「博士課程、行きたいけど怖い」修了した先輩が贈る、不安を勇気に変えるメッセージ

博士課程への進学を検討しているあなた。そして、その門をくぐろうとしているあなた。 両者の胸に渦巻く感情は「恐れ」ではないでしょうか。博士課程は、地図もコンパスもない、先人たちが残した先行研究のか細い獣道だけが頼りの魔境。そこへ単身で足を踏み入れるのですから、怖いと感じるのも無理はありません。

私自身、進学を決める前はプレッシャーで夜も眠れず、鳥肌が立つほどの恐怖に支配されていました。「博士課程なんて進んだら、私の人生はどうなってしまうんだろう?」と、最悪のシナリオばかりが頭をよぎったものです。

博士課程を修了した今、当時を振り返って思います。「まぁ、どうにかなったな」と。

もちろん、辛い経験は山ほどありました。実験データが何度やっても再現できず頭を抱えた日。指導教員からの厳しい指摘に心が折れそうになった日。すべてを投げ出したくなった夜も数え切れません。それでも、最後まで走り切ることができました。そして、ちゃんと会社への就職も決まったのです。

もし今の私が、不安に震えていた二年前の自分に声をかけるなら、迷わずこう伝えます。 「大丈夫。その恐怖は本物だけど、君の可能性も本物だ。心配しなくていいよ」
一歩踏み出す勇気さえあれば、あとは不思議と道が開けていくものです。

この記事が、博士課程への一歩をためらうあなたに勇気を与えられれば幸いです。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

辛いけれども、頑張れば乗り越えられる

当サイトで再三申し上げていますが、正直に言って、博士課程は楽園ではありません。自分の力ではどうにもならない理不尽の嵐が、情け容赦なく吹き荒れる場所です。

修士課程までとは全くの別世界。進学した途端、自分を取り巻く空気が一変するのを肌で感じるでしょう。研究は純粋な知的好奇心を満たす娯楽から、成果を問われる仕事へ。単なるプレイヤーから、後輩の指導やプロジェクト管理まで担うプレーイングマネージャーへ。自身の役割が急に変わることに戸惑うかもしれません。

確かに、博士課程は辛い。誰もが口を揃えて言うように、平坦な道ではありません。3年で修了できる保証はなく、4年、5年…ときにはそれ以上かかる人もいます。しかし、忘れないでください。どんなに長く暗いトンネルにも必ず出口はあります。博士課程も同じ。博士論文と学位審査会を乗り越えられれば終わるのです。

このように記せば

学生にゃん

”それが大変や”って言うとるんじゃ
食うたろか、おのれ!にゃー!!

はい、お察しします。論文執筆や審査が本当に大変なのは、百も承知です。ですからどうか、その振り上げた猫の手はご容赦ください。

博士課程が辛いのは自明の理。辛い時、その感情にどっぷり浸かっていては、底なし沼にはまるだけ。視線を向けるべきは、目の前の辛さではなく、遥か先に見える『ゴール』。ただひたすらに、修了要件だけを考えておいてください。

「あと論文を〇本…!」
「博士論文の第〇章を仕上げれば…!」
意識を、ゴールから逆算した『数値』に集中させましょう。脇目も振らず、感傷に浸る暇もないほど、作業に没頭する。没入こそが一種の防衛本能。辛さを麻痺させる最高の処方箋。

博士課程の辛さには終わりがあります。終わりがある苦しみは、必ず乗り越えられます。大丈夫、あなたならできる。不思議なもので、追い込まれれば追い込まれるほど、人は驚くべき力を発揮するものですから。

将来の心配は無用。なるようになる

博士課程への進学をためらわせる最大の要因は、霧がかった『将来のキャリア』ではないでしょうか。

在学中はまだ良いかもしれません。学振やフェローシップのおかげで、経済的な不安は少ないでしょう。問題は、修了後です。「学位を取った後、本当に就職先はあるの?」「アカデミアに残るなんて夢のまた夢では?」「ポスドクになったとして、任期が切れたらどうなるの?」未来の不確かさが、恐怖を増幅させます。

博士課程を修了した先輩として申し上げます。将来の心配は、一旦脇に置いておきましょう。少なくとも理工系の博士であれば、研究に打ち込み、世界と戦った実績さえあれば、道に迷うことはありません

近年、多くの業界で高度専門人材の獲得競争が激化し、博士人材はまさに引く手あまた。AI、製薬、材料科学など、名だたる大企業があなたの専門知識と問題解決能力を高く評価し、好待遇で迎え入れています。理工系博士の就職活動は、皆さんの想像以上に選択肢が広い。就職活動も思いのほかスムーズに進むでしょう。私自身、活動開始からわずか1ヶ月で内定を手にしました。大学に残りたい場合も、任期付きであれば助教ポストが見つかる可能性は十分にあります。

もちろん、誰もが思い描いたキャリアを歩めるわけではありません。運、研究への適性、あるいは単純に研究が嫌いになった、などの理由で研究職から離れる人もいます。何を隠そう、この私も当初は研究職を志していました。様々なアクシデントが重なり研究への道を断念したものです。

それでも、何かしらの職には就けます。大学や研究所がダメでも、民間企業という広大なフィールドがあなたを待っているのです。コンサルタント、データサイエンティスト、エンジニア。企業が嫌なら起業でも構いません。博士課程では『複雑な問題を分解し、本質を見抜き、粘り強く答えを出す力』を培える。この超高度な力さえあれば、どんな分野に行っても道を切り拓いて行けるでしょう。

博士修了後の進路はなるようになる。無責任なようですが、コレが真実です。研究活動に邁進する中で、あなたに最もふさわしい道が自ずと拓けてきます。「なるようになるさ」と、少しだけ楽観的になってみてください。人生は、意外と上手くいくようにできています。

行きたい? 気になる? それが答えでしょ

辛さは乗り越えられると分かった。将来も、なるようになると思えば怖くない。 でも、なぜだか最後の一歩を踏み出せない。博士課程へ「行きたい」はず。正体不明の恐怖が全身を縛りつけ、足をすくませてしまう…

その気持ち、痛いほど分かります。心が二つに引き裂かれるような苦しい感覚ですよね。あなたの感性は「行きたい!挑戦したい!」と熱く叫んでいる。冷静な理性が「本当に大丈夫か?もっと安全な道があるだろう」と冷ややかにブレーキをかける。もう、自分がどうしたいのかさえ、分からなくなってしまいます。

感性と理性の綱引きは、人生のあらゆる場面で起こるもの。留学、就職、結婚、あるいはネットショッピング。些細なことでも綱引きを繰り広げて意志力を消耗させるのです。

そんな時、私はどうしてきたか。実はマイルールがあるのです。「感性の声に従う」。それだけです。 たとえどれだけ不合理で、リスキーで、茨の道に見えたとしても、心の叫ぶ方向に突き進む。合理的な選択をすれば、頭(理性)は満足するでしょう。しかし、肝心の『心』が満たされなければ、その選択は「もしあの時、挑戦していたら」という色のない後悔に変わります。長い人生の旅路で、心の満たされない合理的な選択が、果たして本当の幸福をもたらしてくれるでしょうか? 私には、どうしてもそうは思えません。

あなたの理性が「博士課程なんてやめておけ!」と警告し、感性が「それでも行きたい!」と訴えているのなら、答えはもう出ています。行くべきですよ。

行動した末の後悔は成長の糧になります。何もしなかった後悔は、心の奥へ澱のように溜まり続け、あなたを蝕んでいくだけです。挑戦の末に刻まれた傷は、いつか必ず輝く勲章になります。挑戦から得られる経験は、成功であれ失敗であれ、あなたの人生を間違いなく豊かにしてくれるでしょう。これはもう、勇気よりも「勢い」の問題かもしれませんね。まずは一番身近な先生やご両親に、こう宣言してみてください。「私、博士課程に行きます」と。 言葉にした瞬間、あなたの覚悟が決まり、未来が力強く動き出しますよ。

最後に

博士課程への進学に、あと一押しの勇気が欲しいあなたへ、メッセージをお届けしました。

辛さも、将来への不安も、過度に心配する必要はありません。辛さはマインドセット次第で乗りこなせます。将来は、あなたが研究で積み上げた実績に応じて自ずと形作られていくもの。

博士課程で得られるのは専門知識だけではありません。どんな困難にも立ち向かえる、しなやかで強靭な精神力です。

行くか、行かないか。迷ったのなら、行ってください。あなたの心の声に、耳を澄ませてください。感性のコンパスが指し示す方角へ、勢いよく飛び込んでみてください。白紙だった未来の地図に、あなただけの色で、後悔のない航路を描いてください。

かめ

もし進路でお困りでしたら、コメント欄やお問い合わせフォームからご連絡ください。いつでも相談に乗ります

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