浪人生活・秋
9月:京大オープンA判定(冊子掲載)。緊張の糸が切れる

京大模試を受けた翌月、テストの成績が返ってきた。結果は農学部A判定。おまけに成績優秀者として冊子掲載のおまけ付きだ。
さすがに嬉しかったので、結構大きめに喜んだ。前年度のA判定者としてこっそり冊子掲載を狙っていたものの、まさか本当に載せてもらえるとは思っていなかった。第二回・全統マークの結果と合算すると、昨年度の農学部の合格最低点を余裕で上回っている。模試と本試の単純な比較はできないが、去年越えられなかった壁を越えられたような気がして、達成感を味わえた。
ここで喜び過ぎたのがよくなかった。緊張の糸が切れてしまったのだ。心の中の微妙なバランスは緊張感がどうにか保ってくれていたのに、わざわざ自分で乱してしまい、平衡感覚を失った。
問題演習に集中しようにもまるで手につかない。じゃあ復習ならどうかと思っても、復習すらままならない。そもそも長時間椅子に座っているのですら辛かった。夏休み中の集中力は喜びとともにどこかへ消え去り、抜け殻のような無気力状態の自分が残された。おそらく燃え尽きたのだろう。
冊子に自分の名前が載った瞬間、脳が勝手にエンディングロールを流し始めた。本番はまだ半年先だというのに。京大に合格したわけでもないのに、勝手に力尽きてしまった。たかが一度の模試で冊子掲載されたぐらいで、もう何かを成し遂げた気になって、戦うのをやめてしまった。大バカ者だ。
これから京大へ合格するには、今の燃え尽きた状態からもう一度力を奮い立たせなければならない。だが、果たしてそんなことが可能なのか。おそらく無理だと思った。学力的には京大合格を狙える位置にはいるけれども、受験は学力だけで決まるものではない。気力や運気など様々な要素が複雑に絡み合って結果が定まる。総合格闘技とも呼ぶべき大学受験の頂に挑む力が、もう残っていなかった。
このまま京大を目指して走っていても、二次試験の受験にたどり着けるかどうか怪しくなってきた。そのため、次善の策として北大総合理系合格を目標に掲げ、再出発を果たした。
10月:北大オープンA判定(冊子掲載)。京大への進路変更を模索するも断念

京大を目指していた時は、どれだけ勉強してもまた跳ね返されるかもしれない恐怖が常にあり、重圧が心に負担をかけ続けた結果、メンタルをやられてしまったのだろう。それが、志望校を北大に変えた途端、一気に楽になった。
過去問や偏差値を見た感じ、北大は努力すれば合格できる安全圏だと見ていた。来春から大学生になれる可能性が高まり、心のこわばりが取れたのだと思う。
初旬(月末だったかもしれない)、北大オープン模試を受けた。これまで京大の問題を解いてきたので北大形式の問題は拍子抜けするほど簡単で、重い荷物を下ろした直後のように手がサクサク動いた。翌月には模試の成績が返却され、A判定&総合理系5位で、こちらでも成績優秀者として冊子掲載を果たした。
一瞬、やっぱ京大に行こうかな… と心が揺れた。北大の問題があまりに簡単すぎて、目標設定を誤ったかなとモヤモヤし始めたのだ。
しかし、ここで京大へ再度進路変更しようにも、京大形式の問題を解くエネルギーが微塵も残っていなかった。気力の減退が進路変更の壁として立ちはだかり、(京大は無理だ、北大にしよう)と諦めがついた。頭は京大を受けたがっていたが、心と身体が付いてきてくれなかった。
11月:全統模試北大A判定。勉強のやる気が一時的に消滅

第3回・全統模試では、マーク&記述ともに第2回とほぼ同じ成績だった。マーク模試の総合点は第2回とまったく同じ793/900で、記述試験も数学で偏差値90台を取った以外は、特に目立った成果はなかった。平たく言えば、伸び悩んだわけだ。いや、伸び切った、と言ったほうが正確かもしれない。
勉強の取り組み方を変えれば、もっと学力を高められる余地はあったと思う。まだまだ上には上がいるし、取り組むべきタスクも山ほどあった。しかし、それが北大合格に必要な努力かと問われれば、おそらくそこまでやる必要はなさそうだった。
やる気を出すため、北大に主席合格するぞと目標を打ち立ててみた。トップクラスの連中にタイマンを張るつもりで頑張るのをモチベーションにしたのだ。やる気が出たのはほんの一瞬で、すぐ無気力状態に逆戻り。心の中にいる弱い自分が「合格さえできれば、それでえぇやん^ ^」と悪魔の囁きをしてきたのだ。
前期までのメンタルなら即座に耳をふさげたはずだ。怠けている場合じゃない、限界までやり切らないとと歯を食いしばって耐えられたはずだ。しかし、後期に入り、浪人生活特有のプレッシャーが重くのしかかってきていた。(もう後がない、落ちたらお仕舞いだ)と感じ続けていた。ただひとつの希望の光として『北大合格』が明るく灯っていて、あまり大した努力をしなくても、そこにたどり着けそうな未来が見える。弱り切った自分をもう一度奮い立たせるだなんて、無理な話だったのだ。
コメント