北大博士課程を一年短縮修了した技術開発エンジニアかめです。
ミソフォニア学生にとって、学校生活は苦難の連続でしょう。教室で授業を受けるだけでも難儀。他の学生が発する音で心臓が締めつけられる思いをします。一番辛いのはテスト中。トリガー音のせいで問題へ意識を傾けられません。学校の定期試験。塾で受ける模擬試験。共通テストや国公立大の二次試験。関門は幾重にも立ちふさがってきます。
私はミソフォニア(音嫌悪症)です。高二から症状が気になり始めました。トリガー音は「洟をすする音」。二度に及ぶ大学受験では、ミソフォニアへ大いに苦しめられました。周囲は私に配慮などしてくれない。何も気にせず洟をすすってきます。
ミソフォニアの影響で模試の途中に回答不能に陥ったことも。同じことが大学入試の本番で起きたらどうしようかと気が気でなかったです。ミソフォニアで苦しんでいた私。一浪のすえ、北大総合理系に次席合格できました。試験本番で力を発揮する方法を開発したのです。さすがに健常者と同等の集中状態は作れません。しかし、ミソフォニアでない人と対等に戦えるぐらいのコンディションは作れました。
この記事では、ミソフォニアの学生が大学受験本番で力を発揮する方法を解説します。「試験本番、大丈夫かな…」「力を出せるかな…」と不安なミソフォニア学生にピッタリな内容です。ぜひ最後までご覧ください。
かめそれでは早速始めましょう!
試験開始直前までヘッドホンで癒し系の音楽を聴く


ミソフォニア患者は、トリガー音で脳に多大なるダメージを受けます。脳が音を雑音として適切に処理できず、エラーを起こし、疲弊してしまうのです。疲れたままのアタマでは試験問題を満足に回答できません。思考回路の円滑さを欠く。いたるところに盲点が生じる。なかなか回答方針を見出せず、焦ってシャーペンが手につかなくなる。負の連鎖は延々と続きます。試験前の事前対策が必要です。
私が模試で安定して結果を残せるようになったのは、試験前に音楽を聴くようになってから。試験が始まる直前までモーツァルトのヴァイオリン協奏曲を聴くようにしたのです。
ヴァイオリンの音色は、脳のこわばりをやさしく解きほぐしてくれます。目を瞑り、協奏曲に身をゆだねる。胸の内の荒波が静まる。どこまでもリラックスした状態を作れるでしょう。試験開始の合図を安らかに迎えられます。多少のトリガー音では動じない、深くてしなやかな集中状態になるのです。
試験前に聴いて心が落ち着く、お気に入りの音楽を探してみるのも良いでしょう。 試験直前まで音楽を聴くようにして試験に臨めば、結果は良い方向に転がるかもしれません。
音に反応しない意識を保つ


ミソフォニアは音への「反応」で引き起こされます。脳が音へ無意識に反応してバグを起こす。肉体へ異常な反応が伝達され、胸が苦しくなったり感情が荒ぶったりしてしまう。
逆に考えてみましょう。音に反応しなくなればどうでしょうか。音を素通りできるようになったら? ミソフォニア症状は引き起こされなくなるでしょう。普通の音を聴くのと同じ感覚てトリガー音を耳に入れられるようになるはず。音が聞こえても、意識を向けない状態を保つ。無視しようともしない。”ただ通り過ぎゆくもの”として捉える感覚に近いでしょう。
「音を気にするな」と言われても気になってしまいますよね。気にするなと言われれば言われるほどますます気になっちゃう。分かります。私だってミソフォニアで苦しんでいましたから。気にしないでいられたらどれだけ楽か。気にするなと言ってくる、親をはじめとした健常者のことをどれほど憎らしく思ったか分かりません。
完全に気にしないでいるのは難しいでしょう。ならば、音に反応しない『意識』を保ってください。反応しようとしないよう心掛ける。結果的に反応しても構わない。いいけれども、あくまで反応しないよう注意だけはしておく。反応しない意識を持っておくだけで症状の苦しみは4~5割減るでしょう。私自身、「大丈夫、反応しなくていい」と自分へ繰り返し語りかけるうちに、試験への不安が少しずつ和らいでいきました。
「下振れ」を考慮する


試験本番、自席の回りにどのような学生が座るかは分かりません。何の音も発さないお地蔵さまのような人かもしれません。数秒ごとに洟をすする音を響かせる、集中の妨げとなる相手かも。ミソフォニア学生の得点力は、周囲の音環境で大きく左右されます。音の影響を受けて20~30%も点数が変わる世界です。
ミソフォニア学生にとって、試験環境にプラスに働く音はほとんど存在しません。影響を与えるのは、集中を妨げる音ばかりです。悪い音の発生頻度が高ければ高いほどスコアが下がっていく。あまりに音環境が酷いときは、得点力が下振れ、目を覆いたくなる点数になる。
ミソフォニア学生は、試験本番で下振れするリスクを背負っています。下振れしても通るにはどうすればいいかを考えておく必要があるでしょう。
下振れしても合格する方法はふたつあります。
- 圧倒的学力を養う
- 志望校のレベルを少し落とす
仮に「70」の力があれば受かるとしましょう。健常者ならば、75の力を備えて受けに行ったらまず通ります。ミソフォニア学生は、75だと落ちるかもしれません。下振れすれば50や60ほどしか力を発揮できないケースがあるからです。ミソフォニアならば、70必要な試験へ100の学力を携えて臨みたい所。本番で下振れしても70は超えます。どれだけコンディションが悪くても合格できるだけの学力を養うのが肝心です。
そうは言っても、学力の向上は難しい。学力はそう簡単には上がらないものです。学力の伸びが止まってきたときは、志望校のレベルダウンを検討しましょう。いまの力でも通る大学を探す。下振れしても通るレベルの大学を受験する。学力80なら、レベル60程度の大学が安全圏。志望校を落とすのは悔しいでしょう。行きたい大学へ行けるよう、まずは学力向上を目指してください。
別室受験を申請する


ミソフォニア学生は別室受験できるケースがあるようです。受験生のひしめく教室ではなく、自分一人しか居ない静かな部屋で。試験開始と同時に試験監督は部屋を立ち去ります。トリガー音に怯える必要はない。純粋に学力勝負を演じられる。健常者と同じ土俵で戦えます。最高ですね。音のハンデから解き放たれれば負ける気がしません。
どうしても音に悩まされたくない方は別室受験の検討を加速してください。別室で受けるには事前申請が欠かせません。いつまでに申請すればいいか。そもそも別室受験が可能かどうか。ネットで詳しく調べてみましょう。
私自身は別室受験を経験していません。近年では「受験上の配慮」として申請が認められるケースがあるようです。医師の診断書や申請期限など、各試験機関の公式情報を早めに確認するのをオススメします。
最後に
ミソフォニアとして大学受験を乗り越えるのは決して簡単ではありません。私は自身の経験を通して、その辛さも、どうすれば軽減できるのかも身をもって学びました。
受験において最大の武器は、自己を知り、対策を講じること。試験直前まで音楽で脳をリラックスさせる。トリガー音に「反応しない」意識を保つ。そして、自分の学力が「下振れ」する可能性をあらかじめ考え、対処法を準備しておくこと。別室受験制度を利用するのも道を拓く一手になるかもしれません。
ミソフォニアと闘う受験生にとって、試験は単なる学力勝負を超えた「自分との戦い」。だからこそ、自分の弱さも、強さも、しっかりと把握しましょう。自分を知り、工夫と準備を重ねれば、困難は確実に乗り越えられます。
この記事が、同じ悩みを持つあなたの背中をそっと押す存在となることを願っています。



















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