【採択率18%】学振DC1の内定を掴むために研究室配属初年度からやった3つのこと

こんにちは。札幌と筑波で蓄電池材料研究を行う現役工学系大学院生のかめ (M2)です。

2022年9月に学振DC1に無事内定が決まり、来年度から始まる博士課程生活に付きまとうであろう金銭的問題が全て払拭されました。

この記事では、私が学振DC1の内定を手繰り寄せるべく研究室配属初年度 (B4)からやっていた3つのことについて解説します。

  • 学振DCの内定をGETしたい学部生/大学院生さん
  • 配属学生に学振DCを取らせてあげたい教職員のみなさま

こうした方々にピッタリな内容なので、是非最後までご覧いただきたいと思っています。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

(少々やりすぎかな?)と思うぐらい学会発表や論文投稿を頑張った

学部時代から一番力を入れてきたのが研究業績作りです。

(少々やりすぎかな?)と思うほど、たくさん学会で発表したり論文を書いたりしてきました。

学振DCの申請書には【研究遂行力の自己分析】なる項目が例年設けられていて、そこでこれまでの研究実績を記載して審査員さんにたっぷりとアピールできるのです。

学振DCの内定率は20 %以下とかなり低く、自分の有能さを理解してもらわねば厳しい競争を勝ち抜けませんので、(少しでも研究業績が多い方が有利に違いない)と判断した結果、研究室配属の初年度からせっせと業績作りに勤しむことを決意したのでございます。

研究業績の数については、学振DC応募者の能力を公平に評価可能な指標の一つとなっております。

研究計画については主観が混じるため、ひょっとするとその優劣の判断は審査員により大きく異なるかもしれません。

しかし、たとえ審査員がどれだけ意地悪であっても、論文数や学会賞受賞の数は曲げられない厳然たる”事実”なわけです。

だから大量の研究業績を記載しておけば学振DCに不採択となる確率を下げられますし、たとえ研究計画が稚拙でも

審査員さん

コイツはこんなに沢山頑張ってきたんやから、ちょっとプランが甘いけど博士に行っても何とかなるやろ

と情を酌んでもらえる可能性が高まるのです。

『学振 内定』というワードでTwitter検索してみると、

学生さん

研究業績のおかげで内定できた!

学生さん

いっぱい論文書いてきてよかった!

と研究業績に助けられたコメントをたくさん確認することができました。

一方で、「研究業績が不足していて落ちちゃった…」と嘆く声も至る所で見られました。

学振DCに不採択となると

  • 自分が不採択者の中でどれぐらいの順位だったのか (不採択者A、Bなど)
  • 研究計画や将来性など、それぞれの項目で何点もらえたのか

これらが開示されるのですが、研究業績が不足していると『研究者としての資質』の評点が芳しくないものとなるようです。

したがって、他の項目の評点が高くても総合評価が伸び悩み、不採択になってしまう確率が高まってしまいます。

なお、最近は日本学術振興会から審査員さん宛てに「研究業績だけで判断しないようにね」とのお達しがあり、学振DC内定が昔より研究業績に左右されなくなっています。

ただ、上述の通り研究業績の数は研究能力をアピールする格好の材料なわけですから”ある”に越したことはありませんし、逆に何もないと (この人を内定させて大丈夫だろうか…?)と審査員さんを不安にさせ評価を下げる元になりかねません。

論理的な文章を読み書きする特訓をした

二つ目に意識的に取り組んだことは、論理的な文章を読み書きする特訓です。

学振DCの申請書は審査員さんに伝わるよう書かねば高く評価してもらえないため、文章をロジカルに記せるようにたくさん特訓しておりました。

学振DC申請書執筆時に必要な能力は美文を綴る文学的素養ではありません。

伝えたい主張を自分の意図通り伝えるべく簡素で明瞭な文章が好まれるのであり、そうした文章を書ける論理的素養が必要不可欠でございます。

文章を『読む』のに関しては、ネット上に転がっていた先輩方の申請書をたくさん読んだり、書店で売れ行きの良い評論を読んでインプットしたりしていきました。

今までドストエフスキーを始めとした純文学を好んで読んできておりましたけれども、学振の申請書はドストの如く滅茶苦茶に書くわけにはいきませんから笑、純文学を読みたい衝動をグッとこらえ、他人の申請書や評論本を読み論理的な文章を脳に刻み込んでいきました。

また、色々と本を読むにつれ、(まず”日本語そのもの”を勉強した方がいいんじゃないか?)と考えるようになりました。

かめ

日本語がどんなものか知らないと、その特性を活かした明解な文章なんて書けるはずがないやろうし…

と思い立ち、”思考の整理学”で有名な外山滋比古さんの日本語の個性という本を読んで勉強しました。

文章を『書く』のに関しては、日々のブログ執筆活動時に意識して鍛えていくことにしていました。

私、このブログ以外にもマラソンブログを運営しているのですが、ソコで文章を書く際に”文章の論理性”や”文と文との接続性 (整合性)”などを意識しながら言葉を綴ってきたのです。

もちろん申請書ではなく個人ブログですからそこまでお堅い文章は書きません。

しかし、今までは超テキトーに文字を書きなぐっていただけだったため、学振内定を目指すべく少しだけ文章をロジカルに書くよう気を付けてみたわけです。

学振DCに挑戦する方の多くは、10,000字以上の創作物を書いた経験がほとんどないかと存じます。

もしあるとしても卒論や修論ぐらいでしょうし、それだけの大作 (しかも人生が懸かった!!)を矛盾のないよう仕上げる難しさが想像もつかないはずなのです。

私の場合、ブログ執筆で文章を書くのに慣れていたため、学振DCの申請書を書き上げるのが実にスムーズだったのをよく覚えています。

今後学振DC内定を目指す方は、ブログでもSNSでも何でも良いので、何かしら文章を書いて発信してアウトプットに慣れておくのを強くオススメいたします。

かめ

何かユニークな活動をしていれば、申請書の自己分析欄や指導教員が用意する『評価書 (推薦書みたいなもの)』のスペースをかなり楽に埋められます。やっておいて損はないので、この機会に何かお始めになって下さい♪

自分の研究や自分について、絶えず考えながら日々を過ごした

三つ目に意識して取り組んでいたのは、(自分の研究を今後どうやって拡げていこうか) と四六時中考えたことです。

コレは学振DCのためというより”私が研究好きだったから”なのですが、寝ても覚めても自分の研究についてばかり夢想していたのがDC1申請書作成時に役立ちました。

私が内定した2022年度版の申請書には、

  • 研究の位置づけ (A4用紙1枚分)
  • 研究目的・内容等 (A4用紙2枚分)

と、博士課程でやる予定の研究計画を大量に書く欄がありました。

普段から”今後やりたいこと”をたくさん考えていたおかげで私はすぐ研究計画を書き上げられた一方で、今まで指導教員の言いなりで実験を進めてきた方は申請書作成時に困っただろうなと思います。

私の指導教員曰く、先生に書いてもらった申請書を提出したら、すぐ審査員さんに見破られてしまうみたいです。

審査員さん

20代中盤の学生がこんな老練な表現使うか普通?

と、どこか不自然さを感じてしまうようです。

だから研究計画 (に限らず申請書全体)は必ず自分の言葉で書き綴らねばなりません。

完成度の高い研究計画を記すためには自分のアタマで長いあいだ研究計画を醸成させる必要がありますし、ここでしっかりとした計画を立てておけば、博士課程在籍時に進むべき方向を迷わずに済みます。

研究に関してだけではなく、研究を進める主体である自分自身についてもしっかりと自己分析しました。

  • 自分は何が得意/不得意なのか?
  • 過去のあの成功はどうして成し遂げられたのか?
  • 将来の自分はどう在りたいのか?
  • そもそも自分は研究者向きなのか?

など、まるで文系の就活生のごとく真剣に自分の正体を調べていました。

学振の申請書にはA4用紙2枚分(2022年度版)の【研究遂行力の自己分析】欄が設けられており、そこでは自身の主体性や発想力、問題解決力などをアピールしなくてはなりません。

加えて申請書の最終ページ(コレも2022年度版)には【目指す研究者像等】と称し自身の将来について問う欄がありますから、自己分析をすればするほど申請書に書く材料をたくさん発掘できるわけです。

実は私、M1の2~3月までは(修士修了後の就職もアリだよなぁ)と考えていた就活生でして、 マイナビTech Offerに登録し、一時期研究そっちのけで就活に勤しんでおりました。

最終的には3月中旬に関西の化学系中小企業一社から内定を頂き、その後 (もうちょっと研究やりたいわ)と思ったから博士進学に切り替えたのですが、最終面接での質問対策のため行った自己分析が学振の申請書作成時に役立ちました。

就活も学振もやることは同じで、自分を突き動かす原体験を見つけられれば勝てるようになっています。

どこか入りたい会社があるなら”その会社でその仕事をやろうと思ったキッカケ”を探し出せれば大抵の質問に答えられますし、DC1の内定を掴みたければ”研究者を目指そうと思ったキッカケ”を言語化できれば後はどうにでもなるのです。

後輩のAさん

自己分析?めんどくさーい!

こうお考えになる気持ちもよく分かります。

しかし、申請書を記す上で自己分析は避けて通れぬ道ですから、なるべく早めに自己分析を開始し、より深く自分の正体を掘り下げて自己理解に努めていただきたいです。

最後に

私が学振DC1の内定を掴むために研究室配属初年度からやっていた3つのことはコレで以上となります。

まとめると、

  1. (少々やりすぎかな?)と思うぐらい研究業績作りを頑張った
  2. 論理的な文章を読み書きする特訓をした
  3. 自分の研究や自分について、絶えず考えながら日々を過ごした

このような形となります。

私の研究室には過去に学振DC内定者が一人も居らず、どうやったらDC1の内定を手繰り寄せられるのか分からず不安な状態で申請書の提出に至りました。

この記事が私と同じような境遇の学生さんの道を照らすことを願い、これにて文章を締めくくろうと思います。

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