日本学術振興会特別研究員DC制度はこのように変えてみたらどうか

こんにちは!札幌と筑波で蓄電池材料研究をしている北大化学系大学院生のかめ (D2)です。日本学術振興会特別研究員DC1として国からお給料を頂いています。

支援していただいている身で申し上げるのも恐縮なのですが、特別研究員制度、もう少し何とかならないものですかね… 学振DCは20年以上前にできた制度。時代の流れに沿った制度の十分な変革がなされておらず、支援される側にとって有難みをあまり感じられないような仕組みになってしまっています。

この記事では現役DC1として、学振DC1・DC2の制度改革案を述べていきます。現役学生の視点からDC1についての正直な感想を述べたものになりますので、文科省や日本学術振興会 (JSPS)の方、およびその方々に物申せるお立場の方は是非最後までご覧いただければ幸いです。

かめ

それでは早速始めましょう!

目次

申請時期を8月以降にする。就活を終えたあとに申請させて下さい!

現在、学振DC申請書の受入機関への提出期限は『5月初旬』とされています。受入機関がJSPSへ申請書を提出するのはその1か月後。我々申請者は申請書を2~3月ごろから、早い人は年明け前から作り始めています。指導教員や先輩からの添削を受けて何度も書き直すのです。ゴールデンウィーク返上で書類の最終確認を実施。”よし、もう大丈夫だ”とチェックを終え、締め切りギリギリに提出するまでが一連の流れ。

私がまず真っ先に変えて欲しいなと思っているのは申請時期。”5月初旬”って、学生からすればあまりに都合が悪すぎる時期なんですよ。特に修士の場合、学振と就活の時期が丸かぶりしてしまっています。DC1の申請書作成に着手するのとほぼ同じ時期に就活までもが本格化し、結果、てんやわんやの大忙しになっている状況なわけです。DC1の内定結果が明らかになるのは例年、M2の9月下旬。M1の3月には就職するか/博士進学 (D進)するかをDC1の結果発表を待たずして決めなければなりません。

学振DC1だって就活だって片手間で済ませられるほど簡単ではない。両者とも人生の懸かった大一番に違いないから、本腰を入れ、入念に準備を済ませたうえで臨む必要があります。仮に”学振DC1へ重心を置く”と決めた場合、修士就活の道を断ってD進一本で突き進むことに。DC1に落ちても就活する時間は残されておらず、D進後、フェローシップで貰える給与をやりくりして細々と生きて行かねばなりません。仮に”就活へ重心を置く”と決めた場合、D進への想いや未練を断ち切って就活を中心に動くことになるでしょう。学校推薦なんて使ったらD進したくなっても内定を断れないし、かといって一般応募だと競争が激しくて内定を得られる確率が下がるし…

これらの悩みを一挙に解決する超簡単な方法が一つあります。そう、学振DCの申請時期を8月以降に遅らせてしまうことです。申請が8月以降の場合、修士の学生は『とりあえず就活してみるか』と、自らの”就職”と”D進”それぞれへの想いを就活しながらじっくりと確かめられるように。就活してみて (就職のほうが良いな) と思ったらそのまま就職すればいいでしょうし、(やっぱD進したいな…) と感じても学振DC1への申請準備を整える時間的な余裕が残されているのです。せめてDC1だけでも構いません。申請時期をもう少しだけ後の方にして下さい。申請時期を3か月遅らせるだけで、より多くの修士学生が納得感を持って進路を選べるようになります。

研究奨励金を月30万円まで引き上げる

図々しいのは承知の上で敢えて申し上げますが、学振DC1・DC2の給与はあまりに安すぎます。20代中盤の修士卒人材に月々20万円しか配らないのは流石に少なすぎるのではないか、と。”手取り”が20万円、ではありませんからね。【額面 (基本給)】が20万円なのです。福利厚生は一切なし。ボーナスも昇給も当然、全くありません。20万円から所得税や国民年金、住民税を引かれて残るのは月々16万円程度。どこぞのブラック企業の社員の方がたくさん貰っているのではないでしょうか?

日本学術振興会特別研究員は本来、日本の将来を担う国の基幹人材のはず。そうした人々をブラック企業も顔負けの薄給で養っているからD進者が減っていくんですよ。そりゃそうでしょう、夢が無いじゃないですか。世代トップの人材が月20万円しか貰えないのなら、普通に暮らしていても月々25~30万円 (+福利厚生) もらえる民間企業へ就職する方が懐が潤って良いでしょう。学振DCへ月々20万円しか配らない場合、いくら優秀でも報酬の少なさからD進を見送る学生が現れてしまいます。さらに、給与を20万円で固定していたら、今後ますます進むであろうインフレの影響で学振DCの学生がますます困窮するでしょう。

私からの提案は、月々の給与を30万円にして下さい、というもの。できれば非課税で、かつ雑所得でお願いします。論文を書けば書くほど貰えるボーナスもあれば嬉しいです。あと、国民年金の学生納付特例も適用範囲内にしておいていただけると助かります (どうせ我々世代は年金なんて貰えないんですから…)。学振DCの給与は制度の創設以来、1円も増額されておりません。物価高や税金の増額だけが進行し、実質賃金は減少の一途をたどっています。今の額のままでは生活するだけで青息吐息。研究へ頭を使う以前にお金のやりくりだけで頭がいっぱいいっぱい。また、貰えるお金が少なすぎると優秀な学生がD進を見送ってしまいます。コレは国家的な大損失。イノベーションの芽を枯らさないため、特別研究員への手厚いご支援をよろしくお願いします。

申請手順や報告書をより簡素化させる

学振DCの申請って、どうしてあんなに色々とややこしいんですか?申請書を書いて出せば終わり…かと思いきや、その前にIDを手に入れたり、所属機関とのやり取りが合ったりと、何もかもがグチャグチャしていてとにかく煩雑極まりありません。何か分からないことがあった際、JSPSがお作りになった学振DC申請の『要項』を見てみたんですね。なんと、要項が数百ページもあります。全く”要”項じゃないじゃないですか。自分の知りたい知識がいったいどのページに記されているのかが不明。探すのを諦めてファイルを閉じ、各所に相談して事態の解決を図りました。学振DCの申請、もう少し簡素にできませんか?Googleフォームにファイルと所属情報を添付し、送信しておしまい♪、ぐらいの気軽さなら有難いのですが…

DC1の内定後もたくさんの報告書を書いて出さなければなりません。年度ごとに研究の進捗や研究遂行経費の使途を報告したり、28日以上日本を離れて研究したときは海外渡航届を提出したりする必要があります。一枚々々の報告書のボリュームが結構多いから厄介なのです。数千字程度記さねばならない報告書なんて、書いているだけで一日が潰れてしまいます。我々が懸命に書いた報告書を、JSPSの皆さんは一枚ずつじっくりと読んでいらっしゃるのでしょうか?そのようなことは時間的に厳しいかと存じます。限られた人手で何万人もの研究者から送られてきた報告書を逐一読むだなんて無理でしょう。我々もJSPSの皆さんも報告書に苦しまされているのならば、報告書、もう少し簡素にできないものでしょうか?何か問題が生じた時だけ報告書を提出させるようにすれば宜しいのではないか、と。

最後に

以上3つの改革案が実現されたとき、学振DCは今の100倍も魅力的な素晴らしい制度になるに違いありません。お役所による制度改革の大胆かつ異次元な検討の加速とご判断を心より切望します。

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