B4で配属された研究室の指導教員は京大で博士号を取得した方で、京大時代に受けた完全放任の指導をそのまま私にも適用しました。研究について何も知らないB4の頃から放し飼いでした。
最初の論文を出すまでは特に苦しかったですが、放任に慣れてからは自分のペースで研究を回せるようになり、B4からD2の間に筆頭論文を7報書けました。
この記事では、京大流・完全放任指導を5年間受けたらどうなったか記します。ぜひ最後までご覧ください。
かめそれでは早速始めましょう!
仕事に対する当事者意識が高まった


まず放任型指導の前提を整理しましょう。教員の指導方法は管理型と放任型に大別できます。
管理型では先生が学生のやることを決め、学生は言われるがまま手を動かす。いわば囲い飼いですね。放任型では研究の舵取りを学生自身が考えて決めていくので、放し飼いです。
管理型だと研究の主体は教員側にあるので、学生は指示を処理する研究マシーンになりがちに。研究で困難に直面しても「自分が乗り越えてやろう」とは思いにくいのではないでしょうか。
放任型は逆で、研究の進み具合が自分の頑張りにかかっているため、当事者意識が否応なしに強まります。何をどう進めるかを自分で決め続けるため、当事者意識が育っていくんですよね。研究室のゲージに囲まれている点は管理型同じですが、放任型の元では、ゲージの中で誰にも管理されません。
当事者意識は、研究以外の場面でも役立っています。自分の人生の方向性を主体的に決められるようになりましたし、成功しても失敗しても全責任を自分で背負う覚悟で意思決定するようになりました。主体性が根づいたおかげで生活の質も高まり、いまの仕事にも好影響が出ていますね。
驚くほど頭が良くなった


放任型指導を受ける学生は、どんな課題も自分の頭で考えて解決する必要があります。周囲の学生や研究員から助言をもらえる場面はあっても、先生からのアドバイスは期待薄でしょう。なんせ、放任ですからね。自力で動く前提なんですよ。
私が指導教員に助けてもらったのは、D1後期に投稿論文が4回連続でリジェクトされたときぐらいで、さすがにあれは自力での打開が難しく、先生に相談させてもらいました。5年間で先生を頼ったのは、その一度ぐらいではないでしょうか。
B4からM2の間は生成AI登場前だったので、自分の脳みそをフル稼働させ、徹底的に考えました。行き詰まったらネットや専門書で調べ、それでもダメなら時間を置いて、次の日にまた向き合った。学生時代はずっとこんな調子で、頭を休めている時間のほうが短かった気がしますね。
5年間自分の頭で考え続けた結果、思考の深さも速さも桁違いに進化しました。頭が良くなると見える世界が変わるんですよ。自分が今までどれほど無知だったかに気づくようになり、学ぶことへの謙虚さが生まれました。人間、一生勉強です。
後輩の指導方法が分からない


放任型指導は、学生の研究と距離を置き、遠くからじ~っと温かいまなざしで見守るのが基本スタンス。私の研究室生活を振り返っても、指導教員が研究について干渉してきたことは一度もありません。放し飼いとはいうものの、首輪すらついていませんでしたね笑。
放任型指導を受けると、後輩にも放任型で接するようになります。なんせ、自分にとってのデフォルト指導が放任ですから。とやかく言われながら管理されるのは自分も嫌でしたし、放任は性に合っていました。だから後輩にも同じスタイルで接しがちになるんですよね。「指導って何だっけ? 自分で考えればよくないか?」と本気で思ってしまいます。
ただ、誰かと一緒に考えたいタイプや、方向性を示してほしいタイプの後輩相手だと、対応方法を変えなければなりません。放任型指導だと後輩が困ってしまいます。
我々放任プレイヤーは管理型指導を受けた経験がゼロなので、他人をどうマネジメントすればいいのか分かりません。京大生のように自走できる人なら放任で大丈夫ですが、後輩のタイプは多様ですよね。放任型一辺倒では難しい。
管理型指導で育った先輩なら自然にできることが、我々放任プレイヤーにはゼロからの手探りになるんですよ。指導する側になったとき、使える引き出しの少なさに愕然とすることでしょう。
放任型指導以外の指導も受けておけばよかった
京大流・完全放任指導を5年間受けた結末をまとめました。
放任型指導は当事者意識を高め、思考力を鍛えてくれました。自分の頭で考えて動く習慣が根づいたおかげで、研究に限らず人生全般で恩恵を受けています。放任で得た自走力は一生ものの財産でしょう。
その反面、放任を苦手とする人のマネジメントには苦労させられました。放任型指導はあくまで見守りですから、自分が指導者になったとき使える引き出しが限られるんですよね。管理型の要素を含んだ指導も受けておけばよかったなと、今になって思っています。




















コメント