北大博士課程を一年短縮修了した技術開発エンジニアかめです。
「大学全入時代」と呼ばれて久しい昨今。国立大学理系学部を中心に修士課程への進学率も高まってきつつあります。旧帝大のなかには学生の9割以上が修士進学する専攻も。私の所属学科では8.5割ほどの学生が修士まで行きました。
わざわざ修士課程まで行く意味はあるのでしょうか?企業はどこも人手不足であえいでいる。学部卒でも就職には困らないのに、あと二年間も大学へ残る理由は何なのでしょうか。
この記事では、大学全入時代に修士課程へ進学する意義を解説します。修士進学をお迷い中の学部生さんにピッタリな内容です。ぜひ最後までご覧ください。
かめそれでは早速始めましょう!
バランスの良い人材になれる


戦前は”大卒”というだけで崇め奉られました。学生服をまとって街を歩けば「あっ!あの人、学生さんや~^ ^」と老人界隈が大盛り上がり。それが今ではどうでしょうか。大学生の数が増えすぎて大卒であることの希少価値が薄れてしまいました。大卒でも何ら珍しくありません。大学進学率が六割に達しようとしている現状、大卒でない若者の方が多く、物珍しさが一層薄れてしまったのです。
理系では修士進学者も決して珍しくありません。国立大なら7割以上が、私立大でも5割近い学生が修士課程へ進むようです。老人界隈が修士学生を見ても「修士さまや~」と盛り上がってくれないでしょう。盛り上がりを見せるのは博士学生から。博士に関しては記事を執筆した2025年現在でも圧倒的少数派のまま。
自身の専門性を強化したければ博士課程まで行くのが一番。修士までだと研究へ打ち込むヒマがありません。B4で研究室に配属されても、一年研究したらすぐに就活して企業面接対策へ奔走することに。日本の教育体系において研究へ没頭したければD進一択。博士号まで取ってようやく専門性をアピールできる段階に達するのです。
若いうちから働きたければ学部卒で大学を出た方が良い。希少価値を高めたければ博士まで行くしかない。そんななか、とりあえず修士課程まで進んでおけば、自身の能力をバランスよく鍛えられるでしょう。
修士人材の強みはバランス。学部卒よりも一応は長く研究しています。プレゼン能力や文書作成スキルはひと通り身についているでしょう。また、修士学生は研究室内外でいくつかの試練に揉まれてきたはず。困難を乗り越える過程でタフさが養われています。さらに、博士学生ほどは年齢を重ねていません。新入社員として自社のカラーに染めやすく、会社内の環境へ容易に馴染んでいけるでしょう。
学部卒以上、博士了未満の修士人材。中途半端に見えるかもしれませんが、社会を支えるゼネラリストとして大変重宝される人材なのです。
博士課程進学のチャンスをうかがえる


修士課程まで進学した方のなかには「博士課程まで行っちゃおうかな~♪」と野心をお抱きになる方が居られるでしょう。割合はさほど多くはありません。どれだけ居ても修士学生の一割程度です。
修士課程だけではなんだか物足らない。もっと研究する時間が長く欲しい。自分の限界を見てみたい。海外留学して世界を眺めてみたい。チャレンジング精神旺盛で怖いもの知らずな方が博士課程の門を叩きます。皆さん、ぜひ博士課程へ行ってみてください。人生史上最大の辛さが待っていることをお約束します。
さて、そんな夢の国な博士課程。ここへ行くにはひとつ前提条件があります。プライオリティーパスじゃないですよ。ファストパスでも一日入場権でもない。夢はお金で買えるでしょう。博士号はお金では買えません。
博士課程へ行くには修士号が必要です。修士号をゲットして初めて博士課程への挑戦権を得られます。
博士号を持つメリットのひとつは、会社内で昇進しやすくなること。学士・修士人材よりも2倍速で等級を駆け上がっていけるでしょう。そもそも入社時点から月給が高く設定されていますね。スタートでもう既に他の学位人材から大きくリードを取っているのです。また、大企業の部長職へ就くには博士号が必要と社内規定へ明記されている所もあるそう。学位のせいで昇進レベルの天井へぶち当たる方まで居るわけです。
博士人材を見た学士・修士人材の方は「オレも博士が欲しい…」とお感じになるかもしれません。隣でいっぱい給与をもらってほくそ笑む博士社員を見たら羨ましく感じるかも。
皆さんが博士号を取りたくなったとしましょう。博士号を取るには博士課程へ進む必要が。肝心の博士課程には修士号がなければ入れません。修士号は博士課程への入場チケット。修士号があってようやくチャレンジを始められるのです。
今後、日本は出生者数が減っていきます。人口の急速な減少に伴い、修士課程進学率は増加の一途をたどるでしょう。会社内はどこもかしこも修士人材でいっぱいになるかも。そんなときに我々を後押ししてくれる存在の一つが「学位」ではないでしょうか。修士号よりもひとつ上の「博士号」があれば、就職や昇進レースにおける競争力を高められるに違いありません。それは我々の人生の生存確率を高めることにも繋がります。
学部卒のまま会社に入った場合、博士号が欲しければ、まず修士課程をクリアしなければなりません。修士を乗り越えてようやく博士。果たして修了まで気力は続くでしょうか。おそらく途中でしんどくなって”ギブアップ”という結末に至るでしょう。修士号を取ってから会社に入れば、博士課程へのチャレンジは容易です。超えるべきハードルは「博士課程」ひとつだけですから。
先に苦労するか・後に苦労するかの違い。皆さんの生き方によって選ぶ道は変わってきます。
最後に
現代の日本では大学全入時代が続いています。国立大学理系学部では修士課程への進学率も高まっているようです。実際、私の所属元学科でも大半の学生が修士課程へ進学しました。
大卒の希少価値は薄れました。大学進学率が六割に達する現在、大卒であることは珍しくないのです。理系では修士進学者も一般的になりつつあります。国立大では7割以上が、私立大でも5割近い学生が修士課程へ進学するとのこと。
専門性を高めたいなら博士課程が最適。学部卒業後すぐに就職すれば若さが強みになるでしょう。修士課程へ進むことで、両者の良さを兼ね備えた価値が生まれます。修士人材の強みは「バランスの良さ」にあるのです。学部卒より研究経験が豊富で、プレゼン能力や文書作成スキルも身についています。研究室での様々な試練を乗り越え、精神的なタフさも養われています。博士課程ほど年齢を重ねていないため、企業文化に馴染みやすい利点もありますね。
修士号は博士課程へ進むための必須条件でもあります。将来、博士号取得を目指すなら、修士課程を経ていることで挑戦のハードルが下がるでしょう。博士号は企業内での昇進にも有利に働き、給与も高く設定される傾向があります。人口減少に伴い修士課程進学率は今後も上昇するでしょう。学位は競争力を高め、キャリアにおける優位性を確保する武器となります。
この記事を参考に、皆さんが納得のいく進路選択ができるようお祈り申し上げます。



















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