側面もあります。「口車に乗せられた」と言ったら表現は悪いですが、まぁ、そんな感じです。間違ってはいません。

この記事では、指導教員から博士進学を勧められたとき冷静に考えるべき3つのことについて解説します。

  • 博士進学するか/しないか迷っている真っ最中の人
  • 指導教員に博士進学を勧められ、どうすればいいか困っている人

こうした方々にピッタリな内容なので是非最後までご覧ください。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

自分は研究が得意なのか、それとも作業が得意なのか?「研究に向いているよ」という言葉へ素直に喜んじゃダメ

指導教員からD進を勧められたとき、正直言って私はかなり嬉しかったです。「研究に向いているんじゃない?」と言われて有頂天になりましたもの。先生方は研究で身銭を稼いで飯を食っている『研究のプロ』。プロから「適性があるかもよ?」と言われたら嬉しくなっちゃいますよね。加えて、私自身も研究をしていて楽しいなぁと感じていました。こんなにオモロいものをあと3年間もやれるなんてまさにパラダイスじゃないか、と

指導教員にD進を勧められた際に考えるべき一つ目のポイントは、自分は【研究】が得意なのか、それとも【作業】が得意なのか?と自身に問うてみること。『頭脳労働 (研究の立案や論文執筆など)』と『肉体労働 (実験)』のいずれに向いているのでしょうか?厄介なのが、たとえ作業が得意であっても傍から見れば研究が得意な風に映る所です。ある人がデータをいっぱい出しているのを見ると、周囲は何となくその人を”研究がデキる人”と捉えられてしまいがちなんですよね。皆さんの回りにも研究がデキるように思われている方がいらっしゃるかも。ひょっとしたらそれ、研究ではなく作業が得意なだけかもしれませんよ。

私自身、研究よりも作業の方を得意とする人間です。精度の高いデータを得られる実験セルを試行錯誤して作ったり、とにかく実験の数をこなして大量のデータを得たりするのが得意。物事を深く考えるよりも手を動かし続けていたい人間。頭脳労働は昔から不得手。考え続けると頭が大爆発します。私のように考えるのが苦手な人がD進すると研究で行き詰った時に困ります。何とかして苦境を脱さなきゃ卒業が覚束なくなるんだけれども、いかんせん考えるのが苦手なのでどうすればいいか分からないのです。私はD進後、今まで経験したことがないほど長時間の思考訓練を重ねています。めちゃくちゃストレスです。蕁麻疹が出ています。短所を胸に突き付けられて苦しい。思考活動の不得手な私はどう考えてもD進してはいけない人種でした

D進を決断してしまう前に、「自分は考えるのが好きなタイプなのかな」と胸に手を当てて考えてみて下さい。考えるのが好きならD進なされば宜しいでしょう。「やっぱり手を動かすのが好きだな」との結論に至れば他の道を探してみましょう。

博士進学したあと教員から梯子を外されてしまわないか?教員のサポート無しで研究を完結させられるか?

皆さんの指導教員は今、あなた方に対して丁寧なケアやサポートをしてくれていますか?たとえ普段はサポートが無くても、学生が望めば十分な支援を受けられる態勢を築けているでしょうか?D進を勧められた皆さんは、現状、ある程度のサポートを受けられる状態でしょう。少なくとも教員とのコミュニケーションは可能。完全放置プレーの状況ではないはずです。

指導教員からD進を勧められたときに考えるべき二つ目のポイントは、D進してからいきなりサポートを受けられなくなってしまわないか、という点。「D進すると決めたのは君でしょ。じゃ、あとは勝手に頑張ってね」と梯子を外されないかを真剣に見定めて下さい。研究室に博士課程の先輩が居れば一度聞いてみましょう。「博士課程に入ってから先生からの扱いは変わりましたか?」と。もしも「同じだよ」と返されたら、D進後もある程度の支援を受けられるでしょう。「悪くなったかな」とか「放置されるようになったよ」とかいった返事をされたら、十分なサポートは見込めうぬかもしれません。

これまで先生からD進を勧められるほど成果を出してきた学生さんにこそ、D進後の教員からのサポートの有無には十分注意してもらいたい。これまで成果を出せたのは教員のおかげ。教員のサポートあってこそのモノだから。我々の力の及ぶ範囲など僅か。見えない所で指導教員が糸を引いて我々を成功へと導いてくれています。もしも先生からのサポートが完全になくなった時、果たして貴方は論文を書き、研究を結実させられるでしょうか?そもそも論文化にさえ漕ぎつけられないまま実験の段階で頓挫してしまう可能性も。そうなると博士修了さえ困難。D進して放置されたあとから後悔したってもう遅いのです。

D進後に先生らが梯子を外す理由の大半は教員の学生に対する愛情。”世話が面倒だから”との理由でサポートを辞めちゃう人もいるけども、大多数の教員は、学生の研究者としての将来を想って敢えて突き放しにかかるのです。呆気なく突き放された時、果たして貴方はやって行けますか?って話。やっていけるという自信のある、もしくはやっていかなきゃ仕方がないじゃないかという覚悟のある方はぜひD進して下さい。ちなみに私の場合、学部時代から指導教員にほぼほぼ放置されていました。論文を書いて投稿する場面に限って幾らか助けて貰っています。事情はD進後もほとんど同じ。D進前からD進後と同じ扱いを受けていたということ。

体の良い『駒』として利用されて終わらないか?ちゃんと3年以内に修了させてもらえそうか?

残念なことに、アカデミアには学生を己の『駒』、つまり一兵卒としてしか見なさぬ教員がいます。自分の代わりに学生へ実験をさせ、成果だけは自分で独り占めする形。私の身近にも何人かいます。学生が悲痛な顔で大変苦しそうに実験している様子が印象的。ホワイト研究室のすぐ隣に漆黒のブラック研究室はあるのが怖い所。同じ研究室でも指導教員が違うだけで明暗がハッキリ分かれるケースもあるようです。

指導教員からD進を勧められたとき考えるべき三つ目のポイントは、D進したら体 (てい) の良い『駒』として教員にボロボロになるまで利用されはしないか、という点。自分の意見を尊重してくれず一方的に意見を押し付けられたり、時には休日出勤を要求されてまで徹底的にこき使われたりしないで済みますか?ブラック研究室に居るなら、そもそもD進したいとさえ思わないはず。そういう場合はまだ良いのですが、仮にホワイト研究室へ所属しているとしてもD進前に『駒扱いされないか?』と考えてみて下さい。

教員が高インパクトファクター (IF) への雑誌投稿にこだわる場合は注意ビッグジャーナルに投稿し続け、1年、2年…と時間が経って3年で修了できない場合があるからです。教員がビッグジャーナルへの投稿を勧めるのは、学生のためを想う純粋な善意から。ビッグジャーナルに通れば学生の研究者としての未来が開けるのです。しかし、そもそも博士号を得なくちゃ研究者になれないでしょう。ビッグジャーナル行脚を繰り返した挙句、タイムアップでオーバードクターするだなんて最悪。学生側はアクセプトがより確実な低IF雑誌へと投稿したい。IFの低い雑誌の方がアクセプトされやすく、論文出版数を稼いで博士修了要件を早く満たすことができます。しかし教員は学生の為を思って高IF雑誌への投稿を推してくる。ココに両者の意志にミスマッチが生じ、大概は指導教員の想いが勝って高IFへの投稿に、そして長期に及ぶ泥沼へと足を突っ込むことに。

論文の投稿先を学生に選ばせてくれる教員かどうかを見定めましょう。優しい先生でも意外とIFにこだわって投稿先を自由に決めさせてくれない場合がありますから。

最後に

指導教員から博士進学を勧められたとき考えるべき3つのことはコレで以上。皆さんの博士進学検討材料になればこの上なく幸いです。

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