【研究室生活】学会発表や質疑応答のコツを現役理系大学院生が解説します!

こんにちは。札幌と筑波で蓄電池材料研究を行う現役北大院生のかめ (M2)です。

研究室配属初年度からこれまでに、国内/海外合わせて計7回の学会発表を経験しました。

この記事では、私が学会発表に臨む基本スタンスについて紹介していきます。

本記事の目的は学会発表にどのような心持ちで臨めば良いか分からない方に一つの指針を授ける事でして、学会発表を前にして慄いている学生さんにRed Bullみたく翼を授けられればと思っています。

かめ

それではさっそく始めましょう!

目次

学会発表は自分の研究を知ってもらう場

まず最初に知っておいて貰いたいのは、学会とはボコボコにされる場ではないという事です。

そんな怖いものじゃなくて、自分の研究を全国-全世界の同業者に知らしめられるのが学会という場なのでございます。

研究室のゼミや卒論発表と違い、滅多打ちにされることはほとんどないし、質問をなさる方はその発表に対して悪意0%/好奇心100%でわざわざ尋ねてくれるのです。

したがって、(あぁ、ボコボコにされるの嫌だなぁ…)などと委縮する必要は一切なく、むしろ

後輩のAさん

研究分野で自分の存在をアピールする大チャンスだ!

とワクワクするぐらいが丁度良いと感じます。

学会で自身の研究を周囲に知らしめることには大きなメリットがございます。

何かというと、研究に興味を持ってくれた人と共同研究が始まる可能性があるという点ですね。

もし共同研究が実現すれば、自分の研究室にはない実験装置で更に詳細な分析ができるかもしれません。

さらに、実験系の方なら計算系と、計算系の方なら実験系の研究者とコラボすれば、何かこれまでにない革新的な発見が生み出されるかもしれないのです。

学生の場合、共同研究を目当てに学会発表をする事はあまりないと考えられます。

しかし、企業や大学教員の方は発表者が学生かどうかなど関係なしに発表内容を見ていますので、やる気のある無しに関わらず”自分の研究を広げていく機会だ”と考え発表の準備をしておくと沢山の収穫が得られるでしょう。

わが愛すべき指導教員の話によると、博士課程の学生の学会発表は就職活動も兼ねているらしいです。学会発表が上手く行けば企業からリクルートされる可能性が高まるし、質疑応答でしどろもどろになっていれば”コイツはダメな奴だ”と烙印をされることもあるみたいです。

「オレの/アタシの発表を刮目して見よ!」と言わんばかりに堂々と発表する

学会発表では胸を張り、堂々と発表するのがオススメです。

自分の研究の面白さを聴衆に伝える事を最大かつ唯一の目標として掲げ、口には出さないまでも

  • この研究はこんなに凄いんだぞ!
  • オレの発表をしっかり見とけよ!

と言わんばかりに自信MAXでプレゼンすると成功します。

堂々と講演を行うにはたくさん実験して自信のあるデータを集めなくてはいけませんし、面白さを分かってもらうためには専門分野を根本から理解しておく必要があります。

もし発表者が(この研究は先生に言われるがままやっただけなんだよなぁ…)と思っていればそんな気持ちは必ず聴衆に伝染するため、最悪、根拠のない自信でも構いませんから、せめて発表の時だけでも堂々と振舞えば後々後悔しないと思います。

あまりに講演でやらかしてしまうと、発表者本人だけではなく指導教員に対する信頼まで失墜してしまいかねません。

お偉いさん

なんだアイツは!アイツを誰が教えているんだ?

などと怖い人が怒り出し、狭い研究者コミュニティー内ですぐ悪い噂を広められてしまうのです。

発表者当人が信頼を失えば、将来研究者の世界で食っていく事はおそらく大変困難になるでしょう。

また、指導教員が信頼を失えば、先生との共同研究を行っていた企業が手を退いてしまう可能性だって決してなくはありません。

このように、学会発表は研究成果を周知するチャンスでもあり、かつ自身の今後に響くピンチにもなりうるのです。

したがって、学会に出る際は何週間も前から周到に用意しておくのをオススメします。

質疑応答はアドバイスをもらえるボーナスタイム

私が過去に参加した学会はほぼ全てがオンラインでの発表だったため、原稿をガッツリ読みながら講演できる口頭でのプレゼンテーションは特に困難さを感じませんでした。

一方で、発表後の数分間にわたる質疑応答の時間がものすごく嫌だと思っていました。

想定外の質問をされたら頭がフリーズして働かなくなってしまっていたし、そもそも私自身、超口下手な気質なので、(質疑応答なんて上手く行くわけがない)と考えていました。

言葉のキャッチボールはさほど苦手ではありませんが、ある種の瞬発力が求められるディスカッションは昔からどうしても得意になれないでいたのです。

B4の卒論発表では超初歩的な質問に答えられず、1か月後に迫った全国大会を前にして困り果ててしまい、にっちもさっちもいかなくなって、質疑応答の攻略法について私の指導教員に相談してみることに決めました。

すると、わが愛すべき指導教員は

指導教員

かめちゃん、質疑応答はむしろチャンスなんだよ

と教えてくれたのでした。

「”チャンス”ってどういうことですか?」と聞いてみると、「自分が考えたことがなかった視点からコメントをもらえる大チャンスなんだよ」とわが愛すべき指導教員は答えてくれました。

研究室メンバーとゼミをすると、いつも似通った視点からしかアドバイスをもらうことができません。

しかし、学会では色々なバックグラウンドを持つ人が発表を聞いていますから、そこで頂ける質問は

  • 自分の研究に対する理解度を確認できたり
  • 新しい研究の種を見つけたり

こうした事が出来る最高のチャンスなのだと優しく教えてもらったのです。

なるほど、私は今まで質疑応答=罰ゲームぐらいにしか考えたことがありませんでした。

しかし、逆転の発想をしてみると、むしろ(”これを活かさなくてどうするんだ”というほどの絶好機じゃないか!)と思えてきました。

質疑応答はボーナスタイム。短時間で多様な視座を獲得できるまたとない時間なのです。

さすがに質疑応答が10分も15分も続いちゃったら神経がやられてしまうはずですが、先生のアドバイスを聞いた今となっては、大半の学会で設けられている2~3分の質問時間はむしろ短いのではないかとすら感じられた次第です。

先生はまた、「質疑応答は慣れが大事だ」とも仰っていました。

最初は頭が思考停止してしまっても場数を踏めば必ず言葉が出てくるようになると教えてくれたので、いくら初めての学会発表でしどろもどろになろうと、その次の学会では必ず今回より上手く返答できると先生は力強く断言しました。

かめ

安心してください、最初から完璧にディスカッションできる人なんて、ほんのごく僅かですから。私の経験上、最初が滅茶苦茶な方が伸びしろが大きいですし、学会発表のたび自身の成長を実感できるので少しずつ楽しくなってきますよ^^

自分以外の発表を見て、プレゼンスキルや研究の着眼点を学ぶ

自分の発表が終わっても、学会は終わりではありません。

せっかく高い参加費を支払うのだから、他人の発表を見て勉強するのがオススメです。

企業の方の洗練されたプレゼンを見れば、スライドデザインや立ち振る舞いなど、自分がマネできるスキルを見出せるかもしれません。

また、同学年の他大学の学生講演を聞けば、(同い年でもこんなすごいことやっている奴がいるのか…)と大きな刺激を得られること間違いなしでございます。

研究室の中で頑張っていると、いつの間にか井の中の蛙になりがちです。

その点、他の人の発表を聞くことにより、(自分はなんと至らない人間なのだろうか…)と謙虚さを取り戻すことができるのです。

もし忙しくて発表を見る時間がない時は、興味を持った題目のアブストラクト(概要)だけでもネット上でダウンロードし、後でいつでも見られるようアーカイブ保存しておくと良いでしょう。

アブストにはその研究の意義がざっくりと紹介されているので発表を聴かずともおおよその内容を想像できるし、アブストのページデザインや研究の着眼点、実験手法も非常に参考になるのです。

聞いていてワクワクしたプレゼンは、後にそのアブストを見るだけでも気分が高まってくるものです。

学会を最初から最後までたっぷりしゃぶり尽くし、ようやく一つの学会発表を終えるのであります。

最後に

初めて学会に参加する人向けの発表の基本スタンスに関する解説はコレで以上となります。

私は何も「こういう風にすべきだ!」などと申し上げるつもりは微塵もありませんし、発表当日はみなさんが”こうしたい”とお思いになるその通りにぜひぜひ行動なさって下さい。

この記事が(あぁ、学会嫌だなぁ…)と落ち込んでいた方を少しでもポジティブにできたなら幸いです。

この記事を書いた目的は前述の通り、学会発表にどういう心持ちで臨めばよいか分からない方に一つの指針を授ける事なので、その目的が達成されていると願ってこの記事を締めくくろうと思います。

以上です。

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