【博士進学】日本学術振興会特別研究員DC1へ内定するには

こんにちは!日本学術振興会特別研究員DC1 (学振DC1)の北大化学系大学院生かめ (D2)です。日本政府から月20万円の給与と年140万円の研究費を支給していただいています。

学振DC1は倍率6倍以上の非常に狭き門。厳しい選考を乗り越えるためには「内定するコツ」を知っておかねばなりません。学振内定者だけが知るこの技術ですが、世間にはあまり出回っていないようです。学振内定者が大切に胸の内へ秘めたまま卒業してしまうせいでしょうか?

そこでこの記事では、私が申請書執筆の過程で会得した学振DC1の内定を掴むコツ5つご紹介します。

  • 博士課程進学 (D進)に向けて学振DC1の内定を目指している修士学生
  • 将来的な学振DC1内定に向けて早い時期から動き出しておきたい学部生

こうした方々にピッタリな内容なので、ぜひ最後までご覧いただければ幸いです。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

学生が学術論文を出している&学振DC内定者輩出歴のある研究室へ行く

学振DC1の内定を掴みたければ、研究をちゃんとやっている研究室へ行くべきです。半ば休眠状態の研究室へ行ったとしても、論文を出せないどころか、学会発表さえまともに行えません。そうした研究室に所属する先生は概して研究にやる気がない傾向が。終身制のアカデミックポジションを得て満足してしまったのかも。後にも述べますが、学振DC1内定のために研究業績は不可欠。ガンガン業績を積み上げて行けそうなアクティヴな研究室へ行かねばならない。

皆さんの所属する学科の中に、研究を盛んに行っている研究室があると仮定しましょう。その研究室の出版論文の著者が誰か、配属前に確認しておいて下さい。論文を『学生が』書いているのか、『先生が』書いているのかということ。『先生が』出版している研究室に所属すると、研究成果を先生に横取りされてしまって業績を満足に上積みできません。『学生が』論文を書いて出している研究室へ行くのが吉。研究室ホームページの研究成果を掲示する欄に学生の名前が筆頭著者に記されている論文が沢山あれば大丈夫👍

学振DC1内定のノウハウを知りたければ、学振DC内定者輩出歴のある研究室に所属して下さい。学振DCに内定した博士学生と一緒に過ごせたら完璧。彼ら/彼女らはこの記事の中に書かれていないノウハウをも有しています。皆さんが書き上げた申請書に目を通し、「ココはこう書いた方がいいんじゃない?」とアドバイスをくれるでしょう。学振内定者を輩出した教員の元では”受かる申請書”の書き方を教えてもらえるはず。先生に申請書へ魔法をかけて貰えたら内定確率のアップは間違いありません (*≧∀≦*)

指導教員へM1の5月までに「博士課程へ行きます」と宣言する

学振DC1の申請時期は例年、5月初旬に定められています。ゴールデンウィークが明けた直後、自らの将来の命運をゆだねる書類を学振へ出さねばなりません。B4の4月に研究室へ入ってからM2の5月まではおよそ2年間。わずか2年間で学振に内定できるほど多くの研究業績を集めておく必要があるのです。研究業績の積み立ては戦略的に行うのが吉。やみくもに色々な分野へ手を出してみるよりも、『この時期はコレ。あの時期はアレ』といった感じに戦力の局部集中を図る方が楽に集まります。学会発表や論文出版には当然、お金がかかる。指導教員におねだりして研究費からお金を拠出して貰うことに。

学振DC1内定に向けて研究業績を積み立てていくべく、指導教員へM1の5月までに「D進します/D進するかもしれません」と伝えておいて下さい。この一言を伝えた瞬間、指導教員の学生への力の入れようがガラリと変わるからです。学振DC1内定に向けて先生が色々と手を焼いてくれるように。「○○学会に出てみない?」「この成果をまとめて○○誌に出してみようよ!」等と研究業績の積み立てに手を貸して下さります。学生はもちろん、DC1に通りたい。DC1に通れば金銭的にハッピーになれるから。先生方だって指導学生に学振DC1へ通って欲しい。DC1に通った学生を教えていた先生は、DC1内定者輩出歴を得られて学生と同じく幸せになれるのです。

指導教員へのD進宣言は早ければ早いほど効果が高くなります。研究業績積み立てに向けて動き出す時期が早ければ早いほど、学振DC1申請までに多くの業績を集められるからです。B4のうちに「実はD進を考えているんですぅ~」と伝えておいても良いかも。熱心に研究をやる期間が長ければ長いに越したことはありませんからね。

査読論文出版&国際学会発表&学会賞受賞の『三冠王』になる

研究業績、研究業績とやかましいなぁ…とお感じになったかも。「じゃあ貴方の言う十分な量の研究業績ってどれぐらいなの?」とお思いになったかもしれません。学振DC1の内定を決定付ける業績の量は分野によって大きく異なります。自分の分野と異なる分野とを一括りにして物事を言うことはできません。私の所属する化学業界は論文を出しやすい分野。そのため、DC1内定には沢山の業績が必要です。文学系や数学系は論文を数年に一報出せれば上等な分野。論文出版以外の所での頑張りが必要になってくるでしょう。

参考までに、化学系の場合についてのみお話します。化学系で学振DC1へ手堅く内定するには、申請までに以下3つの業績が必要のようです↓

  1. 査読済み学術論文を筆頭著者にて一報以上出版している
  2. 国際学会で発表したことがある
  3. 国内/国際学会にて学生講演賞を受賞したことがある

当ブログでは、上記3つの実績を備えた人間を勝手に【三冠王】と呼んでいます。三冠王になってしまえば業績はもう十分。あとは他のパートで非・三冠王と決定的な差を付けるのみ。なお、三冠王になったからといって内定が確実な訳ではありません。業績以外の部分の執筆で手を抜いてしまえば何の情け容赦もなく落とされます。せっかく業績を頑張って集めたのです。申請書も細部に至るまで気を抜かず書き切って下さい。

学振からテンプレートが公表された当日から申請書と評価書を書き始める

研究業績の積み立て開始時期と同様、申請書執筆へ着手する時期も早ければ早いに越したことはありません。図表や文章は時間をかければかけるほどより良いモノが出来上がるからです。熟成ステーキを想像して下さい。ステーキは熟成させればさせるほど旨みが増し、柔らかい仕上がりになって美味しくいただけます。申請書だって同じ。仕上げたものに何度も手を入れ、熟成させては手を入れることで改良されるのです。

申請書執筆開始から提出までに最低でも1か月半は欲しい。あわよくば3か月。学振ホームページでテンプレートが公開された日から書き始めれば、第一稿とは比較にならぬほど完成度の高い書類が完成するでしょう。私の場合は申請書の執筆に半年間費やしました。申請前年度のテンプレートを使ってM1の12月から文章を作り始めたのです。紹介しておいて言うのもアレなのですが、私のやり方はあまりオススメできません。新しくA区分/B区分が出現した2024年度の如く、前年度からテンプレートが大きく変えられる可能性があるためです。努力が無駄になるかもしれないのは嫌じゃありませんか?本記事をご覧の良い子の皆さんは申請3か月前から執筆開始していただいて問題ありません。

皆さんは申請書の執筆についつい気を取られてしまい、評価書の執筆にまで気が回っていないのではないでしょうか?まぁ、評価書は本来、指導教員が記すべきものなので、我々学生が書かなくても構わないはずです。しかし、指導教員だって他の仕事で大忙し。論文や研究費申請書の執筆、学会運営に学生始動などで手一杯。実際の所、大半の学生は評価書を自らの手で記しているかと存じます。評価書は申請書ほどのボリュームはありませんが、それでも4,000字近く書かねばなりません。評価書の執筆もなるべく早く始めておくと良いでしょう。評価書にはテンプレートが存在せず、自由に書けるので、年明け前から執筆に着手しても良いかと存じます。

申請書を色々な人に見てもらってアドバイスを受ける

申請書が完成し、内容や誤字脱字チェックまで済ませたら、他の人に見てもらって客観的なアドバイスを受けましょう。自分の中では最高の出来だと思っていた申請書でも、他人からすれば意外と粗だらけの出来に映るかもしれません。審査員は皆さんの研究への思い入れなど知ったこっちゃないですからね。申請書の内容や出来栄えだけで評点を付けていきます。研究に対する想いが強ければ強いほど目が曇り、自分の作った申請書を客観的に眺められません。研究が好きな人や研究熱心な人ほど他人の助言が必要。

申請書を同期や先輩、指導教員などに見てもらいましょう。申請書をより良くするアドバイスを受けて下さい。えっ、どのようなアドバイスを受けたらいいか分からないって?…分かりました。分かりましたって。皆さんがアドバイスを乞うべきポイントを以下に7つご紹介します。

  1. 研究題目:よりコンパクトに、かつ鮮烈な印象を与えられるタイトルにできないか?
  2. 太字や下線の使い方:”読まなくても読める”申請書になっているか?太字や下線を適切に使い分けられているか?
  3. 文章の構成や言い回し:不自然な箇所はないか?もっと自然で読みやすい文章に改良できないか?
  4. 文章の内容:書くべき内容を抜け漏れなく書けているか?削れる箇所はないか?強調したい箇所をもっと強調して説明できないか?
  5. 模式図の作り方:パッと見るだけで研究の外観や具体的内容を想像できる図になっているか?
  6. 自己分析:主観が混じっていない「客観的な」自己分析になっているか?
  7. 全体的な印象:申請書を一読して「コイツはやってくれそう!」という高揚感を抱くか?

その他にもアドバイスして貰える箇所があれば素直に聞き入れて下さい。客観的な意見は貴重。申請書に取り入れられそうな箇所は積極的に取り入れましょう♪

最後に

日本学術振興会特別研究員DC1に内定する5つのコツは以上。学振DC内定を目指す皆さんの参考になれば幸いです。

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