全日本マラソンランキング127位

日本の十人にひとりがランナーだという。ジョガー、シリアスランナー、陸上選手。全て含めて1000万人以上。あなたの隣にもランナーがいる。いや、いないかもしれない。いやいや、やっぱりいるかもしれない。誰にも言わずに一人でコソ練している人は、意外と多い。学校や職場で日焼けしている人を見かけたら、(もしかしてランナーかも)と勘ぐってみてもいい。
「全日本マラソンランキング」なるものがある。一年間で走ったマラソンのフィニッシュタイムを年代別に集計したもの。毎年、雑誌会社アールビーズが発表する。各年代上位100名は、ランキング表に冊子掲載される。自己ベスト更新を狙ってきた人間も、いつかは世代別100位以内をと望む。100人の壁は厚い。上位40人ぐらいまでは実業団。残り60枠を、我々凡人たちで競い合う。凡人の中にも速い人がいる。もともと陸上部だった人が大多数。
一年前は何歳だったかなと考えていた。頭の中で朧気に浮かんできたんですよね。26という数字が。今はもう27歳。26と27とでは、感覚的にかなり違う。「26」は、20代前半からようやく抜け出た感じ。「27」は、20代後半として、社会を意気揚々と歩んでいる感じ。たった一歳差ながら大違い。私も早く精神年齢を実年齢に追いつかせたい。見た目は大人・頭脳は子供の逆コナンでは弊社に怒られる。弊社から放り出されぬよう、修行と検討を加速させ、成熟した大人になる。
26歳の部。数年前までは、2時間45分でも100位圏内だった。近年、レースが高速化しつつある。ランニングシューズの技術革新が凄い。厚底シューズ。一足3万円もするヤツ。3万円もあったら、伊藤食品のイワシ缶を120個買える。イワシよりも大切なものがある。ランナーは、更なるタイムアップのため、オンラインサイトで購入ボタンを躊躇なく押す。いまの時代、一足8万円する仰天シューズもある。なお、フルマラソン一回でお釈迦になるらしい。
昨年度の自己ベストは2時間42分14秒。D2の11月、京都市内での学会発表翌日、福知山マラソンにて記録した。本来は2時間40分を切る予定だった。30kmを過ぎて足が重たくなった。徐々に失速して、わちゅごなしてしまった。それでも2時間42分。さすがに、さすがに100位圏内だろう。だって2時間42分だぞ。そこそこ速いんじゃないか…?
フタを開けてみる。4923人中、127位。このタイムでも百傑に入らないのか。皆、果たしてどれほど速いのだろう。足にバネでもつけて走ったのでは? 次元が違う。宇宙人と競っているのか。百傑入りを逃したショックが大きすぎて9時間しか寝られなかった。その翌日もショックでたった35kmしか走れなかった。
世間では厚底シューズが流行っている。ネコもワンコも厚底シューズを履いている。厚さが4cmもある肉厚プニプニネコパンチソール。私はといったら、従来型の薄底シューズを履いている。厚底シューズには手を出していない。それというのも、ネコパンチが怖いから。あれは、足裏への暴力だ。走行中、絶えずネコパンチを警戒しなきゃいけないだなんて、疲れて練習にならなくなるじゃないか。
これまで、従来型シューズで頑張ってきた。厚底シューズを使うか否か。検討に検討を重ね、豊穣なる検討を積み重ねてきた。もともと世間の逆張りをするのが好き。人が右なら、私は後ろ。今まであえて薄底で頑張ってみた。2時間30分を切るまでは薄底で戦おうと思って。そこから先の世界へは、厚底シューズの力を借りる。目標は2時間20分切り。ロンドンマラソンで達成して、「オックスフォードのバカヤロー!!」と大絶叫しながらフィニッシュする。
今年度こそは百傑に入りたい。今後は尻(ケツ)のトレーニングを重視しよう。
感情移入しすぎないように


週末恒例のサッカー観戦。5月末、川崎フロンターレと戦ってきた。
サッカー観戦は、試合前から楽しい。場内で様々なイベントが催される。
クラブマスコットのサンチェが「I’m KUMACHAAAAAN!」と叫ぶ。クマなのぐらい、見れば分かる。サンチェはツキノワグマらしい。広島で一番有名なクマ。サンチェがコンコースに現れた途端、場内が騒然とする。食われる! 逃げろ!と大パニックに。食われたが最後、サンフレッチェのファンになる。他のクラブの応援など、もうできない。
我らがサンフレサポーターは、試合前の選手ウォーミングアップから声を張り上げる。加減を間違えれば、試合前に声が枯れる。いっつもウォーミングアップで喉が半分ダメになる。いったい何をしに試合へ行っているのだか分からない。応援の力加減が分からない。十試合以上観に行っているけれども、喉を潰さずに試合を終えられたことは無い。ハーフタイムに水と龍角散のど飴でリカバリー。後半試合開始と同時にまた叫ぶ。最後はガラガラになる。
川崎には1-2で負けた。後半に先制され、一度は追いつくも、アディショナルタイムに突き放された。点数以上の差を感じた。0-4ぐらいでボコボコにされた感覚。まるで自分の博士課程予備審査会みたい。鋭い質問に対して一度は切り返すも、さらに鋭い問いが胸にクリティカルヒットしてぶっ倒れたあの日を思い出した。

肩と勝ち点を落として家に帰る。ニッカウィスキーで濃いめのハイボールを作る。がぶ飲みして、負けたショックを紛らわせる。アルコールが喉に染みて痛い。泣きっ面に蜂。ちょうちんにアンコウ。それはただのチョウチンアンコウ。
Uターン就職したのはサンフレッチェ観戦のため。札幌時代はサンフレに幾度も心を救ってもらった。サンフレに何か恩返しがしたかった。今度はイレブンを後押ししようと思った。本気でサンフレを応援する。ついついサンフレに感情移入してしまう。勝てば嬉しい。負ければ悲しい。喜怒哀楽は、サンフレッチェ次第。
自分は所詮、いちサポーター。選手の代わりに試合出場して身体を張ることはできない。試合結果は、監督のスキッベさんに委ねるしかない。勝ったら喜び、負けたら悔しがる。勝ち続けられるならば問題ない。勝負事だから、勝ったり負けたりする。負けるたびに落ち込んでいたらしんどい。連敗でもしようものなら、進次郎節を封じられた進次郎みたいになる。
自らの手の届くところだけに集中する。勝ち負けはどうしようもない。サンフレが負けても明日には日が昇り、SHUCDECの弊社に行かねばならぬ。だったら、声出しにのみ意識を傾けよう。勝っても負けても泰然としていよう。勝ったときぐらいは喜んでもいいかな。負けたら知らんぷり。記憶から消してしまう。
部署配属。業務開始
2カ月弱の研修を終えた。ようやく部署本配属の時を迎えた。希望部署の希望グループに配属された。所属チームまで望み通り。弊社に伝えた通りの望み通りな仕事をやらせてもらえる。弊社は神。言行一致の神。弊社、大好き。一生ついていきます。
やりたい仕事をやらせてもらえるって、なんて楽しいことなのだろう。
大学時代はラボでB4からやりたくなかった研究をしていた。苦痛だった。研究が嫌いになった。関心の持てない仕事をする辛さを嫌と言うほど味わった。それに比べたら、弊社での仕事は楽しくてたまらない。毎日、8時間があっという間に経っていく。
自分のスキルを活かしてチョチョッと作業する。たったそれだけで、先輩からいたく感謝してもらえる。好きなことをやっているだけでお金を貰える。厳しめに言っても「楽しい」以外の感想が無い。ネガティブな側面を探そうとしたが、全く見つからなくて困る。楽しすぎて笑いが止まらない。ときどきオフィスで不意に笑いそうになる。その衝動を、歯を食いしばって堪える。変態扱いされないように。
配属チームは超絶ホワイト。ホワイトすぎて、ホワイトアウトしている。北海道の猛吹雪を思い出す。視界不良で5m先も見えないほどの風雪が吹き荒れた日々を。弊社のホワイトアウトは札幌レベル。同じフロアに居る人が皆、笑顔で満ち足りた表情をしている。「昨日、美味しい うな重 をたらふく食ってやったぜ…」と言いたげな面もちを浮かべている。たまにフロアで鰻のタレの匂いがする。ひょっとして、エンジン炉で蒲焼きでも作っているのだろうか。
弊部署は、心を落ち着けて働ける場所。中学高校時代の乗馬クラブ以来、久々に安らげる基地を手に入れた。会社を取り巻く情勢は厳しい。弊社は緊縮モードを敷いて頑張っている。自分も何かしらの形で弊社の力になりたい。弊社と一緒に四股を踏み、危機を乗り越える。エンジニアとして逞しくなりたい。
満員電車よ、さようなら

弊社はウルトラフレックス。フレックスなど、我々の敵ではない。いつ来て、いつ帰っても構わない。コアタイムすら無い。出社時間は自由。社長出勤でも大丈夫。ひと月の就業時間さえ足りていれば文句を言われない。来月からはリモートワークが可能になる。スーパーハイパーウルトラフレックス制度になる。何がなんだかもうよく分からない。
新人研修中は7時台の電車に乗っていた。弊社に向かうサラリーマンと、家族と教師から逃走中の学生が大勢乗り合わせていた。車内は、人とポニョでごった返していた。あまりに乗車率が高すぎる日は、天井に人が突き刺さっていた。酷いときは荷棚にまで人が転がっていた。インドの長距離列車を想起させる混み具合。実は荷棚に載った方が楽なのかもしれない。
研修を終え、数本後の電車へ乗れる境遇に。8時台の電車で弊社へ。ポニョが居ない分、車内はガラガラ。運の良いときは席に座れることもある。座れなくてもいい。空いているだけで十分。満員電車は辛かった。息を吸ったり吐いたりするだけでしんどかった。満員電車から解き放たれた。通勤が苦行ではなくなった。
にしても、まさか広島で満員電車に乗るなどとは思ってもみなかった。広島のどこにそんな大勢の人が住んでいるのだろう。
中学高校時代は自転車通学。電車の混雑具合を知る機会が無かった。広島就職前までに一度、サラリーマンやポニョらと通勤してみればよかった。満員電車が嫌だから広島に帰ってきたはず。広島で満員電車に乗るだなんて、本末転倒だろう。同じ満員電車ならば、東京の企業の方が給与も福利厚生もいい。広島でずっと満員電車に乗らなきゃいけないなら、数年後の転職も考えていた。満員電車を回避できるなら話は変わる。転職なんかしない。これからも広島で暮らしていく。
さようなら、満員電車。こんにちは、広島生活。広島に根を張る気が湧き始めた。
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