「早期修了したら特別手当の扱いはどうなるの?」
学振DCを受給中の方は気になるところだと思います。
北大と国研で研究している化学系大学院生かめ (D2) です。日本学術振興会特別研究員DC1としてご支援いただいております。このたび、大学院博士課程を二年で早期修了する運びとなりました。本来D3となる来年度は、地元の民間企業にて開発職へ従事する予定です。
令和六年度より、特別研究員DCの任期最終年度に”研究奨励金特別手当”が支給され始めました。その支給額は月3万円。お金に大変がめつい私は、早期修了者にも特別手当をもらう資格があるのかどうか気になっちゃいました。貰えるものは貰っておかなきゃ損。後から(あのとき貰っておけばよかったな…)と後悔しても遅いのです。私の学振DC1の任期最終年度は今年度。ひょっとして私にも特別手当の受給資格があるのではないか、いや、ひょっとしたらないかもしれない。
表記の件について、日本学術振興会(JSPS)へ直接問い合わせてみました。この記事では、問い合わせ内容とJSPSからのご返答について報告します。
それでは早速始めましょう!
JSPSへ問い合わせてみた
問い合わせたのは2024年12月15日(土)。予備審査会が終わってからまだ49時間しか経過していません(どんだけお金にがめついんや)。
文字起こししたものを以下に示します⇩
日本学術振興会
特別研究員採用中・採用終了後担当 御中
お世話になっております。特別研究員DC1としてご支援いただいているかめと申します。研究奨励金特別手当に関して問い合わせさせていただきたく、ご連絡いたしました。
現在、博士課程二年次に在籍しております。このたび、学位審査会での審議の結果、博士課程を一年短縮して早期修了することが内々定いたしました。来月末の公開論文審査会を経て、早期修了が正式に認められる運びとなっております。
つまり、今年度が博士課程への在籍最終年度となる予定です。
つきましては、特別研究員DC制度における「研究奨励金特別手当」の受給資格について確認させていただきたく存じます。
私の場合、特別手当の支給対象となる可能性はございますでしょうか。また、支給対象となる場合、申請に必要な手続きや提出書類についてもご教示いただけますと幸いです。
ご多忙の中、大変恐縮ではございますが、ご確認・ご回答のほど、よろしくお願い申し上げます。
お返事は
週明けすぐに返答をいただきました。迅速なご対応に感謝いたします。
かめ様
お世話になっております
いえいえ、こちらこそいつもお世話になっています。おかげさまでどうにか博士生活を乗り越えられました
日本学術振興会 研究者養成課 特別研究員採用中・採用終了後担当でございます
長っ!よく噛まずに最後まで言えるな。日本学術振興会特別研究員DC1もたいがい長いけど、日本学術振興会研究者養成課特別研究員採用中・採用終了後担当はそれの3倍ぐらいあるで
ホンマ長いな。JSPSに入所したら、噛まずにスラスラ言えるよう練習させられるんやろか?
お問い合わせいただきました件、以下のとおり回答させていただきます
お願いします
かめ様におかれましては令和7年4月より採用最終年次となりますが、
そうですね… ん?
いやちょっと待って。早期修了する自分の最終年度は令和六年度じゃない?
あ~っ、分かった。採用最終年次は制度的に決まっているもの。早期修了云々は一切関係ないのか
学振DC1の任期は三年。令和五年度からDC1に採用されたら、採用最終年度は令和七年度になる。てことは、もしかして
令和7年3月までに学位を取得された場合には、4月以降はDCではございませんので、
嫌な予感がするなぁ。続きを言うな。ちょっと待って。心の用意をするから。言わないでよ。ちょっと待って。だから、ちょっと待って…
研究奨励金特別手当の対象とはなりません
ちょっと待ってって言ったじゃん!あぁぁぁぁぁーーーーー!!!!!
あぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!!!!!!
研究奨励金特別手当の対象とはなりませんっ!
何回も言わんでエェってぇぇぇ~~!!
どうぞよろしくお願いいたします
アァァァァァァァーーーーーーーー!!!!!!!
てへっ
てへっ、じゃないよもう…
学振DC1の人が早期修了したら特別手当を貰えない
この件について補足説明をします。私が特別手当を貰えないのは、採用最終年次に特別研究員ではないからです。
採用最終年次とは、採用されたとき一意に決まるもの。任期はDC1なら三年間だから、採用された次の次の年度が最終年度になります。仮に任期が令和五年4月から始まるなら、任期最終年次はその二年後にあたる令和七年度。一年繰り上げて修了するからといって、任期最終年次までは繰り上がりません。
私の「在学」最終年度は令和六年度。「任期」最終年度の令和七年度からは民間企業の社員。令和七年度が始まったとき、特別研究員DC1の資格を有していません。だから支給されません。普段からJSPSの悪口を言っているからといって意地悪されているワケじゃないのです。
特別手当を受給するには、任期最終年度も特別研究員DC資格を持っていなければなりません。学振DC1の方なら、三年間きっちり在籍すれば一年分の手当を、半年間だけ繰り上げ修了すれば六か月間分の手当受給を見込めます。
会社に入った方がいっぱいお金を貰えるから別にいいんだけどさ、
かくして私の特別手当受給の権利は永久に失われました。焦って早期修了などしなければ良かったかもしれません。
だって月3万円ですよ?年36万円ですよ。メチャクチャ大きいよ。ハーゲンダッツアイスクリーム110 mLなら1,400個以上買えます。D2の8月になって人生で始めて手に入れた冷蔵庫なら9個買える金額。冷蔵庫が9個もあれば部屋を要塞化可能。NHKの取り立てや宗教勧誘を鉄壁のディフェンスで跳ね返せるでしょう。
まぁ、別にもうどうだって構いません。特別手当受給にこだわらずとも、来年度からは会社でいっぱいお金を貰いながら働けますし。特別研究員なら手当込みで月23万円。会社に入れば福利厚生抜きでも月30万円。冬には僅かながら賞与を貰えるかもしれません。特別研究員ならボーナスはゼロ。これはもはや月とスッポン、いえ、金魚とジンベエザメ。お金に関しては信じられないほどの格差があります。
特別研究員DCの皆さんが早期修了するなら、進路は就職だけに限りません。学振PDへの資格変更する選択肢の検討を加速しておきましょう。月給に相当する特別奨励金が月20万円から月36.2万円に跳ね上がります。一気に16万円も増えるわけです。特別手当の3万円がちょっと可愛らしく見えてきますね。学振DCから学振PDに資格を変えたとしても同じ研究室に在籍可能。純粋に月給だけが上がったボーナスステージを一年間堪能できるワケです。
最後に
研究奨励金特別手当をめぐるドタバタ劇とその解説をお届けしました。
手当を受け取られないのは痛いです。その分、会社に入ってたんまりとお金を稼いで楽な生活を送れればと思います。特別研究員時代は困窮していました。節約を意識しなかった日はなかったのではないかと思うぐらいに。いつか、お金の不安を抱えずに学べる時代が来ればいいですね。それが何世紀後になるか分かりませんが、理想的なアカデミア社会が到来するのを祈って記事を締めくくります。
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