【博士進学】学振DC1内定を狙うならM1の5月から論文を書き始めよう!

こんにちは!札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大工学系大学院生のかめ (D1)です。日本学術振興会特別研究員DC1として国からお給料をいただき研究しています。

博士進学を目論む方はまず学振DC1に目をつけるはず。月20万円の給料と年間100万円もの研究費を貰えればお金にまつわる問題を凡そ解消できますからね。ただDC1は採択率2割未満の狭き門。特別研究員に採用されるには研究実績を戦略的に重ねて他の応募者より頭一つ抜け出す必要があります。

この記事では私の実体験を踏まえ、学振DC1内定を狙うならM1の5月から論文を書き始めよう!という説を提唱します。(えっ、さすがに早くない?)とお思いになったかもしれませんが、本記事を最後までお読みいただければ5月から書き始める必要性を感じていただけるかと存じます。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

M1の5月から論文を書き始めるべき3つの理由

M1の5月から論文を書き始めるべき理由は以下の3つになります⇩

  • スケジュールにゆとりを持って申請準備をしてほしいから
  • 論文はアクセプトまで半年かかることもザラにあるから
  • 運が良ければDC1申請書提出までに二報目 (三報目)の論文もアクセプト可能だから

以下で一つずつ解説します。

論文を書くのは一報目が最も大変。スケジュールにゆとりを持って申請準備をしてほしいから

コピペでも構わない卒業論文と違い、学術雑誌へ投稿する論文には綿密な作り込みが求められます。図表を丁寧に作るのはもちろんのこと、”結果と考察”のパートでは目を皿にして (ホンマにこの説明で合っているかな…)と慎重に考え抜かねばならない。査読付き雑誌への掲載を狙う場合、専門家による厳密な査読を何とか通過する必要があります。論文を一文ずつなめるように読み込む査読者を納得させる高品質な論文を書かなくちゃいけない。

私自身の経験上、学術論文は一報目を仕上げるのが最も大変なんですよね。そもそも作り方が分からないので『論文 書き方』と調べる所からスタートしますし、来る日も来る日も考察パートを検討し続け頭がおかしくなることも。英語雑誌へ投稿するなら日本語原稿を英語化しなくちゃならない。やっとの思いで全文作り上げても指導教員による大量の添削で心が折れそうになるのです。論文執筆は己の限界との闘い。日に日に擦り減る精神をどうにか癒して翌日もパソコン越しに論文と格闘。こんな過酷な作業を学振の申請書作成と同時並行で進めるなんて厳しいですよ。どちらも体当たりで挑まねば成功するかどうかすら不明瞭なのに、同じ時期に二方向へ体当たりするなんて人間の為しうる所業とは思えないのです。M1の5月から論文を書き始めて貰いたいのはスケジュールに余裕を持って学振の申請準備に取り掛かって欲しいから。論文を一報アクセプトされたら後方の憂いなく申請書作成にフルコミットできますし👍

アクセプトまで半年かかる事もザラにあるから

ちゃんとした雑誌の論文は、査読者による審査を経てめでたくアクセプト!という運びになります。査読期間は雑誌によりまちまちです。CommunicationやLetterみたく軽量な論文なら1週間程度でコメントが返ってきますし、Full Paperなら1~2か月もの査読期間が設けられていることも。CNS (Cell, Nature, Science)系だと査読に半年かかるケースもあるようです。いずれにせよ、投稿してすぐアクセプト!…とはならない点を頭に留めておいてください。上に書いた査読期間はあくまで”一度”の査読期間。実際に論文を投稿したら査読者と我々研究グループとのコメント⇔返答ラリーが続き、二度目、三度目の査読が行われるだなんてことも珍しくありません。運悪く意地の悪い査読者に当たればラリーが半永久的に続きます(笑)。応酬の末アクセプトされれば頑張った甲斐があるものの、もしリジェクトされれば (今までの時間を返してくれよ…)と虚しい思いに苛まれるでしょう。

学振DC1の申請期限は例年、M2の5月中旬。ゴールデンウィーク明けまでに何とかしてアクセプトされていなくちゃなりません。申請書の実績欄に”投稿中”と称して論文執筆実績を書くことはできる。でも”投稿中”と”受理済み”とでは全く重みが異なります。極端な話、たとえ”投稿中”じゃなくても「投稿中です」と嘘を書けてしまえますよね?その点”受理済み”は嘘をつけず、”投稿中”より高い評価を申請書の審査員につけてもらえるのです。査読者とのラリー、リジェクト等が起こりうる可能性を考慮すると、申請書提出の一年前から論文を書き始めるべき。私自身、M1の6月から書き始めた投稿論文が”査読中”のまま申請書提出を迎え、(もう少し早めに書き始めればよかったなぁ…)と後悔したため、皆さんには同じ後悔をして欲しくないと思って『1年前から書き始めましょう』と提唱しています。

運が良ければ申請書提出期限までに二報目 (三報目)の論文もアクセプト可能だから

論文は一報仕上げるのですら非常に大変な所業です。ですが、何かの間違いですんなり書きあがってしまうことも。卒論がそのまま投稿論文になる場合がコチラのケースに該当します。学部時代に幸運の女神が微笑み、卒論を英語化するだけで論文の出来上がるラッキーな方がいらっしゃるはず。すでに研究成果を有しているなら早く論文にしてしまいましょう。学会で成果を発表をした瞬間から誰かにマネされるリスクを孕んでいるため、別チームに我が物顔で先を越される前に自チームの名で論文として出しておくべき。M1の5月からと言わず、B4の春休みから論文化しても良いぐらい。私自身、B4の研究成果の一部をB4の1月に学会で発表し、それからすぐ論文化してB4の3月に掲載までこぎつけました。

仮にM1の早い段階で論文が一報アクセプトされたなら、M2の5月中旬 (DC1の申請時期)までにもう一報論文を書ける可能性が飛躍的に高まるでしょう。二報目の執筆は一報目より楽。既に一連の論文執筆プロセスを知っているおかげでスムーズに作業を行えます。もちろん論文を書くには実験/シミュレーションデータが必要です。雨後の筍のように次から次へと論文を出すのは難しい。しかし、論文を出す前提で実験をすれば何かしらデータを得られるもの。論文を書いたことがあれば (このデータは論文のココに使えそうだな…)とカンが働き、論文に載せるデータをジグソーパズルの要領で能率的に収集可能。DC1申請時に筆頭論文が二報あったらめちゃくちゃ強いと思います。もし三報あったら最強ですね^ ^。掲載済み論文があればあるほどDC1内定が迫ってきます👍

早めから論文執筆経験を積んでおくと進学前に自分の研究者適性が何となく分かる

修士課程へ進学してからすぐに論文を書いておくとDC1の内定確率が高まります。それに加え、自分が研究者向きなのか/そうじゃないのかを判断する材料にもなるのです。

大学でひたすら実験するだけだと”実験作業”を研究と捉えてしまいがち。しかし実際の所、研究は作業じゃ到底片付かないのです。

  • 自分たちの有する武器で解決可能な課題を設定し
  • 過去に似たような研究例がないかを先行文献調査し
  • 思い通りの結果が得られなかったときのプランB, C, …を念のため作り
  • 研究遂行に必要な予算を確保し

と、実験の裏に潜むおびただしいプロセスを通過しなくちゃいけません。我々学生が実験しかせずに済んでいるのは指導教員が上記のプロセスを前もって処理してくれているから (←先生方にしっかり感謝しましょう)。論文執筆に挑戦すれば、指導教員らが歩んできた茨の道を疑似体験することができる。課題設定や先行文献調査などで頭がおかしくなるほど徹底的に考え、『研究者になるってこういうことなのか…』と肌で感じられるのです。もし(何で時間をかけてこんなコスパの悪いことをしなくちゃならないんだ)と拒絶反応が出たらおそらく研究者向きではないでしょう。その一方、(大変だけれど頑張り甲斐があるな!)と感じられたら研究者に向いている可能性も。

博士進学するか/就職するかは企業へのインターンシップだけじゃ的確に判断を下せません。論文執筆をやってみて初めて自身の適性が見えてくるのです。私自身、M1の間に論文執筆と就職活動の両方を経験してみました。どちらにも本気で打ち込んでみてようやく

かめ

自分は技術者 (会社員)より研究者の方が向いているのだろうなぁ

と博士進学へ舵を切るに至りました。就職か・進学か。この二者択一で迷っている方にこそ論文執筆へも挑んで欲しい。どちらもやってみれば必ず良い答えを導き出すことができます^ ^

最後に

『学振DC1内定を狙うならM1の5月から論文を書き始めよう!』説の提唱と諸々の話は以上となります。皆さんの今後の実りある生活の一助になったことを祈ります。

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