広島生活春夏秋冬vol.3 一年目・6月編|梅雨明けや 汗マーライオン 息苦し

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60回目の献血

父が来月に還暦を迎える。今年で60歳。もう、おじいちゃんだ。小さい頃は何度もぶん殴られた。”こんな家、早く出ていってやる”と何度思ったことか数知れない。今ではすっかり丸くなった。性格も髪型もまん丸になった。父とは大学時代に不和を解消した。M2の秋、東京でサンフレのカップ戦決勝を一緒に観て以来、すっかり仲良しになった。

還暦は人生の節目である。何らかの形でお祝いしてあげたい。祝うには、広島に居なければならない。北海道でポンポコリンの博士課程をしていては祝えない。『広島で父の還暦を祝う』を果たすために早期修了した。学振PDとして海外留学する道を断ったのも、2025年7月に必ず広島へ居たかったから。

祝うといっても、何をあげればいいのか。父は、私と同じくサンフレのサポーター。赤い ちゃんちゃんこ など渡そうものなら、カープを想起させ、怒らせてしまう。誕生日に頭の血管が切れ、くも膜下出血になるおそれがある。そうなったら目も当てられない。ちゃんちゃんこがダメなら、どうするか。ちゃんちゃん焼きか。いや、ちゃんこ鍋か。ちゃんこ鍋がよさそうだな。弊社の相撲部から土鍋を借りてくる。

北海道での献血履歴が消える。
寂しいから、写真に残しておく

八年間、北大で全人教育を受けてきた。札幌にて慈悲を養ってきた。弱者へ手を差し伸べずにはいられない。フロンティア精神を北極星に、献血ルームへ足しげく通い詰めた。我ながら、なんと思いやりある青年だろうか。来世は神に転生するだろう。生まれ変わるのが楽しみで仕方がない。

今月、60回目の献血を迎えた。父よりも早く血管が還暦に達した。血管よ、今までよく頑張った。毎月極太の針を突き刺されながらも、よくぞ都度修復して元通りになったな。これからもどうかよろしく頼む。あと40回。100回を目指そう。100回行ったら金色有功章が貰える。そこまでやったらもういいだろう。引退するかもしれないし、しないかもしれない。きっと、辞めないんだろうな。次は200回!とか言って通い続けるだろう。

献血後にアイスをいただいた。今回はキャラメルリボン味にした。
美味すぎて、鼻から白い息が漏れた。食べるペースが加速の一途をたどる。落ち着こうにも、落ち着かない。麻薬でも入っているんじゃないかというほど美味しかった。今までチョコかバニラしか食べなかった。キャラメルリボンと言われても、味が想像できなくて。これからはキャラメルリボンをヘビーローテーションする。キャラメルリボンの方でも私に食べられたがっている。そう信じている。

とうかさんではなくサンフレッチェ

広島では6月初旬にビッグイベントがある。「とうかさん」だ。広島の初夏を彩る祭り。金土日と繁華街が大賑わいに。屋台も出る。歩行者天国になる。浴衣美人も来る。独り者と陰キャには厳しい。独り者で陰キャの自分には耐えがたい。申し訳ないが、とうかさんはパスする。行っても面白くない。寂しさしか、覚えないだろうし。

群衆をブルドーザーの要領でかき分けて進む。たどり着いたのは、紙屋町の丸善ジュンク堂書店。柳田国男の民俗学系書籍を二冊購入した。ついでにアガサクリスティーのミステリーも買った。人混みに揉まれるより、本を読んでいる方が楽。落ち着く。これだから、いつまで経ってもパートナーができないのだろうけれども。

とうかさんではなく、ピースウイングに行く。カップ戦のプレーオフマッチを観戦した。

早朝、河川敷を35km走った。疲労度MAXのなか、歩いてスタジアムへ。90分で決着すると思っていたら延長戦に。延長でも決まらず、PK戦になった。応援に力を入れ過ぎて脚と腕が痙攣した。サッカー観戦前に35kmも走るものではない。次からは30kmぐらいに留めておかなければ。PK戦では、サンフレ側のキーパーがファインセーブ。いや、スーパー・ハイパー・ウルトラ・超・どんだけ・ファインセーブ。プレーオフに勝った。次のラウンドへ進出した。

一緒に観戦した仲間と祝勝会。本通商店街のお好み焼き屋・若貴へ。勝った後のお好み焼きは格別。チーズをかける。意識が飛んでいく。毛穴から麺が生えてくる。明日、会社で何か言われやしないだろうか。お好み焼きはヘルシーフード。鉄板に焼かれてゼロキロカロリー。ヘルシーで美味しい広島のソウルフード。舌鼓と腹太鼓を高らかに鳴らし、最高の週末を締めくくった。

梅雨

https://tenki.jp/guide/chart/#google_vignette

広島と札幌はよく似ている。自然が豊か。都心を山が囲っている。食べ物が美味しい。開放的な気質。札幌の隣には北広島市がある。広島県民が大挙して北海道を開拓した名残が刻み込まれている。北海道は広島のものと言っても過言ではない。お前のものはオレのもの。オレのものは、オレのもの。

広島と札幌の違いは何か。色々あるが、「梅雨」の有無は大きいだろう。

広島には梅雨がある。毎年一か月も雨が降り続く。ジトジトしていて気持ちが悪い。靴が濡れる。勘弁してほしい。梅雨が明けたら真夏が来る。連日猛暑日な、ぶちあつの季節が。札幌には、梅雨らしい梅雨が無い。正確に言えば、ほとんどない。まとまった雨は、せいぜい数日しか降らない。梅雨前線は、札幌でジンギスカンと味噌ラーメンを食べたのち、すぐ北へ丸々太ったサケを食べに行く。

とうかさんの翌日から梅雨入り。初日から一時間あたり10ミリの大雨が降りしきる。電車は止まるわ、車に水をぶっかけられるわ。河川敷ランニングコースが水浸しで走れないわ。梅雨は、まるで何も良いことがない。梅雨前線をハサミで切り刻んでやりたい。切れないのかな。切れないよなぁ。ミサイルでも打ち込んでやろうかしら。遺憾砲を100連発で放り込む。

梅雨に恨み節をぶつけまくる。効果があったのか、梅雨が終わった。今年の梅雨は、わずか一週間。あっけなかった。もう終わりなのか。梅雨前線がどこかに消えた。天気図から見えなくなった。おそらくはまだ、日本アルプスあたりに隠れているだろう。日本国民が気を抜いた瞬間、ぬぅっと顔を出して活動を再開するはず。

札幌と違い、広島は晴れていてもムシムシする。その湿気は、到底ムシできないほど(黙れ)。脇と鼻の下から汗が噴き出る。その勢いは、マーライオンのごとし。拭っても拭っても青い汗。暑すぎて外を歩くのが嫌になる。ちゃんとした服など着られない。ちゃんと服を着るのですら難しい。梅雨前線さんには、湿気を携えて消えてもらいたかった。とんでもない忘れ物をされた。大変遺憾である。さて、この暑さをどうしのごうか。

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