JSTフェローシップがある時代に学振DCはどのような『価値』を持つか

こんにちは!札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大化学系大学院生のかめ (D2)です。日本学術振興会特別研究員DC1として国からお給料をいただいています。

近年、日本政府が博士課程進学者への支援を本格化させています。支援策の一環として、JSTがフェローシップ制度を設立しました。フェローシップの採用枠は数千人単位だそう。応募すればほぼ確実に採用されるぐらいの低い競争率。倍率6倍以上の学振DCとは天と地ほどの差が。わざわざ苦労して学振DC1に内定しなくともフェローシップだけで生活を営めるから、 (DC1に申請しなくても良いんじゃないか…?) と考えてしまいがち。

この記事では皆さんと一緒に、フェローシップがある時代に学振DCの有する『価値』について考えていきます。

  • 博士進学を検討していらっしゃる方
  • 学振DC1への応募を控えていらっしゃる方

こうした方々にピッタリな内容なので、ぜひ最後までご覧いただければ幸いです。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

ちゃんとした申請書を書き上げる経験

学振DCとフェローシップとでは申請書のボリュームが全く異なります。学振DCの方がフェローシップよりも倍以上多く書いて出さねばなりません。未だ申請書を書いた事のない人間にとって、学振DCの申請書を書き上げるのは大変な重労働。書けども書けども終わらないんです。A4用紙3ページもの研究計画に同じページ分の自己分析欄を埋めねばならない。おまけに推薦書の執筆も残っている。「どんだけ書かせりゃ気が済むんだよっ?!」って半ギレで文句を言いたくなるほど。大量に文字を打っている間に手首が腱鞘炎になってしまう。指先の脂がキーボードに根こそぎ吸い取られてガサガサになってしまいます。

学振DCは申請書を書き上げて提出するだけでも十分価値のある経験になるかと存じます。計画を記していくうちに頭の中で計画の輪郭が見えてきて、博士課程で何から取り掛かるべきかが徐々に鮮明になってくるからです。

フェローシップの申請書ぐらいの分量では正直、テキトーに書いていてもごまかし切れてしまう。研究の優先順位や具体的内容が具体的に定まっていなくても申請書を作り上げられます。悪いことに、フェローシップはテキトーに書いて出しても倍率が低いからヌルっと内定してしまうんですよね。私自身、フェローシップの申請書の完成度はさほど高くなかったものの、選考倍率がちょうど1倍だったため完成度如何にかかわらず内定しました。学振DCの申請書を作成する時はそういうわけにはいきません。テキトーにごまかして済ませるにはあまりにボリュームが多く、否が応でも前後の文脈と整合性のとれた”ちゃんとした文章”を作らざるを得ません。気合を入れて『ちゃんとした申請書』を作る経験は自身を飛躍的に成長させてくれます。日本語力、研究構想力、自己分析力などを高められるのです。

同世代トップクラスの研究力を持つ証

フェローシップの選考倍率はおよそ1倍。日本全国で6000人以上に作用枠が用意されています。それに対し、学振DCの選考倍率は6~7倍。学振DC1に限れば採用枠は700人と、フェローシップ生に対する希少性がケタ違いなのです。厳しい選考を勝ち抜いて得られる【日本学術振興会特別研究員DC1】という称号は、同世代100万人の中でトップクラスの研究力を有する確固たる証。企業やアカデミアへ就活する際、”トップ人材”として他の応募者とは別格扱いしてもらえます。

熾烈な競争を勝ち抜いて得られる自信は、博士課程進学後の自分を下支えしてくれます。窮地に立たされた時、道が八方塞がりになってしまった時、「学振DC1に内定した自分なら何とか打開できる。大丈夫だ!」と自分を鼓舞できるのです。博士課程は本当に辛い。噂に聞いているかもしれませんが、修士課程の時よりも遥かに辛くて皆さんも驚かされることでしょう。迫り来る修了年限までに成果を出し切らねばならないのが大変。成果なんてそんな簡単にポンポン出せるものじゃないんだけれどもねぇ… たとえどれだけ辛かろうとも、学振DCに内定して得られる自信があったら何も恐れるものはない学位取得のプレッシャーや研究にまつわる様々な不安などを一蹴、雲散霧消させてくれます

フェローシップよりも支援額は多額

学振DCの方がフェローシップよりも金銭面で有利です。月々の基本給 (20万円 vs. 18万円) にしても年間研究費 (100万円以上 vs. 40万円) にしても、学振DCの方が結構多め。懐の余裕は心の余裕に、そしてそれは研究の質に繋がってきます貧乏生活よりも裕福な生活の方が豊饒な発想に至りやすいのです。私なんて学部一年次、お金がなさ過ぎて道端の草を食べていました。それだけ貧乏だった頃は一日を生きるだけで精一杯。明日以降のことを考えられるようになったのは、銀行口座に10万円の貯金ができた学部二年次の1月以降から。余剰資金が増えるに伴い生活に安心感が出てきて、今では来年以降を見据えて先行自己投資まで出来るように。

学振DCの支援額の多さは魅力的。”フェローシップでは額が不足する”という方は学振DCへ積極的にチャレンジしてみましょう!

最後に:学振DCに申請して損はしないと思う

フェローシップ時代における学振DCの価値について論じました。

結論、学振DCに申請して損をすることはありません。というか、ぜひ申請して下さい。申請書を書き上げる経験、内定すればトップ人材の評価と潤沢な資金を得られる点はあまりに魅力的です。

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