貿易実務検定C級合格

学生時代、自己研鑽のため、数多くの資格試験を受けてきた。
大学の講義だけだと頭が理系脳になる。私が欲しいのは、バランス型の柔軟な思考。理系だけでは物足らない。文系的な思考回路も欲しい。アートネイチャーですら、育毛でも植毛でもない。まして、私は髪がフサフサである。そんな自分ならば、理系と文系の両立など、赤子の手をひねって、ねじって、絞って、もう一度ねじって、ワルツを踊るぐらい容易いことだ。
吾輩はサラリーマンである。理性はもう、ほとんどない。日に日に気力が衰えていく。学生時代から続けてきた一日2時間の勉強を、何のエサもなく続けるのが難しくなってきた。学びに取り掛かるには ちゅ~る が要る。猫のちゅ~るは、私にとっての「資格」。資格合格をニンジンに走る。資格取得を目指して勉強して、知識と思考と資格の一石三鳥を目論むしかない。
資格遍歴をザっと振り返る。
B1の3月に「英検準一級」をパス。B2の6月には、超難関資格のひとつ、「普通自動車運転免許MT」に一発合格する快挙。修士では「FP3級」と「日商簿記2級」をとった。博士課程では旅行業務系国家試験に挑んだ。D1では一浪のすえ、「国内旅行業務取扱管理者試験」に合格。翌年D2では、その上位互換である「総合旅行業務取扱管理者」に合格した。合間にTOEICも受けている。ベストスコアは805。もう少し何とかならないかと頭を抱えている。
4月から会社員になった。エリサラ (笑) たる猫の私は忙しく動き回っている。週末以外、自由時間がほとんどない。限られた時間を如何に使うかが弊社から試されている。弊社から帰ったら、グッタリしている。ついつい ちゅ~る に手を伸ばしたくなる。自己研鑽をやめるわけにはいかない。エリサラ (笑) たる矜持を見せつけてやる。どれだけ面倒でも、毎日2時間は勉強する。北大時代に八年間守り通したルール。エリサラ (笑) になっても墨守する。
弊社はSHUCDEC。世界中のクールでセクシーな よい子 を相手に取引を交わす。弊社の製品は国境を超える。広島から世界へ、あるいは宇宙へ。その商圏は、十年後にアンドロメダ銀河へ達する。超新星爆発中のベテルギウスへも取引を持ちかけるとか、持ち掛けないとか、持ち掛けないとか。
エリサラ (笑) の猫は疑問に思った。弊社の製品は、どこからきて、どこを通ってどこへ向かうのか。
そもそも、貿易とはいかなるものか。製品開発の裏側で行われる商取引とは、いかなるものか。貿易について学びたい。海賊王に弟子入りするのが良いだろう。エリサラ (笑) という身分に縛り付けられている以上、海賊になるのは非現実的。ならば、と貿易関連の資格で我慢する。通関士は、ヘビーすぎる。振りかぶって殴られたら気絶しかねないほど分厚いテキストを覚えねばならない。もっと軽めのヤツがいい。無いかな、無いかな….あった。「貿易実務検定」。まずは入門編のC級を受けてみよう。
市販のテキストは、どうも使いづらい。解説が不十分で、貿易の流れをうまくつかめない。訳の分からぬ言葉だらけ。その都度ネットで調べて学ぶ。問題集を解く。全然解けない。解けるようになるまで解く。やがて、解けるようになる。過去問を解く。問題集の焼き直しのようなものだった。ほとんど解けた。これなら、問題ない。
試験本番もサクサク解けた。終わった瞬間、””合格間違いなし””との手ごたえを得た。自己採点では95%。選択ミスさえしていなければ受かっている。実際、通っていた。貿易実務検定C級を制覇した。貿易マスターになった。海賊王を、一瞬でぶち抜いた。弊社がアンドロメダ銀河へ商圏を伸ばす際、切り込み隊長に名乗りを上げてやる。宇宙人とのやり取りに備え、エスペラント語とちゅ~る手渡し術を勉強しておきたい。
ダブル飲み会
二週続けて飲み会があった。ふたつとも弊社関連の飲み会だった。
ひとつ目は、弊社の北海道同窓会。北海道にゆかりのある人間が集まって歓談する催し。新入社員歓迎会も兼ねている。入社一年目の人間はタダ。タダほど魅力的なものはない。人のカネで食べ飲みするほど楽しいものはない。満面の笑みで足を運んだ。
忘れていた。これは 同・窓・会 だった。レストランに入ると、既にいくつかのグループができていた。皆、それぞれ、内輪の話で盛り上がっている。話に入りたくても入り込めない。自分よりふた回りも年上の人が、大勢で仕事や家族の愚痴で盛り上がっている。ただでさえ年齢層という壁がある。まして、人の愚痴になど、微塵も興味がない。どうして集まって愚痴ばかり吐くのだろう。なんと非生産的な時間なのか。愚痴を吐くなら、勉強か筋トレかブログ執筆でもすればいいのに。外で35kmぐらい走ればスッキリするのになぁ。
会が始まる前に帰りたくなった。これほど居心地の悪い飲み会は人生初だった。2時間、歯をくいしばって堪えた。散会と同時に挨拶して帰った。家でニッカウィスキーを割って飲み直した。あぁ、美味い。染みるわぁ。あそこには、きっともう行かないだろうな。
ふたつ目は、新入社員研修クラスの集まり。同期社員で広島駅前の飲み屋に集まってワイワイ盛り上がる会。
こっちは純粋に楽しかった。愚痴など、四方のどこからも聞こえなかった。皆、会社での充実した日々を語っていた。仕事内容を話す目が輝いていた。傍らでは色恋話で盛り上がっていた。女子はキャーキャーとモスキート音を放つ。男子は男子で「おい、羨ましいわ!」とおのろけ野郎を低周波の音波で罵っていた。
私は彼ら同期と4~5歳も離れている。かたや20代前半。かたや20代後半。ジェネレーションギャップは隠し切れない。聴いてきた音楽も、読んできた本も、味わってきた時代の空気感も違う。まして、私はここ数年間、世捨て人よりも世を捨てて生きてきた。皆がスマホのボタンを押す手で、ランニングウォッチでインターバル走のラップライムを測っていた。流行を現在進行形で追いかけている同期と話題が嚙み合わないの、なんの。おまけに、歳の差からくる気力差もある。私は、皆みたいに騒げない。どれだけ体力があっても駄目。気力が伴わなければ、盛り上がれない。
残念ながら、周囲の盛り上がりについていけなかった。1時間ほど経ったら疲れがMAXになった。眠くて眠くて仕方がない。壁に寄りかかって、やっとの思いで目を開ける。喧騒すら耳に入らなくなる。気が遠くなるのを堪え、意識を保つ。
同期との関わり合いは保っていたい。しかし、飲み会へ行ってもしんどいだけ。結局一人で過ごすんだろうな。一人の方が気楽だしな。気の合う人との付き合いは嫌じゃない。一対一の付き合いなら疲れない。肝心の”気の合う人”が周りに居ない。波長の合わない人と一緒にいるぐらいなら、一人で静かに本を読んでいる方がいい。
広島でも一人なんだろうな。これから先もずっと、伴走者なしで、一人でフラフラ走っていくんだろうなぁ。
札幌徴税官が広島まで追いかけてきた
SHUCDECから家に帰ると19時前。エリサラ (笑) の私は、帰宅前、必ず郵便受けを開けるようにしている。中を覗けば、何か良いモノが入っているかも。読者さんからのギフトカードとか、読者さんからのチョコクッキーとか、WINS広島から鳩が運んできてくれた万馬券とか。扉を開けるまで、中身は決まっていない。シュレーディンガーのニャーとかいうヤツだ。ニャーがチャーして、初めて中身が一意に定まる。
今日も心を躍らせて郵便受けを開ける。果たして中には何が入っているだろうか。宅配ピザの案内だったら嫌だな。如何にも美味そうな写真を載せ、散々気を惹いておいて、全然たいしたことのない現物を送りつけられキレ散らかしたことがある。あのとき、宅配員を呼び止めておけば良かった。ドライバーが乗ってきたバイクのホイールをピザに変えてやりたかった。あんなピザを食うぐらいなら、ホイールをかじっていた方がまだマシ。歯の一本や二本は折れてもいい。ピザよりもホイールの方が美味い。

意を決して、中身を確認する。ひとつ、分厚い封筒が届いていた。これほど分厚いのは、大学入試で合格通知を受け取ったとき以来。何をそんなに一生懸命詰め込んだらこんな分厚さになるのか。しかも、あて名には「札幌」とある。札幌からの合格通知か。市役所試験なんか、受けたっけな ……受けたか。1月末にパスした公聴会、大変だったもんなぁ。
左上に「税」とある。”贅”沢の”税”。いや、違う。”贅”肉の”税”。それも違う。
”税”金の税だった。思い当たる節が無い。なんでいきなり税金納付書なんか押し付けてくるんだ。もう十分、弊社から毎月搾り取られている。額面から5万円も6万円も控除されている。細りに細った手取りで暮らしている。なのにまた「税」だって!? 如何なる仕打ちか。血も涙もない。
あぁ、分かった。還付されるのだろう。さすがにこれ以上、取られるわけがない。なんてったって、模範的エリサラ (笑) なのだから。品行方正の権化。昨日は献血に行った。61回目。右腕にクレーター大の穴が開いた。痛くても痛くてもボランティアに向かう。全人教育の現人神。徳を積み上げて万里の長城になった、そんな私からお金を取るわけがない。


札幌市から「住民税を払え」ときた。ちょっと何を言っているのか分からない。私は札幌を第二の故郷と捉えている。札幌は好きだが、もう札幌には住んでいない。ぶちあつの国・広島に住んでいる。なのに札幌に住民税、だと。理屈がポンポコリンすぎて理解できない。驚きすぎて、しゃっくりが止まらなくなった。どうしてくれるんだ。あぁ、苦しい。止めてくれ。
税額を見て、発作が止まった。
「47,100円」
頭の中で朧気に浮かんできたんですよね、『47,100』という数字が(二回目)。市役所は税額を進次郎に決めさせているのか。ちょっと、高すぎやしないだろうか。47,100円って、何円なんだよ(二回目)。もしかして47,100円くれるのか。一縷の望みを託したが、請求書だった。払うのは、私の側だった。今年度の終わりまでに懐から5万円弱も拠出しなければならない。
博士課程時代に所得があった。日本学術振興会特別研究員DC1として研究活動を営んできた。DCにゃんのとき、月々20万円受け取っていた。D2のとき、はじめての住民税を払った。今年は、昨年度よりも1万円高い。マジで勘弁してほしいんだけれども。ひょっとして、国外逃亡すれば払わなくて済むだろうか。いやいや、エリサラ (笑) として払わぬわけにはいかない。
会社員一年目から住民税を引かれる。これが、博士学生の定め。
バイカルハナウド
北大構内で毒草が確認された。ネットニュースで報道され、コメント欄は騒然となっていた。
今回騒がれているのは「バイカルハナウド」とかいうヤツ。系の太さは、ちょっとやる気のないキュウリほどもある。花は、白い。腰に手を当て、いかにも誇らしげに太陽を浴びている。見た目は何の害もなさそう。四次元ポケットを引っぺがされた ドラえもん も同然の様相。実は、相当怖い植物だった。触ると蕁麻疹が出る。最悪、失明する。
どうやら、バイカルロナウドが北大構内に群生していたらしい。そんなヤバいヤツがボーボーに生えているのが我が母校。札幌キャンパスは原生林。森の中にキャンパスが存在する。ロナウドの一匹や二匹ぐらい生えている。さすがに危険植物が生えているのは予想外だった。生えなくてもいいものに限って生える。生えてほしいのは、おじさんの髪の毛だけだ。
ロナウドの写真を凝視する …なんだか、めちゃくちゃ既視感がある。こいつを確かに生で見たことがある。一度ではない。何度もある。ロナウドは、メインストリート沿いに生えていなかったっけな。大野池の奥の方で似たような植物を見かけた。あのとき、触ってみようかと近付きかけた。水辺で北大生カップルがイチャイチャしていた。あまりに眩しすぎて、近寄れなかった。ロナウドとの接触は免れられた。
ロナウドは、研究棟と陸上トラックを結ぶ道路の脇でも見た。こっちは大野池と違って、ボボボーボ・ボーボボーな感じだった。綺麗だなぁと引き寄せられた。一回摘んでみようかなと触れかけた。カップルはいなかった。近寄るための活性化エネルギーはゼロだった。野生の勘で手を引っ込める。触ってはいけないような気がして。あのとき、実は危なかったんだな。もう少しでロナウドになる所だったんだな。ロナウジーニョならまだ許せる。ロナウドはなぁ、、、あまり魅力ではない。
冗談はこれぐらいにして。
バイカルハナウドは「世界で一番危険な植物」とみなされている。北大関係者各位は、ロナウドを見かけても、決して触らぬように。


コメント