広島生活春夏秋冬vol.2 一年目・5月編|ゴールデンウィーク襲来!芽郁ちゃん改めクロちゃんにコンバージョンキック

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前年度の決算発表

中学高校時代、年に何度か参観日が催された。学校で放し飼いにされた野獣たちの様子を見に、保護者サウルスたちが檻の前へやってくる。

ふだん、野獣たちは学校で暴れ回っている。授業中にも秩序を乱す不届きな連中が現れる。机の上に砦を築き、教師の目を遮って内職に勤しむ学生もいた。テスト中、頭を使い過ぎて体温が爆上がりし、放熱のため急に服を脱ぎだすヤツもいた。まさか、両方とも私がやっただなんて書けるわけがない。吾輩はつい3か月前まで「模範的北大生」を名乗っていた。ただの模範囚だと思われてしまってはいかん。遺憾。オカン。悪寒。

野獣たちも参観日ばかりは利口なフリを装う。「僕、いつも真面目に授業を受けていますけど?」と言わんばかりのすまし顔を浮かべて。真面目な様子を見せておかねばマズい。帰宅後、エサにありつけなくなるかもしれない。成長期の野獣にエサ抜きはキツい。エサと悪ふざけとでは価値が違いすぎる。今晩のエサを確保するために、参観日ばかりは優等生のコスプレを頑張る。

我が校では、テストの成績表が参観日に返ってきた。授業の裏番組として、クラス担任に保護者たちが招集され、子供の成績表を手渡される。これは、成績表が家庭へ確実に供給されるのを保証する措置。学生に渡せば、まず親に届かない。成績表は下校中に川へ流されてしまう。成績表を最初に確認するのは親。学生側は袋のネズミ。超低空飛行する成績について逃げ口上を用意しても大抵は無駄。ひどい成績の時は、家の玄関へ足を踏み入れた瞬間に雷が落ちる。その日のエサが抜きになる。ああ、無常。悲しきかな、我が儚き人生。

可哀そうに。弊社にも参観日がある。弊社の昨シーズンの成績について、株主から経営層に質問が投げかけられる。好業績のときは両者ともウハウハ。和やかなムードで会が締めくくられる。業績が傾き始めたときがマズい。経営層は、予備審査会で教授陣からボコされる博士候補生のような青い顔で応対する。弊社を代表して株主総会でやり取りしてくださるマネジメント層には頭が上がらない。社長、いつもありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。ついでにボーナスください。

2024シーズンの弊社は素晴らしかった。過去最高の売り上げを記録した。さすがは弊社。さすが、広島のSHUCDECだ。格が違う。パーフェクト・カンパニー。
手放しで喜べるか、といったら違う。営業利益が昨年度の半分以下になっていた。

弊社は商品の値引きにお金を使っている。売れば売るほど値引き金がカサ増しされ、営業利益が押し下げられる。高級路線で行くのか、大衆向けメーカーとしての道を歩むのか。今はどっちつかずな状態になっている。目指す方向性を定めればいいのに。戦国時代よりも戦国時代な現代を生き抜くには「選択と集中」一択。数学も英語も一度に成績を上げるのは無理。どちらかに絞って勉強すべき。ああ、だから自分は学生時代に何度もエサ抜きの刑になったのか。私の言うことは聞かないでください。弊社は弊社の道を歩んでください。弊社、大好き。弊社、万歳。

社会保険料が本気を出してきた

給与がひと月ぶん満額支給。いよいよ弊社の太っ腹具合が際立ってきた。

社員一人へこんなに払って大丈夫なのか。コチラ側が心配になるほど給与が高い。博士課程を乗り越えたからそう感じるのか。あるいは、弊社の給与がグローバルスタンダードなのか。その真相は、ラグビーコートの中にある。一度、スタジアムの中に足を踏み入れ、この目で確かめてみねばなるまい。プロテクターにヘルメット。ふんどし。右手にはひと掴みの塩。ラグビーでも相撲でも対応できる準備を整えて向かう。

給与明細を凝視する。先月と本給は同じだった。博士課程と比べて8万円も高い。8万円って、何万円だよ(←8万円だよ)。どんだけもらえるんだ。金銭感覚がおかしくなってしまいそう。

健康診断のため早出したぶんの時間外賃金まで付けられている。弊社は太っ腹な上にマメなのか。マメな男はモテるらしい。河川敷でランニング中に野良ネコから教えてもらった。弊社の就活人気の高さにも頷ける。首肯しすぎて首が取れた。慌てて両手でねじって付け直す。私はマメなはずなのにモテない。おそらくマメマメしすぎるせいだろう。マメなのも小豆ぐらいにしておくのが無難。大豆規模のマメさは”神経質”ととられる。人間相手には、愛が重すぎる。ブログだったらマメさが武器になるのだけれども。

控除金を眺める。先月は影を潜めていた税金がいよいよ本気を出してきた。

所得税や雇用保険料はまだ可愛いもの。社宅使用料も、超高層オーシャンビュータワーマンションに住まわせてもらっている以上、気持ちよく支払える。共済会費もまぁいいだろう。スポーツクラブ後援会費。ラグビーを観に行って、一年分の講演会費を回収した。

社会保険料がえげつない。健康保険で1.1万円。厚生年金保険料で2.5万円。総額はなんと、3.6万円。3.6万円って、何万円だよ(←3.6万は3.6万だろ)。常食している伊藤食品あいこちゃんイワシ缶食塩不使用を144缶買える額。普通、社会保険料を払うぐらいなら、伊藤食品あいこちゃんイワシ缶食塩不使用を144個買うだろう(←そんなにいっぱい買ってどうすんだよ)。あいこちゃんのイワシ缶を144個買いたかったなぁ~。たくさん食べてイワシになりたかったなぁ~。広島湾をスイスイ泳いで、定置網に引っ掛かって、魚肉解体業者へ粉々にすりつぶされたかったなぁ。

日本の企業は、従業員と社会保険料を折半している。労働者が3.6万円の社会保険料を出した裏では、企業も同額を国に納めている。私は月に7.2万円もの保険料を払っているらしい。健康すぎて病院のお世話にはなれないし。年金をもらえるまで生きてもいないだろうし。7.2万円もあれば毎月国内旅行に行けちゃうね。47都道府県制覇も夢ではない。多額の収入が保険料として消える以上、アチコチを旅するのも諦めねばならない。

北海道行き、確定

8/31に札幌で北海道マラソン(道マラ)がある。エントリーを済ませた。道マラには初出場となる。

大学一年次にランニングを始めた。部活にもサークルにも入りそびれて、ヒマでヒマでどうしようもなくて走り始めた。最初は時間つぶしのためだった。やってみたら、思いのほか楽しかった。走れば走るほど長く走れるようになるのが楽しい。体力がつく。足が絞れてくる。自信がみなぎってくる。嬉しくて仕方がない。

初フルマラソンはB2の11月。札幌市南区の真駒内公園でレースに出て、3時間10分を記録した。その翌月には沖縄で100kmマラソン。10時間19分でゴールした。以降、ランニングの魔女に憑りつかれた。走らない日は気持ちが悪い。回遊魚のような体質になった。どうすればもっと速く走れるのか。速くなったらモテると勘違いしていた。タイムを縮める最適解を探す。大学図書館や書店で陸上専門書を探し、深く読み込んだ。

大学三年次の11月、山梨の富士山マラソンにて2時間59分を記録した。B4からM2前期はコロナ騒動でレースが中止に。M2後期からレースが開かれ始めた。同年12月に沖縄で100kmを9時間1分で走った。D1は足の故障と留学で一年をふいにする。学生ラストイヤーとなるD2は、11月の福知山マラソンで2時間42分を記録した。自分なりに有終の美を飾った。

八年間の北大ランニング生活。唯一、後悔していることがある。在学中に一度も道マラに出なかった。
なぜ出なかったか。夏開催だから。夏は、暑い。頭痛が痛い、電流が流れる、誕生日に生まれた。夏が暑いのは分かりきっている。暑いとなかなか良いタイムが出ない。レース中に熱中症になるリスクもある。わざわざ過酷な環境で走る必要はない。マラソンなど、冬に出ればいい。道マラ出場など考えもしなかった。

北海道を離れて感じた。一度ぐらい道マラに出ておけば良かった。日々のランニングコースをレースで走る。札幌の街を中央分離帯から眺める。駆け抜けたときの爽快感の味を知りたい。いったいどのような感覚なのだろう。レースコースを走行中に、自分は何を思い、何を見出すのか。道マラへ出ぬまま脱北したのを反省している。後悔は、なるべく早く晴らした方がいい。今のままではいけないと思っている。だからこそ、今のままではいけないと思っている。

道マラにエントリーした。学生時代に過ごした街を、会社員ランナーとして眺める旅。ついでにラボへのOB訪問も行う。後輩たちが研究でやつれ果てた姿を見て笑ってやる(性格悪っ)。二泊三日。エントリー代と旅費交通費で10万円弱。一番高かったのはホテル代。アホみたいに高い。お財布が、泣いている。太っ腹の弊社に慰めてもらうしかない。7月にはボーナスが入る。ボーナスを丸々交通費に充てようかな。

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